第33話 スパイラーとの戦い
今回はスパイラーとの戦いです!
零夜達がフルーラ基地に向かう中、ヒューゴ達はヘンダル鉱山を守る事に専念していた。いつ襲ってくるか分からないので用心をしている。
「今のところは異常なしか……それにしても、この鉱山を狙う刺客はどんな奴だ?」
「噂によれば、鉱山を喰らうアースドグラちゅう馬鹿でけモグラがおっ。そんわろはおい等にとってん天敵でごわすからな」
「となると、一筋縄ではいかないだろうな」
ガンテツの話にヒューゴが真剣な表情をする中、突然地面が揺れ始める。どうやら敵が来たという合図だ。
「来たぞ!アースドグラだ!」
「ようやっ来たか!おい等ん鉱山を破壊すんなら容赦せん!行っど、ヒューゴ!」
「ああ!」
ヒューゴとガンテツは急いでアースドグラのいる鉱山の中へと向かい出した。
※
ヒューゴ達が鉱山の中に辿り着くと、そこにはアースドグラが咆哮を上げていた。その姿はとても大きく、鼻はドリルとなっている。まさにとんでもないモグラと言えるし、手強いのも無理はない。
「ドリルモグラのビッグバージョンか。この様子だと何者かに使役されているな」
「ええ。ここは戦いましょう!お願い、インプファイター!」
紬はインプファイターを召喚し、彼は真剣な表情で武器を構えつつ、戦闘態勢に入る。
「マジで行くぜ!」
インプファイターはやる気を上げながら剣を構えて立ち向かい、アースドグラにダメージを与えていく。しかし、彼には効果なく平然としていた。
「やはり外からじゃキツイかもな……となると、中からの攻撃が有効だ!」
「分かったわ!皆さん、アースドグラが口を開けたら爆弾を投げてください!ありったけでお願いします!」
ヒューゴの真剣な推測と紬の指示で、ドワーフ達は急いで多くの爆弾を用意し、次々と火をつけ始める。
その数はとても多く、百個以上ある。奴を倒すにはそれしか方法はないのだ。
「本当にこんなので大丈夫なのか?」
「はい!皆さん、アースドグラが口を開いたら一斉に投げてください!」
ドワーフ達が疑問に感るが、紬の説明に彼等は納得する。それと同時にアースドグラが口を開けてきた。
「今だ!」
ドワーフ達は次々とありったけの爆弾をアースドグラの口の中に入れるが、彼の唾液で火は消えてしまう。
「火が消えたなら私に任せて!マジックファイア!」
クロエは魔術で次々と爆弾に再び点火させ、そのままアースドグラの口の中で強烈な大爆発を起こしたのだ。
「よし!成功!」
クロエが笑顔で指を鳴らしたと同時に、アースドグラはそのまま倒れて動かなくなった。
「おお!アースドグラが倒れた!流石は勇者一行だ!」
「大した事ないけどね……」
ドワーフ達からの称賛にクロエは照れ臭そうに横を向き、そのままツンデレを発動させた。どうやら固有スキルのツンデレが炸裂したからこそ、ドワーフ達は次第に彼女に興味を持つようになったのは言うまでもない。
「今の行為で人気になりつつあるな。ここはグッズ販売を……」
「はっ倒すわよ」
「あい」
アカヤマがクロエのツンデレグッズ販売を企もうとするが、彼女にバレてしまうのも無理はない。クロエはギロリとアカヤマを怒りの恐怖で睨みつけ、彼は背筋を思わず伸ばしてしまう。
「まあまあ。取り敢えずはアースドグラを倒したけど、問題は……」
ヒューゴが真剣な表情で視線の先を向くと、一人の男が宙に浮かんでいるのが見えた。
彼は道化師の服を着ていて、骸骨の仮面を着用している。彼こそこの騒動の元凶だ。
「まさか俺の気配に気付くとはな。俺の名はスパイラー。フルーラ基地の猛獣使いだ」
「フルーラ基地の者か!お前がこの騒動の元凶だな!」
スパイラーの自己紹介と同時に、アカヤマが反応して叫んでしまう。
スパイラーは地面に着地した直後、すぐに戦闘態勢に入り始めた。
「そうだ。よくも俺の可愛いペットをやってくれたな。始末してくれる!」
