表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/277

第70話 それぞれの動き

今回はダークサイドだけでなく、神サイドもあります!

 闇に覆われた世界のダークゾーンにあるアークスレイヤーの本部。そこではザルバッグ達がべムールがやられた報告を受けていて、殆どがパニックとなっていた。


「あのべムール様がやられた!?」

「倒したのはエヴァという女性だそうだ!」

「そんな!アークスレイヤーはどうなってしまうんだ!」


 基地内がざわつくのも無理なく、兵士達の中には壁に頭をぶつけたり、両手で頭を抑えながらワシワシと髪をかきむしったり、逆さまに回転しながらブレイクダンスをする者までいたり、更にはピエロや骸骨、キャバレーの踊り子達まで姿を現して……一言で言えばカオス其の物だ。

 この様子を見たザルバッグは冷静に立ち上がり、息を大きく吸い込み始める。


「皆の者、静まれ!!」


 ザルバッグの大きな怒声が響き渡ったと同時に、兵士達が騒ぐのを止めて黙り込んでしまう。同時に真剣な表情で彼の方に視線を移し、ピエロ達は何処かに帰って行った。


「確かにべムールがやられたのは痛い。しかし、彼は四天王以下であり、まだ奴等は真の恐怖を知らない」


 ザルバッグからの説明を聞いた兵士の一人は、ある事を思い出しながら手を叩く。

 

「そうでしたね。その上にはトップエイトがいますし、彼等はそう簡単に倒せません!それにグラディアスにはまだアークスレイヤーの支部基地が残っています!」


 兵士の説明に仲間達は盛大な安堵のため息をつき、まだ大丈夫だと安心していた。しかし、油断はできない。零夜達だけでなく、ヒューゴ達などの多くの選ばれし戦士達がいる以上、油断は禁物と言えるだろう。


「恐らく神々は我々を倒そうとする為、様々なところから選ばれし八人を用意しているが、どんな奴等でも返り討ちにするだけだ。他の世界についてはどうなっている?」


 ザルバッグからの質問に、別の兵士がバングルを起動してウインドウを召喚する。その画面には一人の男性戦士の活躍が映し出されていて、姿は銀髪の若い男性だが、暗黒騎士の鎧を身に纏っていた。

 

「はい。バルールでも選ばれし戦士達が出てきたようで、どうやらブルースという神様の手で結成されました。ですが、アルスタイン様がその一人であるニルスを倒す事に成功し、奴隷達も手に入れました!」


 兵士からの報告に仲間は驚きの声を上げ、ザルバッグはうんうんと納得しながら頷いていた。

 アルスタインは青い髪をした青年でトップエイトの一人である。彼は格闘家として活躍していて、神童クラスの実力を誇っているのだ。今回の任務も彼によっては簡単だったに違いない。

 更に兵士からの報告によれば、仲間の女性二人は奴隷として連行。男性については始末し終えているとの事。バルールが滅ぶのも時間の問題である。

 兵士の報告にザルバッグは納得の表情で頷き、別の二人の兵士も前に出て同様に報告をし始めた。

 

「更にスリワークでもヴィクトル様が既に征服を完了しました!奴隷についてはこちらに向かわれるみたいです!」

「世界名は不明ですが、一人の男をバラーダ様が惨殺に成功!そのまま彼の仲間である女性数名を連行しています!」


 兵士達の勝利報告にザルバッグは次々と冷静に確認する。トップエイトは神室やアルスタインだけでなく、怪力自慢のヴィクトル、魔術師のバラーダもいる。他にも四人のメンバーもいるが、その事については別の話で語る事になるだろう。

 確認を終えたザルバッグは嬉しい笑みを浮かべていたが、すぐに真剣な表情で彼等の方を向く。

 

「ご苦労。トップエイトの活躍は見事としか言えない。お前達も上を目指したいのなら、精一杯頑張るように。だが、敗者は死があるのを忘れるな!」

「「「はっ!」」」


 ザルバッグの合図で兵士達は敬礼し、それぞれの仕事に戻り始める。任務を遂行しなければ、最終的には死が待っている。そうならない為にも兵士達は死に物狂いで任務に臨んでいるのだ。

 兵士達が去った後、ここに残ったのはザルバッグ一人。彼は椅子に腰掛けながら今後の事を考え始める。


「我々を倒そうとする輩はいっぱいいるが、ベクトルを撃退し、べムールを倒し、ホムラ支部を壊滅させた輩共については只者ではないみたいだな……」


 ザルバッグは真剣な表情をしながら、零夜達の事を考えていた。恐らく彼等は今までの戦士達の中でもずば抜けた実力を持っている為、下手をすればアークスレイヤーは完全に壊滅する事になる。更に他の世界にも零夜達に負けない実力者もいる為、ますます油断ならないと言えるだろう。

