表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/277

第91話 孤児達の無念を晴らせ!

アルストール解放決戦、決着です!

 零夜達と雷轟の戦いは激しさを増し、一歩も引かない展開となっていた。ロベリアの革命を終わらせる為には雷轟を倒さなければ先に進めないが、ノア達の仇を取る為にも負けるわけにはいかないのだ。


「こいつめ!」


 雷轟は怒りで右手から雷の波動弾を生成し、零夜達に向けて発射する。


「躱せ!」


 零夜の合図で全員が素早い動きで回避した途端、雷轟は素早く次の攻撃に移る。


「サンダークラップ!」


 雷轟が両手を叩いて雷の強烈な猫騙しをした途端、空から雷が降ってきた。


「おっと!」


 零夜達は空から降ってくる雷を次々と回避する中、雷轟がアミリスに接近して、サンダートライデントで彼女を殴り飛ばした。


「うあっ!」


 強烈な槍の一撃を右頬に喰らってしまったアミリスは吹き飛んでしまい、地面を引きずりながら倒れてしまう。

 槍は突き刺すだけでなく、殴る事もできる。特に戦国時代や中世の戦いには必要不可欠な武器だった為、かなり強力な武器である事は間違いない。


「アミリス!」

「余所見をするな!愚か者が!」


 倫子はアミリスの元に駆け寄ろうとするが、雷轟は彼女にも槍を構えて襲い掛かってきた。


「そうはさせるか!」


 しかし、零夜が忍者刀で槍の先端を切り落としてしまい、そのまま強烈な空中回転蹴りを雷轟に浴びせた。


「ぐほっ!」


 雷轟は勢いよく地面に背中を叩きつけられてしまい、激痛を負ってしまう。更に槍も先端を折られてしまって、使い物にならなくなってしまった。 

 だが、雷轟はすぐに立ち上がったと同時に拳を強く握りしめ、零夜に視線を移しながら立ち向かおうとする。見上げた根性はあるが、鎧だけではキツいとしか言えないだろう。


「俺の槍を切断するなんて……やってくれるじゃねえか……」

「アミリスを殴り飛ばした報いだ。槍はもう使い物にならないが、まだやるつもりか?」

「当然だ!ここまで俺を追い詰めるとはやるじゃねえか!だがよ……俺はここで止まるわけには行かねえんだよ!!」


 雷轟は盛大に叫んだと同時に、自身の拳に雷のオーラを纏い始める。そのまま彼は素早く駆け出したと同時に、零夜に襲いかかってきたのだ。


「こいつを喰らえ!雷鳴拳(らいめいけん)!」

「させるか!」


 零夜は雷轟の拳を片手で止めてしまい、そのまま強烈な左のミドルキックで彼の腹に激痛を与える。

 腹に攻撃を喰らってしまった雷轟は思わず顔を歪めてしまうが、すぐに前を向いて反撃のアッパーで零夜の顎を殴り飛ばす。


「がっ……(くそっ……油断したか……だが、俺も負けてはいられない!)」


 零夜はアッパーの反動で飛ばされそうになるが、すぐに耐えたと同時に前を向いて戦闘態勢に入る。

 ダメージは大した事無いが、顎に激痛が残っているのも無理はないだろう。


「流石だな。今の攻撃を食らっても耐えきる覚悟があるとは……選ばれし戦士達は骨のある奴ばかりじゃねえか」


 アッパーを喰らっても態勢を立て直す零夜の姿に、雷轟は感心の表情をしている。これ程の強敵に巡り会えたのは初めてで、彼の心も燃え上がっているだろう。


「俺はここで倒れないからな……プロレスラーはどんな困難でも耐えて耐えまくり、今がある……俺も覚悟を決めて突き進むのみだ……!」


 零夜は覚悟の籠もった目で雷轟を睨みつけ、前進しながら進もうとする。どんなにダメージを受けたとしても、零夜はここで立ち止まる男ではない。自身の目標と夢を叶える為にも、諦めきれない覚悟があるのだ。


「プロレスか……なら、俺も格闘家としての意地を見せるとするか!このまま本気で行くぞ!」


 雷轟は腕を鳴らしながら零夜に接近しようとした直後、ソニアと杏も彼に近付いて戦闘態勢に入っていた。


「ソニア、杏!」

「アタイ等も手伝うぜ!このまま見過ごす理由にはいかないからな!」

「それに……こいつだけは許せないと思っていたからな。だが、力を合わせれば倒せる筈だ!」


 ソニアと杏は雷轟を睨みつけたと同時に、武器を構えて戦闘態勢に入る。その瞳はまっすぐに彼に視線を移していて、獲物を狩る様な目をしていた。


「ほう……お前等が戦うのか……まあ、俺としては構わないが……何人掛かっても同じだ!」

「それはやってみなければ分からないぜ!アンタの野望は終わらせてやる!」

「武器は使わずに拳で勝負だ。此処から先は……ガチで行かせてもらうぜ!」


 雷轟はソニアと杏の臨戦態勢に腕を鳴らす中、彼女達は武器を収めて拳で挑む事に。彼女達も格闘技は事前に修得しているため、その事については問題ないと言えるが、彼に対してどう攻めるかがカギとなるだろう。


