第30話 基地への突入
今回は基地への突入です!
基地の中に入った零夜達は、敵がいないか確認してから進んでいた。モンスターと兵士達を倒したといえども、敵は多くいるので油断は禁物と言える。さらに半数が倒されているとなると、残りの半数も基地内にいる可能性があるのだ。
「この辺りは異常なしだ」
「ああ……なんだかドキドキするぜ……」
トラマツの確認にソニアが見つかるかどうかドキドキしてしまう。潜入する事に成功したが、見つかってしまうと戦わなければならなくなる為、不安になるのも無理はない。
すると……いきなりジャンヌの腹の音がぐーっと聞こえる。その音に零夜達はジャンヌの方を一斉に振り向き、彼女は赤面してしまう。
「その様子だと……お腹すいたのか」
「す、すいません……まだ朝飯が足りなくて……」
ジャンヌが赤面しながら零夜に謝罪する中、彼は彼女ににぎり飯を差し出す。具材は何もなく、塩と米だけの素材のみだ。
「こんな事もあろうかと、にぎり飯を用意したからな。どうぞ」
「ありがとうございます!」
ジャンヌはにぎり飯を受け取って口の中に頬張る。すると、今までにない深い味わいを感じ、彼女は思わず笑みを浮かべてしまう。
「おいしいです!」
ジャンヌはにっこり笑いながらにぎり飯を食べていると、エヴァが不思議そうな顔をしながら零夜に視線を移していた。
「ねえ、零夜。これがにぎり飯?」
エヴァはジャンヌが食べているにぎり飯を見ながら、彼に質問する。彼女もこの様な料理は見たことが無く、気になってしまうのも無理ないだろう。
「ああ。俺達の故郷の料理だ。まだまだあるからな」
零夜はバングルからにぎり飯を次々と取り出していく。どうやら念の為に昨日の内に用意していたそうで、その数はたくさんあるほどだ。
「私も食べたい!食べるとしたら辛い物が好きかな?」
「それならこいつだ」
零夜は辛子明太子の入ったにぎり飯をエヴァに渡す。見た目はジャンヌに渡した物と同じだが、中に辛子明太子が入っている。
「ありがとう!」
エヴァは喜んでにぎり飯を受け取り、嬉しそうに食べ始めた。にぎり飯の中に入っている辛子明太子が加わって辛さがピリッと口の中に広がる。
それをエヴァは美味しそうに食べているのだ。
「私も食べる!」
「アタイもくれ!」
「あいよ!」
アミリスとソニアも手を挙げながらお願いし、零夜は彼女達にもにぎり飯を渡す。二人もこの料理がとても興味を示していたので、食べずにはいられなかったのだ。
「すっかりにぎり飯が好きになったわね……」
「もしかすると皆、気に入っているかもね」
「そうですね。零夜君、私達にも」
「はい!」
零夜はヒカリ達にもにぎり飯を渡して一緒に食事を楽しんでいたその時、基地内にいる数人の兵士達が姿を現した。
「お前達、どうやってここに入ってきたんだ?」
「ショータイムダンスで兵士たちを倒したからね!」
兵士達の質問にミミが手を挙げながら笑顔で答える。それを聞いた彼等は冷や汗を流してしまうのも無理ない。
「なんて奴だ!こうなったら俺達だけでも攻撃だ!かかれー!」
「「「おおーっ!」」」
兵士達は一斉に姿を現したと同時に、零夜達に襲い掛かる。
すると、今度は倫子が前に出て戦闘態勢の構えに入る。
「ここは私に任せて!」
「倫子さん!」
倫子は自身の固有スキルであるビューティーオーラを発動させ、身体中からピンクのオーラを出しながら立ち向かう。
「ん?何だこのオーラ……」
「何だか力が抜ける……」
すると兵士達の力がふにゃふにゃと抜けてしまい、あっという間に戦意を喪失してしまう。まさに催眠効果を受けた様に両膝を地面について項垂れていた。
それを見た零夜は一瞬でスキルの効果を見抜く。
「そうか!倫子さんの固有スキルは相手の戦意を喪失させる効果があるのか!」