 ザルバッグは真剣な表情でどうすればいいか考えたその時、一人の兵士が彼の元に駆けつけていた。


「ザルバッグ様、スリワークの奴隷達が到着しました!その数については二十人ぐらいです!」


 兵士からの喜びの報告に、ザルバッグは喜びの表情でうんうんと頷きながら視線を合わせる。奴隷達が自身の元に来る事がとても嬉しいだろう。

 

「そうか。ボロボロの服を着させる理由にはいかない。すぐに彼女達の服を着替えさせてくれ」

「了解しました」


 ザルバッグの真剣な表情での命令に兵士が一礼した直後、彼はすぐに思い出して更に命令を付け加える。


「あと、長いズボンを履いている奴は強制的にスカートかショートパンツ、ハーフパンツを履かせろ。わしはそういう物は好みではないのでな」

「はっ!それにしてもザルバッグ様は意外な部分が好みなんですね」

「うるさい!ぶっ飛ばすぞ!」


 兵士はニヤケ顔でザルバッグの方を見るが、彼は赤面しながら叫ぶのも無理なかった。まあ、人にはそれぞれ好みがある為、こればかりは仕方がないだろう。



 同時刻のグラディアス。アルフレッドを殺した神室はホムラの街を後にしていて、川の近くに腰を下ろして座っていた。この日の夜は満月となっていて、ミミズクの鳴き声が聞こえている。まさに今の場所に相応しい音だろう。


「あいつも不幸だよな……零夜達に敗北した挙げ句、地位も名誉も奴隷も……足の自由でさえ失われてしまったからな……」


 神室はアルフレッドの事を思い浮かべながらため息をついた後、夜空に浮かぶ満月を見上げる。その日は雲一つなく、綺麗な満月が見えているのだ。


「だが、任務に失敗した以上は責任を取らなければならない……俺だって本当は殺したくなかったが、こうするしかなかった……ごめんな、アルフレッド……」


 神室は寂しそうな表情をしながら、アルフレッドに対して心から謝罪する。本当は彼も殺したくなかったのだが、命令や掟には逆らう事ができなかったのだ。

 同時に冷たい風が穏やかに吹かれ、そのまま神室の髪を揺らし始める。大切な友人を殺してしまった者を慰める様に……



 ゴッドエデンにある神殿ではカーン、トキコ、ロストが真剣な表情をしていて、ウインドウに視線を移していた。それは各神々からの報告による選ばれし戦士達の行動記録であり、その様子が映像で映し出されていた。

 アークスレイヤーのトップエイトにやられたチームもいれば、基地討伐に失敗して滅ぼされたチームもいる。それによって選ばれし戦士達を決める試練は、かなりの難易度で脱落する者が続出しているのだ。しかもその脱落者チームは十以上である。


「やはりこの試練は難しかったのかも知れませんね……アークスレイヤーを倒すにはこの方法しかないのに、犠牲者が続出しています……」

「神々の一部も自らパスするのも多いみたいですが、メディアとアフロディアのチームは順調に進んでいます。しかも、メンバーについてはメディアのチームが揃っているとの事です」


 ロストとトキコの真剣な報告を聞いたカーンはコクリと頷き、そのままウインドウに視線を移しながら真剣な表情をしていた。


「現段階では彼等が選ばれし戦士達である可能性も高いが、まだ他にも有力な人物が出てくるだろう。トキコ、しばらくは監視などの続きを頼むぞ」

「はっ!」


 カーンからの指令にトキコは頷いたと同時に、その場から転移して姿を消した。それと同時にウインドウも姿を消し、カーンとロストはその場から移動した。

 真のヒーローズエイトを決める戦いは、さらなる激戦が予測されようとしている。脱落者も増える中、トーナメントに進む十六チームは一体誰になるのだろうか。それは戦ってみないと分からないだろう。

アークスレイヤーとの戦いは今後どうなるのか?それは先に進まないと分からない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 神室はまだ甘さが見られますね。ザルバッグ様のもと、冷酷に徹し、選ばれし戦士たちを倒すべきという立場ですが。一進一退の戦況が素晴らしいです。今回もとても面白かったです。
[一言] アークスレイヤーサイドって事で零夜達の力を知る敵達。 果たして!? 続きも楽しみですᐕ)ฅ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