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第68話 決着と新たな恋

今回は決着。更に新たな恋も起こります!

 ダークグリズリーは再び地面に両手を叩き、強烈な闇の波動の波を起こしてしまった。しかし、ジャンヌは槍を構えながら闇を破壊しようとしていて、スピードを上げながら突進をし始める。

 この光景を見れば自殺行為だと誰もが思うが、ジャンヌの槍が光り輝き始めて新たな姿に変化する。それは先が三つに分かれているトライデントの形になり、光のオーラを纏っているのだ。


「この槍こそ光の槍『アルファランス』!闇は破壊します!」


 ジャンヌのアルファランスの突きが炸裂し、波はそのまま煙となって蒸発して消えてしまった。その直後にダークグリズリーの姿が見え、ガンテツ達の猛攻が始まった。


「アックスブレイカー!」

「「煉獄連撃打(れんごくれんげきだ)!」」

「裁きの剣!」

「キャットクロー!」


 ガンテツ達の猛攻によって、ダークグリズリーの体力は半分以下に減らされてしまう。しかし、ダークグリズリーは怒りで活性化してしまい、そのまま彼等に襲い掛かってきたのだ。


「グオオオオオ!」

「躱せ!」


 トラマツの合図で全員が跳躍しながら回避したその時、倫子が赤いオーラを纏って急降下し始める。彼女の狙いはダークグリズリーであり、そのままスピードも上昇して彼に襲い掛かってきた。


紅蓮落下弾(ぐれんらっかだん)!」

「グオッ!?」


 倫子の赤いオーラの蹴りがダークグリズリーの背中に直撃してしまい、彼はダウンして前のめりに倒れてしまう。


「今の内に攻撃を!更に結合崩壊もするんや!」

「「「了解!」」」


 倫子の合図と同時に、ミミ達は一斉に駆け出して総攻撃を実行する。彼の左爪、顔、尻尾も結合崩壊されてしまい、さらなる怒りでますます活性化して手につけられなくなる。

 しかし、多くの部位を結合崩壊させた事で、ダークグリズリーの残り体力はあと僅かだ。それを見たエヴァがとどめを刺そうと立ち向かう。

 

「やるなら今しかない。あなたはこれで終わらせるわ!」


 エヴァは駆け出してダークグリズリーを掴み、そのまま軽々と大きな巨体を持ち上げてしまう。


「軽々と持ち上げたの!?ダークグリズリーは体重180kgもあるわよ!」

「エヴァさん、いきなり何をする気っすか!?」


 この光景に皆が唖然としながら驚く中、エヴァはダークグリズリーを上空に投げ飛ばしてしまう。そのまま彼女は跳躍したと同時に、ガントレットからクローを出していく。


「ここから一気に攻める!雷光(らいこう)(みだ)()き!」


 エヴァは稲妻の様な速さで駆け出しながら、ダークグリズリーを次々と切り裂きまくる。雷の様なスピードで連続でダメージを与えまくる。


「凄い!あんな素早い技を出すなんて……」

「これがエヴァの真の力なのか……」

「どうやら今までに溜まった怒りが爆発しただろうな……」


 エヴァの勇姿に皆が心を打たれながら見ている中、彼女はクロー攻撃を終わらせて最後の締めに入ろうとする。悪行三昧を繰り返すべムールに対する怒りを拳に込め始め、拳に白きオーラを纏いながらダークグリズリーに襲い掛かる。


「皆の怒りを……思い知れ!銀狼破壊拳(ぎんろうはかいけん)!!」

「グゴオオオオオオオ!!」


 強烈な白いオーラの拳がダークグリズリーの顔面を破壊し、彼は地面に背中を激突してして砂埃を起こした。砂埃が消えたその跡には金貨と素材、熊肉が置かれていて、べムールは完全に消滅してしまったのだ。


「やった……べムールを……倒した……」


 エヴァは地面にゆっくりと着地した後、息を荒げながらべムールが死んだのを確認する。彼女は溢れる喜びを我慢できず、息を大きく吸い込み始める。


「ウオオオオオオオオオオオオン!!」


 そのままエヴァは狼の咆哮を上げ、彼女の目からは既に涙が頬を伝って流れていた。故郷を滅ぼされた恨みを晴らしただけでなく、死んだ仲間や弟を弔う為に咆哮をしていた……あの涙が何よりの証拠なのだ。

 それを見た零夜は咆哮を終えたエヴァに近づき、彼女の手を強く握り締める。


「エヴァ……今の咆哮は死んだ仲間達だけでなく、アルバスもきっと思っている。見事だと言う事と、仇を取ってくれてありがとう、そして、我らシルバーウルフの誇りだという事を……」

「う……う……うわああああああ!!」


 零夜からの話を聞いたエヴァは、泣くのを我慢できずに彼を強く抱き締める。その姿はまるで子供の様で、今まで我慢した思いが全て吐き出されていた瞬間だった。


「エヴァちゃん、ここまでずっと辛かったんやね……その気持ちは分かるわ……」


 エヴァが大泣きしながら零夜を抱き締める姿に、倫子も涙を流しながらに貰い泣きしていた。ミミ達もお互い頷きながら涙目で笑顔を見せていて、ヒューゴ達も笑顔で頷いていた。


