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第76話 一時の夜と出発

今回は耳かきと出発前です。

「じゃあ、始めるわね」

「お願いします」


 夕食後、美津代の部屋では彼女が自身の膝に零夜の頭を乗せ、彼の耳掃除を行おうとしていた。彼女は既に耳掻き棒と穴刀を用意していて、そのまま彼の右耳のフチから耳の産毛を剃り始める。滑らかな剃り方で、気持ちよさを感じる。


「じゃあ、穴の方をやるわね」


 美津代は穴刀を右耳の穴に差し込み、ジョリジョリと穴の中にある毛を剃っていく。剃る度に耳がすっきりするだけでなく、その快感さに零夜も思わず落ち着いてしまう。更に顔もニヤケ顔になってしまうのも無理なかった。


「フフッ、可愛い顔」


 美津代は笑顔で零夜の首を優しく撫で、反対側の耳毛も剃り始める。ある程度の耳毛を剃り終えた後、そのまま彼の耳たぶをマッサージし始め、気持ちよくさせていた。


「そう言えば、マッサージは肩こりや目の疲れを癒やしてくれるな」

「うん。耳たぶにもツボがあるからね」


 美津代は笑顔で耳たぶのマッサージをし続け、身体の疲れを取り始める。そのままマッサージを終えた後、耳かきを取って本格的に始める。


「まずはフチから。更に溝もやるわよ。」


 美津代は滑らかに耳かきを動かし、丁寧に血行を良くし始める。溝には埃と汚れもあるので丁寧に落とした直後、梵天で耳の裏の油汚れも落としておく。それと同時に血行だけでなく、快楽を感じるようになるのだ。


