0014.食べること生きること
年末迫るある日のこと きみと晩ごはんを食べにきた
週末の夜の街 人がいっぱいクルマもいっぱい
今日はちょっと背伸びして 回らない寿司の店
カウンターの上のお皿から きみは無心に食物を摂取している
まるでこの世の幸福の全てを手にしたような 満面の笑みがそこにある
お腹が空いていたのはわかるけど きみはそこまで食べるのが好きなのか
お店の中もお客がいっぱい 店員さんも忙しそう
カウンターの向こうでは おっちゃんとにいちゃんが
お客から浴びせされる注文に 懸命に寿司を握ってる
積み上げられたお皿の高さは ぼくのものとほぼ同じ
体格はずっとぼくの方が大きいのだが きみにそこまで栄養価が必要なのか
店の壁の黒板に 今日のおすすめが列挙されている
鯛やら鮪やら太刀魚やら のどぐろがちょっと食べたいけど だいぶ高い感じだし
カウンターの向こうから はまちとしめ鯖の握りが乗った皿が差し出される
きみはまた満面の笑顔 空いた皿をまた積み上げる
その様子を生姜をつまみながら ちらと横見する
何よ
いえ何でもないです
その元気な食べっぷりも かわいいことはかわいいけど
ここの支払いは 割り勘でいいんだよね
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