第51話 ルシアとの戦い
今回はルシアとの戦いです!
ルシアは両手から闇の光弾を次々と生成したと同時に、零夜達に狙いを定めながら銃のように飛ばし始めた。
零夜達は次々と回避するが、光弾は壁に激突して爆発を起こした。その威力はとても凄く、壁に爆発の跡まで残されている。
「凄い威力だ……下手したら死んでしまうかもな……」
「何れにしても油断ならないわね。ベイブとは攻撃方法が違うけど、油断できないと感じた方が良いわ!」
零夜は冷や汗を流しながら少し身体を震わせ、エヴァは真剣な表情で皆にアドバイスをする。倫子達も真剣な表情で頷き、ルシアの攻撃の様子を伺いながら戦闘態勢に入っていた。
「ほう。この様子は警戒しているな。なら、これならどうだ?」
ルシアは指を回しながら闇の波動攻撃を繰り出し、危機感を抱いた零夜はすぐに真上に跳躍しながら回避する。
「気を付けろ!催眠術だ!」
「へ?キャッ!」
零夜の叫びにヒューゴ達もサイドステップなどで回避するが、紬が催眠術を喰らってしまい、そのまま尻餅をついて倒れてしまう。
「紬に当たったか!クロエ、早くリカバリーを!」
「催眠術なんて大した事ないんじゃ……」
零夜の指示にクロエが催眠術なんて大した事ないと苦笑いしていたその時、紬が顔を赤くしたと同時にいきなり服を脱いでしまう。
「へ?紬?」
「ん……」
クロエが紬の行動にキョトンとしたその時、彼女はスカートも脱いでしまい、そのまま肩紐なしの赤い下着姿になってしまった。この姿だと間違いなく変態であり、ヒューゴ達は思わず赤面しながら騒然としてしまう。
「なんだこの姿は!?」
「どういう事だ!?」
「何してるの、紬!?」
「恥ずかしいから止めて!」
ヒューゴ達が両手で顔を抑えながらパニックになってしまうが、ルシアはクククと笑いながら彼等に視線を移していた。
「この催眠術は女性にしか効かない特殊催眠術だ。それを浴びると服を脱いで最終的には全裸になる。名付けて「花魁催眠術」だ!」
ルシアが出した催眠術をあくどい笑みで説明したその時、ガブリと後ろから頭を噛みつかれてしまう。
なんとエヴァが素早い動きでルシアの背後に移動し、そのまま彼に噛み付いていたのだ。
「ギャアアアア!痛い〜!」
「くだらない魔術をかけるな〜!」
ルシアは頭から血を流しながら悲鳴を上げてしまい、そのままの状態で必死に走り出してしまう。自業自得だと言えるが、女を怒らせたら最終的にはこうなるだろう。
「まあ、無理も無いな……けど、今がチャンスだ!」
零夜はすぐに走りまくるルシアにスピードを上げて襲い掛かり、強烈な右ストレートを彼の顔面に浴びせた。その衝撃はトラック並みにとても強く、ルシアは勢いよく真横に倒されてダウンされてしまった。
因みにエヴァは零夜が来ると感じ取り、素早くルシアから離れたのでノーダメージで済んだ。
「凄いパンチね。今の一撃は強烈だったわ」
「まあな……」
エヴァが零夜のパンチを称賛する中、紬が催眠術から目を覚まし、自身の状況に気付いて赤面してしまう。零夜のパンチでルシアがダウンしてしまった事で、紬の催眠術が強制解除されたのだ。
「きゃああああ!何ですかこれは!」
「元に戻った!早く服を!」
「やれやれ。一件落着だね」
クロエは紬が元に戻った事に安堵する中、早く服を彼女に渡して着替えさせる。この光景にヒューゴも安堵のため息をつく中、零夜に殴り飛ばされたルシアが怒りの表情で起き上がった。
どうやら催眠術を強制的に終わらせただけでなく、後ろから噛み付かれた事に怒りを感じているのだろう。