「ボスとかには効果ないけどね。さっ、今の内に!」
倫子の合図で零夜達は次々と攻撃を仕掛け始め、兵士達を倒していく。兵士達はビューティーオーラによって攻撃できない為、何もできずに次々と倒されていく。
「一気に攻めるのみだ!スラッシュビート!」
ソニアは素早く飛び出したと同時に、カタールを構えながら素早い動きで兵士達を倒していく。
「私も負けられないわ!アローショット!」
アミリスも弓矢を次々と連射して、動けない兵士達を討ち倒していく。何もできない兵士達は次々と倒れていき、全滅するのも時間の問題だ。
「シャインランス!」
ジャンヌも負けじと槍の連続攻撃を繰り出し、兵士達は全員倒されて金貨になった。同時にフルール基地にいる兵士達は全滅し、残るはナマハゲとボルグレンだけとなった。
「これで全部か……確かフルーラ基地のボスはボルグレンという奴だな」
「彼は風だけでなく闇も使うし、格闘魔術の使い手と言われているわ。特に手から繰り出す波動弾は当たったら要注意よ」
アミリスの真剣な表情での説明に、皆は納得の表情をする。支部基地のボスでも中には強い奴もいるので、要注意が必要になる。
「となると、光の魔術がカギとなるわね。ボルグレンは最上階にいるわ」
「光の魔術か……こうなると光龍刀がカギとなるな」
零夜が自身の忍者刀がカギとなると認識したその時、何処からか声が聞こえる。それは悲しそうな声で、すすり泣きが聞こえていた。
「今の声……向こうから声がするわ!」
「なんだって!?」
アミリスを筆頭に声のした場所に向かうと、そこには扉が目の前にあった。しかも頑丈でなかなか開けられない。
「カギは?」
「掛かっているな。ここはアタイに任せろ!」
ソニアは針金を使って丁寧に扉の鍵穴に差し込み、見事簡単に鍵を開ける。
「盗賊スキルの鍵開けさ。どんな物でも針金一本で開けられるぜ」
ソニアは笑みを浮かべながら零夜達に説明し、彼等は喜びの表情をする。
「でかしたぞ、ソニア!さて、中はどうなっているか……」
零夜がゆっくりと扉を開けた途端、驚きの光景を目にする。
「こ、これは……!?」
「嘘でしょ!?」
なんと二十人の女性奴隷が閉じ込められていて、ガタガタと抱き合いながら震えていた。中には泣いている者もいて、おまけに衣装は白い布1枚だ。
「こんなにも奴隷がいるとは……まずは彼女達を助けないと!」
零夜はすぐに奴隷達の元に向かい、手を身体に当てながら彼女達の体調を確認する。
(レベルが上ってから、新たなスキルである体調確認が使える様になった。まさかこんなにも多くの奴隷がいるとはな……)
零夜は心の中で思いながら体調を確認し終え、すぐに心配しているミミ達に視線を移す。
「今のところは異常はない。すぐににぎり飯を渡しておく」
零夜はにぎり飯を奴隷達に渡し、彼女達はすぐに食いついて頬張りまくる。余程お腹が減っていたのだろう。
「はい、お茶」
更にヒカリはお茶を次々と用意し、奴隷達は受け取ったと同時にゆっくりとお茶を飲む。
「ありがとうございます。私達はアークスレイヤーの戦士達によって仲間をやられてしまい、奴隷にされてしまったのです」
「仲間?それってどんな人?」
奴隷の質問にヒカリは首を傾げるが、零夜はすぐに察する。
「各世界における男性主人公だ」
「それって……もしかして!?」
「そう……彼女達は……滅ぼされた世界の生き残りだ!」
「「「ええーーーーーっ!?」」」
零夜の説明にミミ達は驚きを隠せず、トラマツとノースマンは真剣な表情をするしかなかった。
救出された奴隷の真実が明らかに!これからがどうなるのか!?
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