レクイエム号
レクイエム号は静かにアケロン川を進んでいた。
川の両岸には亡者たちが見え隠れし、暗い雰囲気が漂っているが、船内は別世界のように明るく賑やかだった。
ルシフェルとエリスは、船内のバイキングで豪華な料理に舌鼓を打っていた。
テーブルには様々な料理が並び、どれもこれも美味しそうだった。
特に、鮮やかな果物の盛り合わせや、ジューシーなローストビーフが目を引いた。
「これはすごいな、エリス。地獄にもこんな贅沢があるなんて。」
「本当にそうですね、主様。これだけの料理、なかなかお目にかかれません。」
エリスは楽しそうに食事を楽しんでいた。
食事を終えた後、二人は船内のプールへと向かった。
プールサイドにはリゾートのような雰囲気が広がり、心地よい音楽が流れていた。
ルシフェルは水着姿のエリスを見ると、思わず目を見張った。
「エリス、その水着、似合ってるじゃないか。」
エリスは顔を赤くし、恥ずかしそうに身をよじった。
「主様、そんなに見ないでください…恥ずかしいです。」
ルシフェルは笑いながら、プールに飛び込んだ。
水は冷たく心地よかった。
エリスも恥ずかしそうにしながらもプールに入ると、二人は楽しそうに水遊びを始めた。
「こっちだ、エリス!」
「負けませんよ、主様!」
二人は笑い声を響かせながら、プールの中で泳いだり、水を掛け合ったりして遊んだ。
エリスの水着姿は初めて見るルシフェルにとって新鮮で、彼女の笑顔が一層輝いて見えた。
プールでたっぷり遊んだ後、二人は着替えデッキチェアに座りながら船外の景色を眺めた。
「楽しかったな、エリス。」
「はい、主様。本当に楽しかったです。」
エリスは微笑みながら、そろそろ寝る準備をしようと立ち上がった。ルシフェルもそれに続いた。
ところが、その時だった。船が突然大きく揺れた。
「なんだ?」
ルシフェルが驚いてデッキを見渡すと、アケロン川の水面が大きく波立ち、巨大な影が浮かび上がってきた。
「クラーケン…!」
エリスが叫んだ。水面から姿を現したのは、船よりもはるかに大きな巨大なクラーケンだった。
無数の触手がうねり、クラーケンの巨大な触手がデッキにいたエリスに向かって襲いかかった。
「エリス、気をつけろ!」
ルシフェルの警告もむなしく、エリスは触手に捕らえられてしまった。
クラーケンの強力な触手に締め付けられ、エリスは苦しげに声を上げた。
「主様…助けて…!」
ルシフェルはエリスを目の当たりにし、心臓が凍りつくような感覚に襲われた。
「待っていろ、エリス!今助ける!」