プロローグ
仕事帰りに立ち寄ったカードショップで、俺はショーケースをじっと見つめていた。
そこには、カードゲーム「ダークエリス」の幻の第1弾パックが輝いていた。
小さな箱に収まったそのパックは、どこか神秘的なオーラを放っているように見えた。
「これがあの幻のアルファ版か…」
俺は心の中でつぶやいた。高額な値札に一瞬ためらったものの、諦めきれない気持ちが勝った。
クレジットカードを手に、レジに向かうと決心した。
帰宅すると、俺は真っ先にコレクションケースの前に向かった。
手には購入したばかりのパックを握りしめている。胸の高鳴りが止まらない。
「これは貴重なパックだ、慎重に開封しないと…」
自分にそう言い聞かせながらも、気づいたときにはすでに手でバリバリとパックを開封してしまっていた。中身がどうしても気になり、理性を失っていたのだ。
封を開けた瞬間、強烈な香りが俺の鼻を突いた。
その香りはむせ返るほどで、彼は思わず目眩を覚え、その場に崩れ落ちた。
薄れゆく意識の中で、俺は誰かの声を聞いた。
「主様、お目覚めになりましたか?」
目を開けると、そこには美しい長い白髪と灼眼の女騎士が立っていた。彼女の瞳はまるで宝石のようにかがやいていた。
「ここは…どこだ?」
俺は混乱していた。先ほどまでカードショップにいたはずなのに、今は見知らぬ場所にいる。
「ここは冥界です、主様。私はエリス、あなたのお側に仕える者です。」
俺は理解できないまま、少女の言葉に耳を傾けた。
もしかして俺はカードゲームの世界に足を踏み入れてしまったのか・・・?
目の前の少女は、魔王である俺を待っていたという。
「主様、私の声は聞こえますか?」
俺は驚きと興奮の入り混じった感情を抱えながら、新しい冒険の始まりを受け入れるしかなかった。