第34話 ボルグレンとの戦い
今回はボルグレンとの戦い!
ヒューゴ達はスパイラーを撃破し、彼が倒れている場所に視線を移す。スパイラーは負けた事を悔しがるどころか、少し笑みを浮かべていた状態で天を仰いでいた。
「なるほどな……アンタ、強過ぎるぜ……そりゃ、勝てないのも……無理ないよな……」
スパイラーは苦笑いをしながら消滅してしまい、跡に残ったのは魔道士グローブだけとなった。
ヒューゴはそれを拾い、スパイラーに黙祷を捧げた後、後ろにいる皆に視線を移す。
「よし!こっちは無事に終わった!」
ヒューゴがグッドサインで笑顔を見せ、ドワーフ達は喜びながら歓声を上げる。自分達の鉱山を守り通してくれたヒューゴに感謝しつつ、無事に守り切る事が出来たと実感しているのだ。
「お前さんは立派だ!」
「俺達の鉱山を助けてくれてありがとう!」
「いえいえ。大した事じゃないですから」
ドワーフ達からの称賛にヒューゴが苦笑いする中、失神していた紬が起き上がる。彼女はキョロキョロと辺りを見回しながら敵がいないか確認していたが、もう終わっていた事にがっくりと項垂れていた。
「まさかあの臭さで失神してしまうなんて……」
紬は退屈座りで落ち込んでしまい、それを見たクロエはよしよしと彼女の頭を撫でながら慰め始める。
「これで残るは零夜達だけだな。あいつ等ならやってくれるだろう」
「そうじゃな。相手はボルグレンだが、零夜達ならやってくるっ!おいは信じちょっでごわす!」
タカゾウとガンテツは零夜達が勝つ事を信じていて、ヒューゴはフルール基地のある方角に視線を移す。
(残るは零夜君達だけか……必ず勝つ事を信じている!)
ヒューゴは心の中で零夜達が勝つ事を信じつつ、アースドグラによって一部崩れかけている鉱山の立て直しに取り掛かり始めた。
※
一方、零夜達はフルール基地の外に転移した後、今いるメンバーが全員がいるか確認する。零夜達選ばれし戦士達は勿論、奴隷達、トラマツ、ノースマンと全員いるのだ。
「これでよし!全員救出したし、後はこの場から立ち去るのみね!」
倫子は手を叩きながら笑顔となっているが、零夜はすぐに立ち去る事に疑問に感じる。まだボルグレンが残っているのに、いきなり去るのはおかしいからだ。
「立ち去る?どう言う事ですか?」
「基地にダイナマイトを仕掛けたからね」
「「「ダイナマイト!?」」」
倫子の説明に皆が驚いたその時、基地が突然光出し、盛大な大爆発を起こした。基地はガラガラと崩れてしまい、あっという間に瓦礫となっていく。
この光景を見た零夜達はあぜんとするしかなく、こんな事をして良いのかと感じるのも無理はない。
「倫子さん、そこまでしなくても良いんじゃ……」
「そうかな?でも、これで……ん?」
倫子が視線の先を見てみると、爆発の中からズタボロのボルグレンがズシンズシンと姿を現す。それは中年の姿で貴族風の服を着ていた。
「悪魔より卑怯な事をする奴め!よくも我が基地を破壊してくれたな!」
基地を破壊されていたボルグレンは怒り心頭で、倫子達は彼をジト目で見ていた。元はといえば彼が悪いのに、卑怯だとか言われる筋合いはないからだ。
「元はアンタがやらかしたのが悪いんとちゃうん?」
「やかましい!貴様等を倒さねば気が済まん!」
ボルグレンは怒りで両手から風の光弾を生成し、そのまま発射し始める。しかも、光弾は多く作られている為、回避するのは難しいと言えるだろう。
「そうはさせない!カウンターバリア!」
ヒカリは皆を守ろうと前に出たと同時に、カウンターバリアで多くの風の光弾を次々と弾き返す。
すると風の光弾はボルグレンに向かってきて、彼に当たったと同時に爆発を起こした。
「がはっ!」
ボルグレンは爆発のダメージを受けて倒れるが、すぐに立ち上がる。彼はしぶとさが持ち味で、何度倒れても立ち上がる精神を持っているのだ。
「わしはこう見えてもしぶとい性格なのでね!次行くぞ!」
更にボルグレンは闇の光弾を次々と両手から発射しまくり、ヒカリはカウンターバリアで全て弾き返す。
この状態が続けばバリアの効果が切れてしまい、彼女が被弾してしまう可能性も時間の問題だ。
(このままだとまずいな……こうなったら俺が止めに向かうしかない!)