スパイラーは一斉にゴブリンを召喚し、そのままヒューゴ達に襲い掛からせる。
「やるからには彼を倒しましょう!」
「ええ。何事も油断は禁物!」
「おいも選ばれし戦士ん一人!やってやっかっごは心んなかにあっでな!」
「よし!行くぞ!」
「「「おう!!」」」
ヒューゴ達は一斉に駆け出し、スパイラー達との戦いに挑み始める。ゴブリン達が彼等の前に立ちはだかるが、ドワーフ達が武器を構えて立ち向かって対処し始めた。
ヒューゴ達はゴブリンをドワーフ達に任せて先に進むと、スパイラーは次のモンスターを召喚してきた。だが……何故かふんどし一丁のおっさんが出てきたのだ。
「誰?」
「こいつはふんどし名人の田中さんだ」
「そんな人物知らないからね!」
スパイラーが田中さんを紹介するが、クロエがツッコミ返す。すると、紬が恐怖心のあまりブルブル震え出す。どうやら何かあったに違いない。
「紬は知っているのか?」
「ええ……私達の世界出身です!彼は変態ですが、ふんどし一丁で警官を次々と戦意喪失させた男です!」
「なんだって!?」
紬の説明にヒューゴ達が驚いた直後、田中さんはスピードを上げて駆け出しながら、彼女に勢いよく襲い掛かる。
「ふんどしビンタ!」
「はっ!」
田中さんのふんどしでの攻撃を紬は回避するが、いきなり放たれた臭い匂いに思わず鼻をつまんでしまう。その匂いはまるで硫黄以上のレベルだ。
「臭い……もう駄目……」
紬は臭い匂いにバタンと倒れてしまい、目を回しながら失神していた。あれ程匂いが強烈なら無理もないが、死なない程度で済んでいたのはまだマシだろう。
「馬鹿な!紬がやられるなんて!」
「ふっ!自慢じゃないが、何年も洗ってないからな」
「洗えよ!」
田中さんが自慢するが、スパイラーがツッコミを入れる。あんな臭い匂いをすれば誰だって近寄りたくないし、下手したら失神してしまう。
ヒューゴ達は絶体絶命の状況となってしまい、そのまま冷や汗を流すのも無理はない。
「いくらなんでもこれじゃあ、ジリ貧となるな……」
「どうすりゃ良かとやら……」
ヒューゴとガンテツがどうすればいいのか考える中、クロエが真顔でズカズカと田中さんに近付く。今の行動はまさに自殺行為で危険としか言いようがない。
「嬢ちゃん、貴様も死にたいか。なら、楽にしてやろう!」
田中さんのふんどしビンタがクロエに襲い掛かるが、彼女は冷静にそのふんどしを強く掴んで攻撃を止めてしまった。
この光景に誰もが驚きを隠せず、ざわついてしまうのも無理ない。
「クロエ……掴んだのか?」
「ええ。それよりもアンタ、洗いなさいよ!臭くてたまんないんだから!」
この光景にヒューゴは唖然としていて、クロエは田中さんに注意する。臭くてたまらないふんどしは汚いのは勿論、彼女は汚い物が大嫌いなのだ。
「何を言うか!着る物はこれしか無い!」
「そうなの……だったら、マジックファイア!」
クロエはふんどしに炎を点火させ、そのままふんどしに発火させてしまった。ふんどしはみるみる燃えてしまい、そのまま塵となって使い物にならなくなったのは言うまでもない。
「……ふんどしが……もう駄目……」
田中さんはそのままショックで倒れて消滅してしまい、この光景にヒューゴ達はポカンとしてしまう。まさかの結末で倒してしまうのは想定外なのだ。
「嘘だろ……こんな展開ありなのか?」
スパイラーが想定外の結末に呆然としていたその時、ヒューゴはすぐに我に返って戦闘態勢に入り、スパイラーに斬り掛かる。
「ブレイドスラッシャー!」
「がは……!」
ヒューゴの斬撃はスパイラーを斬り裂いてしまい、彼はそのまま前のめりに倒れてしまう。同時にゴブリン達も消滅してしまい、戦いに決着が着いたのだった。
ヒューゴ達の活躍で見事勝利!
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