「耳介はここからが本番!」


 美津代は耳介の溝に沿って強く耳かき棒をこすりつける。すると、溜まった汚れと古い角質が一気に落とされて、綺麗になっていた。


「うわぁ……こんなにも溜まっていたのか……」


 零夜は頭を起こして視線を移すと、大量に落ちた汚れがティッシュの上に置かれていた。その光景に驚きを隠せず、こんなにもあるのかと実感している。


「凄いですね、美津代さん。耳掻き得意だなんて驚きました」

「趣味だからね。今度は中をやるから頭を膝においてくれないかな?」

「あっ、はい!」


 零夜はまた美津代の膝の上に頭を置き、彼女は耳かきを耳穴の中に入れ始める。するとペリペリと耳の中から音が聞こえ、耳垢が次々と取れていく。


「なんだか気持ち良くなってきた……眠くなりそう……」


 美津代は丁寧に耳かきを使いながら、カリカリと零夜の耳垢を取っていく。次々と耳垢が耳の中から飛び出し、ティッシュの上に落ちていく。


「残るは……最も奥ね」


 美津代は耳かきを耳穴の奥に差し込み、大きい耳垢を見つけて取り始める。まずは周りを削ぎ落とし、ある程度取れる状態になったところで、耳かきを耳穴から取り出す。


「ここで交換!ルリカ、耳かきを渡すわ」

「はい!」


 美津代は耳かきを隣りにいるルリカに渡し、胸の間からピンセットを取り出した。


「ピンセット……ああ。奥の手として使うのですね!」

「その通り。さあ、始めるわよ」


 美津代はピンセットを耳の穴の中に入れ、肌に触れないように耳垢を取り始める。すると、カサリカサリと音が聞こえ始める。


「そろそろね……よし!」


 美津代は勢いよく耳垢を耳穴から引っこ抜き、そのままティッシュの上に置いた。それはとても大きくて塊の様だった。


「零夜君、大きい塊が取れたわ!」

「凄いクリアな音が流れ込んできた……やっぱり耳掃除をすると気持ちよさを感じるな……で、次は梵天ですか?」

「正解。今からやるわね」


 美津代は梵天をソフトタッチで耳穴を掃除し、こびり付いているゴミを取りまくった。それと同時に零夜の表情もニヤケがでてしまい、思わず眠りそうになってしまう。


「あらあら。可愛い顔ね。よし……仕上げに一発……」


 最後に美津代は零夜の耳に息を吹き込み、ゴミをそのまま吹き飛ばした。


「うおっ!?」


 零夜はいきなりの感触に思わずビクッとしてしまい、美津代は笑顔で彼の頭を上げ始める。


「反応しちゃうわね。気持ちは分かるから落ち着いて」

「す、すいません……」


 美津代は零夜の頭を自身の右肩の上に乗せ、そのまま抱き締めて彼の頭をポンポンと撫でまくる。それはまるで母親の様であり、彼は思わず温もりを感じて眠りそうになってしまう。


「零夜様?何しているんですか?」


 零夜は前の方を見ると、ルリカが笑ってない笑顔で零夜を睨み付けていた。どうやら嫉妬が強くて羨ましさを感じていたのだろう。


「うわっ!ルリカ!?」


 零夜はルリカに驚いてしまうが、美津代は笑顔で彼女を抱き寄せて頭を撫で始める。


「あらあら、甘えん坊ね。じゃあ、反対側も残っているからルリカちゃんも耳かきをやってみる?」

「あ、はい!やってみます!こう見えても得意ですので!」


 ルリカは耳かき棒を美津代から受け取り、零夜の反対側の耳掃除を行う。彼女も耳かきについては光太郎に対して実践している為、道具を上手く使いながら問題なくゴミを取る事ができるのだ。


「気持ちいいですか?」

「なんとか……それにしても、ルリカが耳かき上手だったなんて……」

「こう見えても全般的に家事は得意ですからね。まだまだやりますよ」

「ああ……」


 ルリカと零夜のやり取りを見ていた美津代は微笑んでいて、そのまま彼の頭を優しく撫でた。



 それから翌日、零夜達はメディアに集められ、広場で彼女からの説明を受けていた。次の目的地はロベリアと決められていて、その内容は二つある。


・ロベリアの革命軍を倒す事。

・アークスレイヤーロベリア支部を倒す事。


 内容とすればかなりハードかも知れないが、零夜達にとっては問題ない。たとえどんな事があろうとも、最後まで諦めずに立ち向かうのが彼等である。


「どんな内容でも、最後まで諦めずに立ち向かう。マリーさんの国を目茶苦茶にした革命を終わらせ、アークスレイヤーの野望を必ず止める!皆、すぐに向かうぞ!」

「「「おう!」」」


 零夜の合図と同時にミミ達も真剣な表情で叫び、そのまま彼等は集まって足元に魔法陣が起動させる。いよいよロベリアへと転移する時が来た為、美津代は彼等の前に近寄ってくる。


「必ず生きて帰って。ピンチの時には必ず駆け付けるから、その事を忘れないで!」

「はい!必ず果たします!」


 美津代からのエールに零夜は頷いたと同時に、そのまま彼等はロベリアへと転移した。魔法陣は消えてしまい、美津代はその跡を見つめながら前を向いた。


(約束よ。待っているからね)


 美津代は心の中で零夜達が帰ってくる事を信じながら、後ろにいるアーニャ達に視線を移す。


「皆、彼等のように強くなるのはまだまだ先かもしれない。私達は私達でできる事を行い、この島を守りましょう!アークスレイヤーの脅威から守る為にも!」

「「「はい!」」」


 美津代の号令にアーニャ達は真剣な表情で応え、この島を守る為に精一杯頑張る事を決意。その様子にメディアとリリア、サンペイは微笑んでいたのだった。

いよいよ本格的にロベリアへ!冒険の始まりです!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最近、加齢のせいか、耳の皮が中で剥けるというえぐい有り様のおじさんからしたら、若くてみな、羨ましいです。続きも楽しみにしています。
[一言] みつよさんもルリカちゃんも耳かきうまそうw 続き期待(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク
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