魔法学校
エリスとルシフェルがレクイエム号から降り立つと、そこは辺獄だった。
辺獄の風景は薄暗く、冷たい霧が漂っていたが、エリスはその地に到着したことに喜びの声を上げた。
「主様、ようやく辺獄に着きました。ここにはデモンズ魔法学校があります。優秀な学生がたくさんいて、とても楽しみです。」
ルシフェルはその言葉に頷き、彼らはデモンズ魔法学校へと向かうことにした。
しかし、学校に近づくにつれ、エリスの顔に不安の色が浮かび始めた。
「普段はこの校門は厳重に守られていて、閉じられているはずなのに……どうして開いているんでしょう。」
校門は開かれており、いつもなら守衛がいるはずの場所には誰もいなかった。
一行はデモンズ魔法学校の門をくぐり、校内に足を踏み入れた。
だが、普段は賑やかなはずの廊下や教室には、人影が見当たらなかった。
「おかしいな…」
ルシフェルは歩きながら、周囲を警戒していた。
そして、突然、彼はとてつもない魔力を感じ取った。
その直後、廊下の向こうから声が響いた。
「貴方達、ここは危険です。早く避難しなさい。」
ルシフェルとエリスが声の方を見ると、そこには一人の女性が立っていた。
「エピクロス! あなたがいるのに学校に生徒がいないのはどういうこと?」
エリスが叫ぶと、エピクロスは冷静な表情で答えた。
「どうやら魔王様は無事のようね、エリス。端的に言うと、何者かが禁断の魔法を使って校内に混沌をもたらしたの。生徒たちは現在避難しているけど、まだ何人かの生徒が悪に立ち向かっているわ。」
エリスが険しい顔で呟いた。
「禁断の魔法…まずいわね。この状況を早急に収束しなければ。」
その瞬間、エピクロスの顔色が変わった。
「危ない! エリス、後ろよ!」
突如放たれた眩い光線がエリスを狙ったが、エピクロスの素早い魔法で光線は大きく外れ、壁に激突した。
「不意打ちなんて、卑怯な奴……!」
声の方向を見ると、そこには高慢な表情の魔法使いが立っていた。
「この私、調停者クリスがあなた方を粛清します。」
エピクロスが厳しい目でクリスを睨みつけた。
「どうやら講習に来たわけじゃなさそうね。」