「取り敢えずは一件落着っすね。しかし、こうしてみると……なんか恋人みたいっす」


 バルクは苦笑いしながら声を掛けるが、その一言に零夜は思わず背筋を伸ばしてドキッと赤面してしまう。


「ちょっ!いくらなんでもそれは……」


 零夜が反論しながら言い切ろうとしたその時、エヴァが突然彼に接近してきた。そのまま彼女は……唇を重ねて彼とキスをしてしまった。


「「「へ!?」」」

「!?」

「……?」


 予想外の展開にその場にいる全員が思わず固まってしまい、ミミに関しては驚きの表情であんぐりとしてしまう。それと同時にエヴァは唇を離した後、零夜の頭をポンポンと撫でる。


「ありがとう、零夜。私はあなたの事が好きだから」

「あ、ああ……」


 エヴァが笑顔で零夜から離れた途端、ヒカリが彼に近付いて右肩をポンポンと叩く。その表情は顔を真っ青にしていて、ガタガタと震えているのだ。


「零夜君、あれ……」

「へ?」


 ヒカリが指差す方に視線を移すと、零夜の後ろではミミが怒りの炎を出していた。そりゃ別の人が彼を好きになったら、こんな展開になる事を予想するのも無理ないだろう。


「うおっ!?ミミ姉!?」

「零夜の……大馬鹿野郎!!」


 ミミは怒りのあまり何処からか取り出した巨大ハンマーを軽々と持ち上げ、そのまま勢いよく振り回しながら零夜を打ち飛ばしてしまった。


「ぎゃあああああ!!」


 哀れ零夜はその場から西の方角にある茂みの中へと飛ばされてしまい、そのまま地面に激突してしまった。


「やり過ぎたかな?」

「あのな……」


 エヴァは苦笑いしながら頭を掻いていて、その様子ちトラマツは呆れながらため息をついてしまう。ミミは嫉妬心を抱えたまま頬を膨らましていて、ルリカも同様だったのは言うまでもなかった。



「いつつ……」


 一方、茂みの中では零夜が頭を抑えながら起き上がっていた。幸い零夜は頑丈なので大丈夫そうだが、普通の人なら死ぬレベルなのは間違いない。


「ミミ姉、いくらなんでもやり過ぎだろ……俺もキスされた事は悪いけど……」


 零夜が自身の行動にため息をつきながら反省している中、倫子が茂みの中から姿を現した。彼が飛ばされていた事を心配していたので、自ら志願して救出の為に駆け付けてきた。


「大丈夫?」

「なんとか……」


 零夜は倫子に身体を支えられながら歩き出し、そのまま彼女と共に皆の元へと向かい出す。ダメージが残っている分、油断は禁物だろう。


「それにしても、なんでミミ姉は別の人と恋人関係になってしまうと、暴力を振ってくるのでしょうか……?」


 零夜がミミの怒りの行動に疑問に感じる中、倫子は寂しげな表情で彼の方に視線を移す。


「それはね……ミミちゃんは零夜の事が好きなんよ」

「えっ!?ミミ姉が!?」


 倫子からの衝撃の説明に零夜は驚きを隠せずにいた。普段からミミとは幼馴染の関係だったが、まさかの事実に彼は驚きを隠せないのも無理はない。


「うん。グラディアスに向かう二日前の頃、ミミちゃんと二人きりで話をしていたの。その時に零夜君の事で話をしたら、顔を赤くなっていた事もあったからね。ひょっとすると……零夜君の事が好きなんじゃないかって」

「じゃあ、エヴァとルリカだけでなく、ミミ姉も恋の感情を持っているという事なのですね……気が付かなかった俺が馬鹿だったのかも知れません……」


 倫子からの衝撃の事実を聞いた零夜は、自らの行いを反省しながら俯いてしまう。それを見た彼女は心配そうな表情をしながら、優しく彼の頭を撫でる。


「後で謝りに行こう。そしたらミミちゃんも分かる筈だから」

「はい……」


 倫子からのアドバイスに零夜は俯きながらも頷き、彼等はそのまま仲間達の元へと戻ったのだった。

エヴァが零夜の事を好きになりました。果たしてどうなるのか!?

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― 新着の感想 ―
[良い点] べムールさんはお肉になっていたのですね。「落ちていた」ではなく、「置いてあった」というあたりに彼の人柄を感じました。やられてなお、仕事が丁寧ですね。今回もとても面白かったです。
[一言] ダークグリズリー、そしてベムールを倒した零夜達。お見事でした!! そしてエヴァとエヴァはいい関係になりそうです!! 続きも楽しみです!!
[一言] 皆の力で敵を倒しエヴァの心も救われたと思います! そしてエヴァは零夜に惹かれましたね! さてさて続きも楽しみです(*´艸`)
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