フレイムエクスプロージョン!
アーサーは静かに、しかし力強く言った。
「そうはさせません! プロテクション!」
彼は優雅な動作で魔導書を取り出し、魔法のようなバリアを展開する。
そのバリアがネヴァンの魔法を跳ね返し、地面を震わせた。
「この程度で止められると思わないことね! 来たれ、神よ!」
ネヴァンは闇に輝くアーティファクトを手にすると、空まで闇に包まれた。
そして目の前に現れたのはこの世のものとは思えない神だった。
「我は永遠なる者、世界は無情なり」
「もしかして、神を召喚したというの・・・!?」
エリスが驚愕の声を上げた。
「こわい・・・こわいよ・・・」
トゥリは震えながらつぶやいた。
「生徒の皆さんは今すぐ避難してください!」
アーサーは急いで生徒たちに指示を出した。
「アハハハハ! 貴方達の怯えている表情、最高にいいわ! こいつは無常の神、生きとし生けるもの全て儚く散るのよ!」
「トゥリ! 大丈夫!?」
トゥリを心配してルミが駆け寄った。その時だった
「ルミ、ここに来ちゃダメ! 逃げて!」
「無常の神、あの娘を殺りなさい!」
ネヴァンが命じた。無常の神はルミを標的にして光線を放ち、凄まじい爆風が辺りを吹き抜けた。
「ねえ嘘でしょ・・・ルミ・・・ルミ・・・ルミが死んじゃったよ・・・」
トゥリが呆然と立ち尽くした。ルミのいた辺り一面は爆風で見えない。
「アハハハハ! 最高にクールだわ! ねえ、無常の神。そこの奴らもヤっちゃってよ!」
ネヴァンが高笑いを続けた。
エリスは怒りに震えながら叫んだ。
「ネヴァン、私はあなたを許さない!」
「エリス、私は今楽しんでいるのよ? 邪魔するならあなたも消すわ。」
ネヴァンが冷たく答えた。
「ここで終わらせます!」
「世の理に逆らうとは…」
無常の神が呟いた。
「手強い相手ですが、私達なら神にだって勝てます!」
エリスは剣を振るい、神の防御を突き破ろうとしたが、神は微動だにしなかった。
ルシフェルは火の魔法を駆使し、神の体を焼こうと試みた。
「フレイムバースト!」
巨大な炎が神を包んだが、神はその中から悠然と現れた。
「全く歯が立たないわね、どうすればいいのよ……!」
エリスは歯を食いしばった。
無常の神は強大な力を蓄え、エリスに向けて放とうとしている。
その時、ルシフェルは思いついた。
アーサーのプロテクションが反射魔法だとしたら強大な力も反射できるのではないかと。
「アーサー、奴の攻撃をプロテクション出来るか?」
「……出来るかわからないですが、やってみましょう」
無常の神は、力を完全まで溜め、エリスに向けて光線を放った。
アーサーはエリスの目の前に立ち防御魔法を唱えた。
「あなた死ぬ気!?」
「プロテクション!」
光のバリアが神の攻撃を反射し、神を貫き、神はついに膝をついた。
その時だった。
「神の力もその程度ですか。」
聞き覚えのある少女の声が響いた。ルミは生きていたのだ!
「あなた生きていたの!?」
ネヴァンが驚愕の声を上げた。
「殺しを楽しむのは殺される覚悟がある者だけですよ? トゥリ! 今よ!」
ルミが冷静に指示を出した。
「任せて! このために魔力を貯めてたんだから!」
トゥリは全力で魔法を発動させた。
「フレイムエクスプロージョン!」
巨大な爆発が神を直撃し、無常の神は粉々に砕け散った。
「私、神倒しちゃった…!?」
トゥリが驚愕の表情を浮かべた。
ネヴァンは冷たく笑いながら言った。
「ああ、つまんないの。やっぱり使えなかったわ無常の神。あいつ、この世に無常のものはないと自ら示したわね。ちょっと不利だし、私は帰らせてもらうわ。」
「待ちなさい、ネヴァン。あなたを逃がすわけにはいかないわ。」
「ふふふ、エリス。また会いましょう?」
ネヴァンは暗黒の中へと消えていった。