表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/277

第44話 エヴァの誓い

今回はエヴァの誓いです!

 零夜達はそのままホムラへと帰還すると、そこにはミミ達が彼等の帰りを待っていた。その様子だと二人の事を心配していたのだろう。


「二人共、大丈夫なの?」

「ああ……迷惑かけてごめん……」

「私もごめんなさい……ショックが大きすぎて……」


 零夜とエヴァがすまなさそうに皆に謝罪をしたその時、ミミは零夜、倫子はエヴァをムギュッと抱き締め、そのまま彼等の頭を優しく撫で始めた。


「大丈夫。私達が側にいるから。ショックがあるのなら、私達にも頼っていいからね」

「私達は既に仲間だから!」

「皆、ありがとう……」


 エヴァは涙目となって笑みを浮かべ、零夜はこの光景に微笑んでいた。


「それにしても……まさかアークスレイヤーはこんなにも奴隷を連れていたなんて……」


 アミリスは視線の先を奴隷達の方に移すと、彼女達はアーニャ、サーシャと再会を果たして喜びを分かち合っていた。このまま離れ離れになったらどうなるか心配していたが、お互い無事で良かったと思っているだろう。


「けど、再会できたのは良かったからな。おまけにヒカリさんはモンスターを既に仲間にしているし……」


 零夜が指差す方を見ると、ヒカリは二匹のバオバオにマジカルハートを浴びせ終えていて、彼等をスピリットに変えて自らのバングルに入れていたのだ。


「「「おおーっ!」」」

 

 この様子を先程ギルド管理協会に預けられていた奴隷達が盛大に拍手をしていた。因みに彼女達は零夜達の傍で戦いたいと自ら決意をしたので今に至っていた。


「まあ、ベイブを倒したのはギルドで情報が伝わっていたからな。まさかエヴァが倒したのは驚いたぜ」

「別に大した事じゃないわよ。仲間達を殺したあいつを許さなかっただけだから」


 ソニアはエヴァの行動を称賛しながら笑みを浮かべるが、彼女は苦笑いしながら否定していた。その様子を見たヒカリはエヴァに近付いて彼女の肩を叩く。


「でも、エヴァが最後まで諦めずに立ち向かったからこそ、今に至るんじゃないかな?私は見事だと思うわ!」


 ヒカリは笑顔でエヴァを称賛し、彼女は自身の拳を見つめながら微笑む。


「そうかもね。明日はシルバーウルフの跡地に向かいましょう!そこで殺された皆のお墓を建てたりしないと」

「そうね。話を聞いた以上、クエストどころじゃないし、明日はそれでやりましょう!」


 エヴァの提案にキララも賛同し、皆も一斉に頷く。そのまま彼等は今日の疲れを癒やす為に宿屋を探しに向かい始めた。しかし、零夜達十二人と奴隷が三十人以上いる為、人数の多さにお金が掛かるのも無理なかった。



「何!?ベイブがやられただと!?」


 アークスレイヤーホムラ支部基地では、部下からの突然の報告に、べムール達は驚きを隠せずにいた。まさかベイブがやられた事は予想外としか言えないだろう。


「はい!奴隷達も既に解放されてしまいました!ベイブ様を倒したのは同じシルバーウルフのエヴァです。奴等はホムラの街にいます!」


 部下からの説明にべムール達は納得の表情をした後、すぐにある事を思い出したと同時に、彼は部下に視線を移し始める。


「ここからはルシアに任せるとしよう。ホムラには協力者がいるが、奴等についてはこのホムラで一番偉い人だ。その為、アークスレイヤーのメンバーで構成されている騎士団も、彼等の許可が無ければ設立はできなかっただろう」


 べムールからの説明に部下だけでなく、マルセル達も納得の表情をする。ホムラに協力者がいるとなると、わざわざ零夜達の元へ襲撃しなくても良いだけでなく、彼等の手で捕まえてしまう事も可能なのである。


