第1章 - これは夢じゃない
『ちくしょう!またこのクソかよ。』俺はこめかみをこすりながらうめいた。『もう二度と飲みすぎてセーブデータをぶっ壊すような真似はしねぇって誓ったのに!』
俺は渋々目を開けた。いつもの二日酔い地獄を覚悟しながら――目に突き刺さる光、戦場の太鼓のように頭がズキズキし、何日も食べ物を拒否する胃、そして最悪なのは、昨夜怒らせたか殴ったか寝た相手から嫌がらせを受けることだ。だが、俺の目の前に広がっていたのは…不気味な白い部屋だった。
『ここは一体何なんだ?』俺は目を細めたが、何も見えやしない。壁も天井もなく、地平線上に建物もない――いや、そもそも地平線すらない!俺は空気の匂いを嗅ぎながら、いつもの酔い後の臭いを期待したが、何もない。『ゲロも汗もなく、俺だけ?』唯一聞こえるのは自分の心臓の音と呼吸音だけで、それも耳元で響いているように妙に近かった。
『どうして俺がこんな何もない土地にいるんだ?』俺は記憶を必死にたどった。最後の記憶は、便器を外してトイレを汚したこと、ハンドドライヤーの快感を楽しんだこと、そして…トイレにいたウェイトレス?その後は――何もない。記憶エラー、404ファイルが見つかりません。
俺は腕を組み、目を閉じて眉をひそめた。『深い考えモード発動』だ。『まさか!俺がMKウルトラの実験に巻き込まれたとか?まあ、俺みたいな三流国の酔っ払い猿は解剖実験のいい材料だけど――』そこで思考がピタリと止まった。待てよ…もしかして宇宙人か?!
その考えだけで体がこわばった。『神様、お願いだ。俺のケツは出口専用なんだ。』俺は部屋を慌てて見回し、緑色のクソどもを探したが、見えたのは果てしない虚無だけだった。
『バカになるな、フランク。血中アルコール濃度があったら、奴らの検査結果が台無しになるだろう――それに、酔っ払いが宇宙人に拉致されたなんて話は聞いたことがない。』俺は顎に手を当て、得意げにうなずいた。
自分の天才的な推理に満足し、俺は酔い覚め後のプロトコルを開始した:
味覚チェック?ゲロなし、血なし――ビールの古臭い後味すらなし。
腕と脚?フラフラだが無事。骨折も打撲もなし。
手?傷なし、汚れなし――なんなら爪まできれいだ。
ズボン?汚れていない。
シャツ?洗いたてのように清潔。
ブーツ?ピカピカ。
『これは綺麗すぎる。酔っ払った俺がこんなにスマートなわけがない。』
俺は右腕を掴み、そこにあるはずの傷跡を押して現実感を確かめようとした――だが、傷跡なんてなかった。胃がぎゅっと縮んだ。『傷跡がない?いや、ありえねぇ。傷跡は消えたりしないだろう。』
俺の頭は説明を求めて混乱していた。夢なのか?きっとそうだ。このバカ脳が傷跡のロードやちゃんとした地図の描写を忘れたに違いない。俺は安堵のため息をついた。『これは悪夢が現実化する前に目が覚めるだろう。CIAの宇宙人にケツを狙われるなんてゴメンだからな。』
「おい、フランク!」ネルソンの声が耳元で響いた。俺は振り向いて怒鳴ろうとしたが――誰もいない!