「いいだろう。皆殺しだ!」


 雷轟の宣言と同時に、そのまま戦いが再開。彼は雷の拳で立ち向かいながら、ソニアと杏、零夜の攻撃を次々と回避する。

 此処から先は拳と拳がぶつかり合う展開になり、一歩も引かない駆け引きが行われていた。


「相手が武器無しなら、拳で対応するか……だが、雷轟は格闘術の腕前も強いとなると……ソニアと杏はどう攻めるかだな」

「手強い相手なのは間違いないが、彼等ならやれると信じている。絶対に負けるなよ」


 ノースマンとトラマツがこの様子を見ながら真剣な表情で呟く中、雷轟の右拳がソニアの腹に直撃してしまう。彼女は顔を歪めるが、思わずニヤリと笑っていた。


「こいつを喰らいやがれ!」

「ごはっ!」


 その直後に杏が隙を突き、左肘打ちで雷轟の顔面に直撃。ソニアと杏の作戦が成功し、見事ダメージを与える事に成功したのだ。

 雷轟は思わぬ奇襲で背中に地面を打ち付けられ、ダウンを喫してしまう。ソニアは腹の痛みを堪えながら耐え切り、戦闘態勢に入ろうとしていた。


「こ、こいつが……うおおおおおお!!」


 雷轟はすぐに立ち上がり、怒りの状態でソニアと杏に向かって駆けだしていく。その様子を見た二人は拳に力を込め始め、彼に対して迎撃態勢に入っていた。


「ソニアと杏が迎撃態勢に入った!」

「いくら二人でも……」


 倫子と日和が心配そうな表情をしたその時、ソニアと杏はしゃがんだと同時に駆け出していく。そのまま雷轟の懐に潜り込んでいき、そこからアッパーを放とうとしているのだ。


「「ダブル煉獄(れんごく)アッパー!」」

「ぐほらっ!」


 ソニアと杏の強烈なアッパーが雷轟の顎を打ち砕く。彼はそのまま宙に浮かされて二回転した後、地面に頭から激突して倒れてしまう。更に追い討ちをかけるように零夜がコーナーポストを召喚し、そのままムーンサルトプレスの態勢に入る。


「終わりだ!」

「がはっ!」


 強烈なムーンサルトプレスは雷轟に直撃。そのまま彼は戦闘不能になってしまい、アルストールでの戦いは終わりを告げられた。

 勝利を確信した零夜は起き上がったと同時に、倒れている敵に視線を移す。

 

「元はと言えば、お前等が孤児院を襲撃したからな。自業自得だが、誰からの命令で行った?」


 零夜は倒れている雷轟を睨みつけながら、孤児院襲撃の黒幕について問い詰める。雷轟は観念したと同時に、その事について話す事を決断する。

 

「アビス様だ……奴は……アークスレイヤー……ロベリア支部の……ボス……だ……」


 雷轟は零夜達に事実を伝えた後、塵となって完全消滅した。その様子を零夜達はじっと見つめた後、夕暮れとなった空を見上げる。


(雷轟……強かったぜ……後は孤児達に謝ってきな……)


 ソニアが心の中で思った直後、ミミ達が駆け付けてきた。彼女達はモンスターを全て倒し終えていて、全員無事に生き延びる事が出来たのだ。


「まさか雷轟を倒すとは驚いたわ。きっと彼等は喜んでいるわ」

「ああ。これで孤児達の無念を晴らす事が出来たからな……」


 ミミの笑顔に杏も笑顔で応える中、彼女達は夕暮れの空を見上げる。ノア達はきっと天国の片隅で、自分達の仇を取ってくれてありがとうと零夜達に伝えているだろう。


「そうかも知れませんね。これでアルストールの解放は成功!空砲を打ち上げましょう!」


 ジャンヌは空砲を打ち上げながら、アルストールがジャコバンズから解放された事を伝え始める。住民達はゴロツキやジャコバンズから解放された事を喜び、歓声を上げながら零夜達を称えていたのだった。

アルストールは無事に解放!孤児達の仇を取りました!


感想、評価、ブックマークを貰えると励みになります!宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 激しいバトルでした。武器まで壊されてしまった姿に悲哀を感じましたが。自業自得ですね。今回もとても面白かったです。
[一言] 雷轟を倒しアルストールを救った零夜達。 無事仇討ち完了。 良かったです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