「そうですね。では、ルシア様にお伝えしておきます!」


 部下は納得の表情で敬礼したと同時に、ホムラの街にいるルシアに連絡を始める。その様子を見ていたマルセルは協力者が誰なのかすぐに分かった。


「もしかすると……彼等の事でしょうか?」

「そうだ。彼等なら我々が手を出さなくても何とかしてくれるだろう。奴等がホムラの街にいる限りはな」


 べムールは冷静な表情でマルセルに説明し、それを聞いた彼は納得の表情をする。同時にホムラの街での戦いも始まりを告げようとしていたのだった。



 それから翌日、零夜達はエヴァの案内でシルバーウルフの村に辿り着くと、異様な光景を目にする。

 村は荒れ果てていて、多くの死体が転がっていた。ベイブ達の手によってやられていたのだろう。


「酷い有り様だな……」


 零夜は真剣な表情をしながらも前に進み、遺体の状態を確認する。どうやら死後半日以上は経っているだろう。

 すると、少年の遺体が転がっているのを見つける。年齢は八歳ぐらいで、ボロボロの服を着ていた。


「子供までも殺すなんて……どれだけやれば気が済むんだ……!」


 零夜はアークスレイヤーのやり方に憤慨しながら身体を震わせる中、エヴァはその遺体に駆け寄って顔を覗き込む。その顔を見たエヴァは目に涙を浮かべ、そのまま遺体を抱きしめた。

 そう。この遺体こそエヴァの弟であるアルバスなのだ。


「アルバス……ごめんね……駄目なお姉ちゃんで……」


 エヴァは涙を流しながらアルバスに謝罪し、その光景に零夜達はただ黙り込むしかなかったが、すぐにお墓を建てる作業に取り掛かった。



 その後、村の跡地に多くの墓が建てられ、その前には記念碑が建てられていた。そこには『シルバーウルフの戦士達、ここに眠る』の文字が刻まれている。

 零夜達は真剣な表情で目を閉じながら黙祷を捧げ、すぐに彼は皆の方を向く。


「この作戦を出したのはベムールだ。元凶である奴を倒さなければ、戦いは終わる事はないだろう」

「何れにしても戦う事になるが、覚悟は出来ているか?」


 トラマツとノースマンの説明に誰もが頷きながら戦う事を決意したその時、エヴァが前に出て空を見上げ始める。


「私も覚悟はできているし、そのお陰で新たな目標もできた。死んでしまったアルバス、故郷の皆の分まで精一杯生きまくり、アークスレイヤーを壊滅させる!」


 エヴァの強い決意に零夜達も頷いたと同時に、すぐに彼女の元に駆け寄り始める。当初はエヴァがこのまま落ち込んでいるんじゃないかと心配していたが、彼女が新たな決意を固めていた事で、喜びを隠せずにはいられなかった。


「目標を決めたからには頑張らないとな!」

「一緒に頑張りましょう!」

「ええ!」


 零夜とルリカの励ましにエヴァが笑顔で応えたその時、アーニャとサーシャ、シルバーウルフの女性達も彼女の元に駆け付けてきた。


「私も応援しているから!」

「頑張ってね!」

「任せて!必ず倒すから!」


 シルバーウルフの女性達からエールが送られ、エヴァは決意の表情をしつつ、ガッツポーズをしながら返した。この様子を見ていたトラマツとノースマンは微笑みながら見ていたのは言うまでもなかった。



 その後、零夜達はホムラに戻り、アーニャ、サーシャ、シルバーウルフの皆、奴隷達はリリアの手続きでメディアの屋敷に向かう事になった。今後は前に救出した奴隷達と合流する事になるが、今後の予定は明らかになっていない。

 零夜達はメディアの屋敷へと繋がるゲートに入るアーニャ達を見送り、彼女達が入り終えたと同時にゲートは消えた。


「さてと、べムールとの戦いに備えてクエストに行こうぜ!」


 零夜がすぐにギルドへ向かおうとするが、エヴァが彼の肩を掴んで待ったをかける。何か話があるみたいだ。


「待って。どうせなら皆でホムラの街を探索しない?私達、戦いばかりだからたまには休まないと」


 エヴァの提案に皆もコクコクと同意しながら頷く。戦いばかりではなく、観光も楽しみたいのが彼女達の本音であるのだ。


「しょうがない……じゃあ、そうするか」


 零夜は苦笑いしながらもエヴァの提案に承諾し、皆はそれぞれのグループに分かれてホムラの街での休日を楽しみ始めた。

エヴァも決意を固め、次回は休日!ここでキララとルリカの過去の話をお届けします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 勝利に盛り上がりつつ、敵が焦るというのは定番ですね。読んでいて続きが楽しみになる場面でした。
[一言] 主人公達にも時には休日も必要ですね(*^_^*) ホムラの街での観光期待です(*^_^*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