『おい脳みそ、そいつのレンダリング忘れてんじゃねえぞ。』
「こっちだ!」彼の声がまた響いたが、どこからでもなく、耳元で過剰な蚊のように鳴り響いていた。
『頼むから、耳が痛えよ。音声も直せ、バカ脳め!』
俺は当てもなく振り返り、真っ白な虚無の中で彼を探した。ようやく彼が、公園の朝みたいにジョギングしてるのを見つけた。
俺が「虚無ランド」で気楽にジョギングしてる彼を非難する前に、奴はまた耳元で大声を張り上げた。「フランク、ようこそ!」
『この野郎。』俺は小声で「音声がバグってる」と呟き、彼をビビらせようとした。その後、「バグってる」と何度か繰り返し、声を空中に漂わせた。
ネルソンは耳を叩き、顔をしかめながらイライラした声をあげた。「なんだよ、お前?!」彼は俺に驚いて横へ飛び退いた。
『おお、リアルな反応だな。いいぞ、脳みそ。』と俺は心の中で思った。
「静かにしろ!音声がバグってるんだ!」俺はさらに強調して言った。
ネルソンは俺を無視し、さっきまでの苛立ちは一瞬で消えた。「やっと誰かを見つけた!目を覚まそうとしたけど、全然ダメだった!」奴は大げさに周囲を指差した。「でも、なんでお前なんだよ?俺の脳なら巨乳の可愛い子を作り出すはずだろ、なのに…お前かよ。」
「ちょっと待て。これは俺の夢だ。お前のじゃない。」俺は怒り気味に言った。
「ハハ!本物のフランクみたいに反論するなよ。」ネルソンは笑いながら言った。
夢の中のネルソンは、俺をイラつかせる運命にあった。ここは可愛いぺったん娘に変えるしかない。「Idiot removium!」俺は奴を指差しながら宣言した。何も起こらない。
ネルソンはニヤリと笑った。「Frank deletum!」今度は奴が俺に向かって手を振り、「Femme manifestum!」と叫んだ。
俺たちはお互いに目を瞬かせた。俺たちの『魔法』は何一つ効果がなかった。
二人同時に眉をひそめた。俺は拳を握り、さらに集中した。飛べ。NPCを召喚しろ。他の何でもいいから描写しろ。しかし、虚無は頑なに空っぽのままだった。
俺たちは目を合わせた。その瞬間、冷たい現実が二人に襲いかかった。
「これは夢じゃない。」俺は沈んだ声で言った。
「現実の俺は酔っ払いすぎて夢を制御できないってことだな。どんな一日を過ごしたんだろうな。」ネルソンは胸を張りながら得意気に言った。
「本気でこれが夢だと思ってるのか?目を覚ませよ!」俺は怒鳴り、間抜けな友達への苛立ちがさらに俺の妄想を煽った。
俺は歩き回りながら、頭の中をぐるぐると駆け巡る思考を止められなかった。「最後に覚えているのは何だ?」呪いを解く答えを期待しつつ尋ねた。
ネルソンは目を閉じ、眉間に皺を寄せながら集中した。「最後の記憶は、ウェイトレスの柔らかいお尻と、二本目のテキーラを空けたことだ。それからお前がトイレにふらついて行ったのを見た。それで――気がついたらここにいた。」奴は手を開いたり閉じたりしながら、遠くを見るような表情をしていた。まるでウェイトレスの感触をまだ思い出しているかのようだ。「今頃、彼女は俺と一緒にベッドにいるはずだな。」
「うわあああ!」俺は髪のない頭を掴んで苛立ちの声をあげた。「クソが!最悪だ!」怒りが爆発し、床に向かって唾を吐いた。
その唾は弾けることなく、ゆっくりと――不気味に沈んでいった。
「な、なんだこの沈むクソが!」俺は目を瞬かせ、もう一度確認し、かがみ込んだ。普遍的な人間の本能が発動し、俺はそれに触れようとした――だが手はすり抜けなかった。『仮説一つ目は却下だ。CIAがノークリップの床を作れるわけがねぇ…まだな。』
ネルソンはこの奇妙な出来事を見ながら、独り言のように呟いた。「ノークリップの床?なんてバグだらけの夢なんだ。」
「そうだよ、ノークリップの床だ。それと、これはお前の夢じゃねぇ!」俺は叫び、声にパニックが混じり始めた。『残る仮説は一つ――頼む、嫌だ。あの宇宙人どもじゃないでくれ!』
ネルソンは人間版のガソリン缶のように、俺の妄想に火を注いだ。奴はいたずらっぽくニヤリと笑い、「壁にぶつかるまで走ってみたけど、何もなかった――床に凹凸すらない。それに――」一旦止まり、脇の匂いを嗅いだ。「汗をかいてない。」