「よくも作戦をぶち壊してくれたな……もう許さん!」
ルシアは怒りで駆け出したと同時に、強烈なラリアットで零夜の首に当ててダウンを奪ってしまう。しかも闇威力の効果もあるのでダメージは更に倍増しているのだ。
「零夜、無事か!?」
「まあな。まさかルシアがプロレスを覚えているとは……どうやらアークスレイヤーもプロレスを覚えている様だな」
零夜は冷静に立ち上がったと同時に戦闘態勢に入り、ルシアに対して真剣な表情をしていた。その様子に彼はニヤリと笑いながら、コツコツと零夜に接近してくる。
「我々アークスレイヤーもプロレスは覚えている。この私が近接ができないと思ったら大間違いだ!」
ルシアがチョップを零夜に浴びせようとするが、彼はその手首を掴んで強烈な膝蹴りを腹に浴びせる。その衝撃でルシアは怯んでしまい、零夜はすかさず彼を背負投げで投げ飛ばす。
「うおっ!」
ルシアは背中を再び強打して動けなくなってしまい、零夜は地面に手を当てて柱を召喚する。
「柱なんか召喚して何するのでしょうか?」
「さあ……」
零夜の今の行為にルリカとキララが疑問に思いながら首を傾げたその時、零夜は柱の上に登って背を向けたと同時に飛ぼうとしているのだ。
「まさか自殺行為か!?馬鹿な事はよせ!」
「いや、違う……あれは……!」
ヒミカが零夜の行動に驚きながら叫ぶが、ヒューゴは首を横に振りつつ、零夜の姿に視線を移しながら笑みを浮かべていた。
すると零夜は背中を向けた状態からジャンプし、バック転をしながら地面に横たわっているルシアめがけて、ボディ・プレスを叩き込んだ。
これぞ零夜の十八番であるムーンサルトプレスだ。
「がはっ!」
ルシアはあまりの威力に吐血してしまい、そのまま戦闘不能になって倒れてしまう。零夜は彼が倒れているのを確認した後、すぐに立ち上がってその場から移動し始める。
「こんな技が……あるとは……恐るべし、プロレス……」
ルシアはそのまま息絶えてしまい、塵となって消滅。それと同時にアルカス制圧も成功し、味方の兵士達が倒れている敵を次々と拘束し始めた。
「凄いです、零夜様!この様な技は初めて見ました!」
「今の技がプロレスだからな。ルリカも頑張れば必ずできるぞ」
「はい!私も頑張ります!」
ルリカが興奮しながら零夜の行動に興味を持ち始め、彼は彼女の頭を撫でながら笑顔で応えていた。その様子にミミは頰を膨らましながら嫉妬しているのも無理はない。
「それにしても、まさかこの様な技を繰り出すとは……お陰でヒヤヒヤしたぞ」
「すいません。驚かせてしまって……」
「だが、無事で良かった。ルシアを倒したのは見事だったぞ」
ヒミカが苦笑いしながら零夜の行為を指摘し、彼はすまなさそうな表情で彼女に謝罪する。それにヒミカは零夜に対して笑みを浮かべた後、すぐに真剣な表情で全員に視線を移す。
「アルカスも制圧し、残るは領主親子だ。しかし、奴等は何を仕掛けてくるか分からない。油断は禁物だ」
「更に奴隷もいるとなると、私達の手で救う必要があるわね」
「何れにしても油断できないし、早くなんとかしないと!」
ヒミカと倫子の説明とミミの決意に全員が頷き、零夜は空を見上げたと同時に自身の拳を握りしめる。
(いよいよアルフレッドとの戦いが始まるか……俺はあいつを……許さない……)
零夜は心の中でアルフレッドを倒す決意を固めたと同時に、そのまま仲間達と共に領主親子のいる館へと向かったのだった。
ルシアを撃破し、残るは領主親子のみ!その前にダークサイドに入ります!