零夜はボルグレンの攻撃を止める為に勢いよく駆け出し、光弾を回避しながら彼の元に向かっていく。
「貴様、自殺行為をする気か!」
「そんなの……関係ない!」
自ら身を滅ぼす動揺するボルグレンに対し、零夜は素早い強烈な斬撃でボルグレンの身体を切り刻む。しかし、彼は傷を自動回復で治してしまい、何事も無かったように平然としている。
いくら攻撃を与えても焼け石に水だ。
「わしを甘く見るな!このぐらい余裕だ!」
(攻撃しても自動回復までしてくるとは……さすがに倒すのは大変そうだな…)
トラマツがこの光景に冷や汗を流していたその時、ノースマンが剣を口に構えて立ち向かう姿勢を見せる。どうやら自身も戦う覚悟を示しているようだ。
「ノースマン……やる気なのか?」
「ああ。俺もボルグレンと戦う!他の皆は?」
ノースマンは自ら戦う覚悟を示しながら、奴隷女性達にも質問する。すると彼女達は武器を構えながら戦闘態勢に入り、自らも戦う覚悟を決めているのだ。
「私達も戦います!やられっぱなしではいられません!」
「そうか。なら、攻撃開始だ!」
ノースマンの合図と同時に、奴隷女性達は自らの武器を構えてボルグレンに立ち向かう。今まで奴隷として扱っていた分、精算してもらうと決断しているのだ。
「まさか奴隷達まで反乱を起こすとは……格の違いを見せてやる!」
ボルグレンも自らの剣を引き抜き、襲い掛かる奴隷達の攻撃を次々と受け流す。更にミミ達も加勢して攻撃を仕掛けまくるが、ボルグレンは何れも全ての攻撃を受け流す為、容易には倒してくれない。
「くそっ!しぶといな!」
「そう簡単には倒れぬよ!ダークウインド!」
ボルグレンは自らの闇を駆使し、強烈な闇の風を吹かせ始めた。すると強烈な竜巻が次々と出現し、ミミ達に直撃してダメージを浴びせていく。
「「「きゃあああああ!!」」」
ミミ達は一斉に竜巻のダメージを受けていく中、奴隷達はダメージを強く受けすぎて次々と倒れてしまう。
残ったのは零夜達八人の選ばれし戦士達、トラマツ、ノースマン、二人の奴隷となってしまった。
「まさかやられてしまうとはね……まだやれる?」
「なんとかね……このぐらいなら平気だから!」
ミミ達に至っては身体がボロボロになっても、まだまだ戦える覚悟はあるので問題ない。
「まさか多くが強烈な竜巻でダメージを受けるなんてね……甘く見ていたのも無理ないな……」
トラマツが真剣な表情で冷や汗を流す中、アミリスが千里眼でボルグレンの様子を探る。すると、とんでもない事実を発見し、驚愕の表情をしてしまう。
「皆、ボルグレンの身体を確認したけど、どうやら彼の中に魔道具が隠し持たれていたわ!」
「魔道具?じゃあ、ボルグレンが傷を自動回復したり、しぶとさを持っていたのも……」
零夜はボルグレンのこれまでの行動を振り返りながら推測する。ボルグレンは確かにフルール基地のリーダーだが、戦力としては普通にしか過ぎない。しかし、彼ほどの男が傷の自動回復をしたり、強烈な攻撃でもしぶとく耐えていたのはあからさまにおかしいと言っても良いだろう。
「奴が魔道具を持っているのなら、その魔道具を奪えばこっちの物だな。だが、どんな形が分かれば良いのだが……」
ソニアが深く考え出したその時、ボルグレンが付けている指輪が光り輝き、それと同時に闇の弓矢の雨が彼女達に向かって降り注いできた。
「これで終わりだ!戦士達よ!」
ボルグレンが勝利を確信しながら叫び、闇の弓矢の雨は非常にも零夜達に襲い掛かってきた。
零夜達は絶対絶命!果たしてどうなるのか!?
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