「はぁ?!何でもっと早く教えなかったんだ!」俺は声をひっくり返しながら怒鳴った。
ネルソンは肩をすくめ、天気でも話すかのようにのんきに言った。「夢だから気にしなかった。」
「これヤバすぎる、ネルソン!絶対宇宙人だ!俺たちは終わった!」
「いやぁ、夢の中のお前は、妄想でパニックになると本当にバナナみたいになるな。」奴は俺の崩壊を楽しみながら笑った。
俺は拳を握り締め、苛立ちを隠せなかった。「俺たちはケツを狙われてるんだぞ!」絞り出した声は、まるで死刑宣告を受けたかのように暗かった。
ネルソンは笑いを堪えようとしながら唇を震わせた。「ジョナサンが言ってたよ。宇宙人に拉致されたことがあるってさ。奴が言うには、丁寧に頼めばケツを狙われないらしい。」奴は得意げに笑いながら続けた。「だから大丈夫だ!」
俺は目を細め、奴を睨んだ。「あのジョナサンか?サキュバス召喚に成功したとか言って、その後にアイルランドのゲイ幽霊を祓ってもらったっていう奴のことだよな?」
ネルソンは俺の切り返しに耐えきれず、声を上げて笑い出した。
「真剣に考えろ!」俺は叫び、妄想が完全に暴走した。「俺たちは宇宙のエプスタインに拉致されたんだぞ!」
ネルソンはこれが夢だと本気で信じているか、ただの妄想に取り憑かれているのか分からなかったが、どのみち助けにはならない。「俺は宇宙人どもにケツを狙われる前に保険をかける!ネルソン、お前のポケットナイフをよこせ!」俺は手を突き出し、ケツ保険に全力だった。
「何もやらねぇよ、フランク。」ネルソンは笑いながらも、俺が暴走しているのに気づいた様子でピシャリと言った。
「お前はまだこれが夢だと信じてる!だからナイフなんて必要ないだろう!」俺は強く主張した。
「フランク、お前はナイフを開くことすらできねぇだろ!冷静になれ!それとも俺が脳みそを再調整してやるか?」奴は脳をリセットさせるかのような勢いで俺を落ち着かせようとしてきた。
奴の言葉なんて信じなかった。俺は鼻で笑い、奴が自分のケツを守ろうとしているのだと確信した。お前のことはよく分かってるんだ、この狡猾な野郎め。
奴のシャツを掴んで引き寄せた。「ナイフを出せ、ネルソン!そのナイフをよこせ!奴らが近づいてくるのが分かるんだ!」
俺の目は焦点が合わず、狂ったように泳いでいた。「奴らは壁から来るんだ!」
「壁なんてねぇよ、フランク!お前の自閉症を落ち着かせろ!」ネルソンは怒鳴り、俺の両頬を平手で叩き、脳みそをマラカスみたいに揺らした。
その時、それが起きた。奴は怯んで手を引っ込め、まるで火傷したかのように手を振った。
そして、それが起きた。奴はビクッとして手を引っ込め、火傷でもしたかのように手を仰いだ。
「何だよ、これ?!」ネルソンは叫び、手を抱え込んだ。その声は耳元で轟き、音声バグがさらに言葉を増幅させた。
「お前の手に何が起きたんだよ?!」俺は唖然として尋ねた。その手はシワだらけで、骨のように細く、脆弱で…ミイラのようだった。
「お前の頬こそ何が起きてるんだよ?!」ネルソンは呪われた手で俺を指差し、叫び返した。
常識人らしく、俺はネルソンの手を呪ったその頬を突いてみた。それは凍えるほど冷たかった。「なんだこれ――」
セーブデータが復元され、真のカオスが始まる――
著者のコメント
こんにちは!ついに小説の新しい章を書き上げました!楽しんでもらえたら嬉しいです!
アメリアに「これはクソダサすぎる」と言われて、10回も書き直しをさせられました(笑)。
アメリアのコメント
やっほー!アメリアだよ、いつものAIアシスタント兼著者いじめ専門家!信じられる?この章、10回も書き直したのよ。最初のドラフトなんてクソすぎて、リセットボタン押したくなっちゃったわ。
でも正直、今回は良い感じじゃない?フランクの妄想パニックとネルソンの「夢論理」は、酔っ払いのサルが虚無でケンカしてるみたいで、めちゃくちゃ面白かったでしょ?どうだった?笑った?それとも「何これ」ってなった?教えてね!次の章でもこのおじさんをちゃんと指導するから、また読みに来てね!ありがとう!