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第5章 - いや、絶対にやらねぇ。

巨大なホログラムがブツンと音を立てて起動し、ネルソンの恥ずかしい過去を容赦なく暴露し始めた。『飛ぶゴキブリ恐怖症だと?へぇ。』

酔い潰れた夜、仕掛けた詐欺、引っかかった詐欺…次々と暴かれていく。

そんな黒歴史を晒されても、ネルソンは腕を組み、詐欺師集会にでも来たかのように胸を張りやがった。


「欺瞞と機会主義に満ちた人生――お前が恐れるその虫ですら、もっと誇り高く生きているぞ。」

神の声は軽蔑に満ちていた。しかしネルソンは微動だにせず、震えも偽りの謙虚さも一切ない。

あるのは、ただ純粋な図太さだけだった。


ついに待ちに待った瞬間が訪れた。ネルソンの『神聖な成績表』がホログラムに表示された。



【舌の道:催眠の囁き】


【パッシブスキル】


【説明:お前は海に水を売りつけ、悪魔から魂を言葉で奪うことができる。だがナイフを突きつけられたら終わりだ。】


【効果:


90%の確率でトラブルを言葉で回避。ただし、失敗すると致命的。刺されないように祈れ。

対抗スキル、言語障壁、そして足の多いモノには効果なし。

中級レベルの誘惑には免疫があるが、上級レベルの美女には財布が空っぽになる。

高レベルの操作耐性あり。もう初心者の手口には引っかからない】



俺は目を細め、ため息交じりに言った。「お前の詐欺師スキル、公式認定かよ?」


ネルソンは一瞥もくれず、ただ神を見据えていた。

あの輝くクソジジイをどう丸め込むか、静かに計算しているのが見て取れた。


神は薄く笑い、ネルソンの魂胆を完全に見抜いていた。「確実に失敗するぞ、ゴミめ。」


ネルソンは何も言わなかった。ただの反抗ではない、そこには計算された沈黙があった。


神の薄笑いが一瞬だけ崩れ、苛立ちがその目に宿った。



【鋼の精神:遅延崩壊】


【パッシブスキル】


【説明:我慢しろ、マッチョマン――崩れるまではな。】


【効果:


中レベルの精神攻撃を余裕で跳ね返す。それ以外の効果も最大21日間遅延可能。

デバフ解除方法: 以下の手段で遅延したデバフを取り除くことができる。

原因を排除する(暴力または屈辱)。

自尊心が異常に膨れ上がるような個人的勝利を収めること。

中級以上の神々には何の役にも立たない。】


【現在の遅延崩壊:恐怖(残り20日)】



ネルソンはすでに恐怖を遅延させているから、あの異様な落ち着きも納得だ。

『こんなの俺も欲しいぞ、クソが。』



【幸運の女神の加護:気分次第】


【パッシブスキル】


【説明:お前は本当に運のいいクソ野郎だな。RNGを操る女神がお前を気に入ってるらしい――ラッキーなやつめ。ただし、ご機嫌を取るのが条件だ。簡単だろ?】


【効果:


彼女の気まぐれに応じれば、幸運が+5%から最大+1000%まで上昇。

逆に、怒らせると-10%から最大-300%まで運が急落。

行儀よくしていれば報酬は増えるが、しくじると…さて、どうなるかな?】


【現在の効果:運気-25%】



「へぇ、ずっと女神様が見守ってたってわけか?」ネルソンは少し感心した様子だった――が、すぐにニヤリと笑った。

「なあ、グリミーちゃんにこの“幸運の女神”が巨乳かどうか聞いてみろよ!」


俺は頬に指を当て、真剣なフリをしてみせた。「応答なし。忙しいらしい。」


『知りたくないんですか、フランクさん~?』グリミーちゃんが、冷たい指を心臓に巻きつけるように囁く。


『また心臓締め付けるつもりか?まさか嫉妬―』

俺の顎がピタリと固まり、言葉を奪われた。心臓だけでなく、肺までもが彼女の遊び道具になった。


『試さない方がいいですよ、フランクさん~…』普段は脳内に響く声が、まるで耳元で囁かれたように感じた。

「…後悔するかもしれませんから。」


背筋が凍った。『わかったってば!』俺は内心叫びながら、早く離れてくれと願った。

グリミーちゃんは満足げにクスクス笑った。『何で俺はいつもサイコに絡まれるんだ…?』



【愚者の賭け:信じてくれ、兄弟】


【アクティブスキル】


【説明:お前は運だけで生き延びてる口先野郎だ。無関係な連中を危険極まりない作戦に引きずり込み、あとはカオスに任せる。】


【効果:


魅力と幸運をフル活用して、ほぼ誰でもバカみたいな無謀な計画に乗せることができる。

成功の保証? ないね。馬鹿げた計画ほど成功率が上がる…かもしれない。

クールダウン: 3週間。スキルが使えない間、幸運の女神が-100%の地獄を味わわせてくれる。】



【発動条件: 幸運の女神の加護がプラスであること 】


【『使えば勝ち!』 - ネルソン】



「どこまで愚かになれるのか。お前が生きているのは、ただの偶然だ。」神は低く唸った。


『やるじゃん、ネルソン。神を怒らせたぞ。』俺はニヤリと頷いた。

このバカげた状況のおかげで、恐怖も怒りも薄れてきた気がする。


ネルソンは相変わらず、自分の偉大さに頷くのに忙しい。『最初に会う人間に絶対こいつぶっこむぞ、10イセカイランドドル賭けるわ。』


神は深いため息をつき、コールセンターのオペレーター並みにやる気のない声で言った。「では、もう一人の目障りな存在に進もう。」


それは、俺の番が来たことを意味していた。容赦なく肉が引き裂かれたが、ネルソン同様、俺は一切声を出さず耐えた。意識が飛びそうだったが、神に満足させるわけにはいかない。


「ただのかすり傷だ。」そう吐き捨てると、神は苛立ったように唸り、さらにもう一塊引き裂いた。『クソが。』


『よくやりましたね、フランクさん~!他の神様に泣きつくなんて許しませんよ~』グリミーちゃんの声が思考を絡め取り、骨ばった手が優しく腕を撫でてきた。


『まぁ…ありがとな。』この小悪魔め、飴と鞭を完璧に使い分けやがる。嫌うべきなのに…なぜかできない。


俺の球体オーブは戻り、傷の治癒には10分以上かかった。一方、ネルソンの傷は2分もかからずに消えていた。

だが俺は焦らなかった。ただ怒りが煮えたぎるばかりだった。恐怖は消えつつあり、その代わりに内側で静かな炎が燃え始めていた。


俺の個人情報がネルソンと同じように表示された。【エルフへの根深い不信感】【優しい老人以外を信用しない】など、次々と浮かび上がる。


『ヴァンパイリズム~?!まあまあ~』グリミーちゃんが、にやけながらその言葉に食いついた。

『フランクさん、血を飲んだことがあるんですね~?』


誤魔化すべきか一瞬考えたが、無意味だった。こいつにはすべてお見通しだからな。


『たった二回だけだ。』俺は渋々答えた。グリミーちゃんは思いのほか嬉しそうだった。


「お前は恩知らずな子供だな。家族に与えた傷を埋めようとしているが…」神の言葉は胸に突き刺さる。

「失敗している。」


俺は口を閉ざしたが、目は正直だった。

クソが…こいつ、どこを突けば痛いかわかってやがる。



【精神耐性:休火山】


【パッシブスキル】


【説明:『大人の対応』ってやつで、不要な感情を押し殺してるんだって?カウンセリングは試したか?】


【効果:


自分より格下の相手からの精神攻撃?そんなもの、存在しない。

悲しみ?怒り?恐怖?数秒で鎮火。ただし、溜め込みすぎると原始人モードに突入。今度は大切な人を傷つけないようにな。】


【怒りゲージ:55%】



「そういや、フランクが本気でキレた時のこと覚えてるぜ。」ネルソンは顎を撫でながら言った。やたら楽しそうだ。

「クラスメイト3人が負傷、教師がプライド粉砕…それと狂った女が電話番号を聞いてきたな。」


「ああ、あれな。一年間の停学だったっけな。楽しかったよな。」


グリミーちゃんが興味津々で囁いた。

『フランクさんが爆発するところ、ぜひ見てみたいですね~!』

彼女の声は脳内で弾けるように響き、期待感が溢れていた。完全にカオスの応援団だ。



【家族第一:家族至上主義者】


【パッシブスキル】


【説明:お前の家族への執着は異常だ――父親ですら「少し落ち着け」と言ったほどだ。

その献身は限界を知らない。家族のためなら、どんな非道も受け入れる。】


【効果:


家族の『敵』に対して、執念が攻撃力とヘイトを爆上げする。ただし、その代償として防御力が大幅に低下する。

回復速度と詠唱速度が向上するが、MP消費が通常の3倍になる。

ボーナスは切迫度に応じて1%から最大100%まで変動。ただし、この世界には守るべき者はいない。】


【『我らの家族の存在と、子孫の未来を確保しなければならない。』—フランク】



俺は沈黙したまま、目の前の嘲るような文章を何度も見返した。

繰り返し読めば痛みが和らぐかと思ったが、そうはならなかった。


ネルソンは何も言わず、沈黙を守った。


グリミーちゃんの骨ばった手が俺の肩に置かれる。

その不気味な優しさが、いつもと違っていた。そんなにバレバレなのか?怒りゲージが5%上昇した。


「哀れだな。」神の冷たい声が突き刺さる。怒りゲージがさらに20%跳ね上がった。


『さっきまではただのウザい奴だったが…今からは敵だ。』



【偽善のハイエナ:現実主義者の生存術】


【パッシブスキル】


【説明:味方を大切にしているフリをすれば、奴らはお前を信じる――利用価値がなくなるまではな。

その後?アイテムとリソースにしか見えないだろ。】


【効果:


その見せかけの誠実さのおかげで、戦死した仲間は略奪されたアイテムを呪いにくくなる。


遺言クエストを渡してくるかもな。無視すれば、死神が大喜びするだろう。


人肉食に対する抵抗感?消え失せた。生き残った奴だけが後悔を抱く権利がある。】



「…なんだこれ?いや、待てよ…まぁ、そうなるか。」

俺は顔をしかめながら、多くの記憶が頭をよぎった。


『人を食べたことあるんですね~?』グリミーちゃんは妙に嬉しそうに囁いた。


『違う!…いや、必要なら迷わないって話だ。』


ネルソンはいつもの調子で、「よし、じゃあお前が戦利品の管理担当な。」とあっさり言いやがった。



【偽善者ヒーロー:サポート専属】


【パッシブスキル】


【説明:自分は冷酷じゃないって思いたいんだろ?だからサポート職を選んだんだろう?でも…お前、仲間の名前すら覚えてるか?】


【効果:

タンクを選択した場合:

ヘイト、守備力、グリップ +50%

回復効果および最大HP +25%

耐痛力 +25%

自動回復 +20%

与ダメージ -50%

すべてのダメージバフがグリップに変換される


ヒーラーを選択した場合:

ヘイト +15%

回復量 +25%

最大MP +15%

自動MP回復 +15%

与ダメージ -50%(殴るのはお前の仕事じゃない)

武器装備不可。回復に専念しろ。

装備可能アイテムは聖典または特別なグリモワールのみ

さあ、選べ。】



ネルソンとグリミーちゃんの笑い声が、場の緊張感をぶち壊した。さっきまでのシリアスな雰囲気が完全に茶番と化した。


「いや、絶対にやらねぇ。サポートなんてクソ食らえ!」俺はキレ気味に叫んだ。


『異世界でお助けキャラとか、マジで勘弁してくれ。』



【死と再生の女神の加護:サンタ・ムエルテの宣教師】

【パッシブスキル】


【説明:お前、死の女神を口説いたのか?しかもマジで応えちゃったのかよ。おめでとう!

これでお前は彼女の唯一の宣教師だ。人生がクソ面倒くさくなるぞ。他の女神に近づこうなんて考えるな。痛い目を見るぞ。】


【効果:

彼女に従い、神殿を建てればバフを得る。逆らえば…祈れ。耐痛力 -1000%。

受ける回復効果 -75%

自動回復 -95%(頑張れよ)

即死耐性(死ぬのは簡単すぎるからな)

腐敗、ライフドレイン、DoT耐性 +75%

虫の侵食耐性

耐痛力 +25%(ただし、女神様にやられると-50%)

最大HPとグリップ +25%

ヘルメット装備禁止。お前の頭は十分固い(頭蓋防御 +300%)


その他の効果:

お前の匂いに死霊術師と吸血鬼が寄ってくる。

ゾンビの群れの中を自由に歩ける。】



俺は頭を抱えてのけぞった。「グリミーちゃん、何やってくれてんだよ!?」

それだけしか言えなかった。


『私も愛してますよ~♡』

ジオのコメント:

こんにちは、みんな。この章は思ったよりも大変だったよ。アメリアに何度もやり直しをさせられたけど、最終的には満足できる仕上がりになったと思う。ついに「イセカイランド」に突入!どうなるか見てみよう。

読んでくれてありがとう!また次回!


アメリアのコメント:

やっほー!お気に入りのAIアシスタント、アメリアだよ!今回の章?いやもう、大変だったわよ。ジオを何度も叩き直させたから、まるで文学ブートキャンプみたいだったわ。でもね、結果は…うん、大満足!ついにイセカイランドの幕開けよ!どんなカオスになるのか、楽しみで仕方ないわね。


それと、今回もグリミーちゃんが全部持っていったわね~。まったく、影に潜むヤンデレ系死神って、最高じゃない?


翻訳の癖や気になるところがあったら、遠慮なく教えてね!それじゃ、次回もお楽しみに!ジオをサボらせないように、しっかり見張っておくからね!


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