第273話 決勝戦の開幕
今回から決勝戦スタート!
1週間後の朝。零夜達は国立競技場の前に立っていた。この戦いこそヒーローズエイトを決める最大の山場であり、絶対に負けられない戦いとなっているのだ。特に零夜は憧れである風子を超える事を決意しているので、最後まで諦めずに乗り越える事ができるのかだ。
「いよいよこの時が来たみたいだね。最後まで全力で戦い、必ず勝利を掴み取るんだ!」
「俺も全力でサポートする。お前達の戦い、見せてもらうぞ!」
「「「おう!」」」
トラマツとノースマンの激励を受けた零夜達は、真剣な表情をしながら一斉に強く応える。彼等だけでなく、自分達を支えている皆の為、敗退していたチームの思いを糧にして、零夜達はトーナメントで優勝する決意を固めているのだ。
さらに反対側の場所では、風子達が円陣を組んで一致団結していた。彼女達もこの戦いで全てを賭ける覚悟を持っていて、必ず勝つ事を決意しているのだ。
「我々はこの戦いに全力で勝つ!行くぞ!」
「「「おう!」」」
風子の合図と同時に、夢子達も一斉に掛け声を出しながら応えていく。そのまま彼女達は競技場の中へと入って行き、零夜達はその姿に真剣な表情で視線を移していた。
「絶対に勝ちましょう。私達なら大丈夫だから」
「ああ。何が何でも勝つのみだ。行くぞ!」
ミミの掛け声に零夜は真剣な表情で応え、彼等はそのままスタジアムの中へと向かい出す。同時に零夜達の最大の戦いも、始まりを告げようとしていたのだった。
※
競技場内では多くの観客で溢れていて、全席完売という記録を達成したのだ。更に異世界から来た人達も多くいるので、この戦いを誰もが待ち焦がれていただろう。
「凄い人だかりです……こんなにも来ているなんて……」
「皆、この時を楽しみにしていたのね……」
「ええ……色んな人がいます……」
ルリカ達は観客の多さに唖然としていて、ジェニー達も驚きを隠せずにいた。まさかこの決勝戦で多く人が来るのは想定外であり、逆に緊張してしまうんじゃないかと心配する場面も見られるだろう。
「ええ。だからこそ、この戦いは負けられない戦いとなるわけよ。お客の誰もがヒーローズエイトの誕生の瞬間を楽しみにしているのだから」
マーリンの説明を聞いた美津代達は、納得の表情をしながら頷いていた。零夜達にとっては最大となるプレッシャーになるかも知れないが、それを乗り越えるかどうかがカギとなるだろう。
するとラビリンが空から姿を現すが、彼女はお馴染の空飛ぶ円盤ボードに乗りながら姿を現した。彼女もこの決勝戦は気合を入れているので、成功したい気持ちがあるだろう。
「皆さん!史上最強のチームを見たいかー!」
「「「おーっ!」」」
「サルバッグを倒す勇者達が決まるこの戦い、最後まで見届ける覚悟はあるかー!」
「「「おーっ!」」」
ラビリンの質問に対し、観客達は拳を上げながら一斉に答える。その中にはルリカ達も同じ行為をしていたので、彼女達もこの時を待っていたのだろう。
「では、大変お待たせしました!これよりトーナメント決勝戦を開始します!」
ラビリンの宣言と同時に太鼓が鳴り響き、両チーム入場の合図が始まりを告げられたのだ。
「まずは青コーナー!プリンセスヴァルキリーズの入場です!」
ブルーコーナーの入場口からは、風子率いるプリンセスヴァルキリーズが登場。以前と変わらず威風堂々と入場しているので、優勝する期待が立ち込めているだろう。風子だけでなく、夢子、ポーラ、アルビダなどと言った実力者もいるので、この決勝戦で同実力を発揮するのかに注目だ。
「続いて赤コーナー!ブレイブペガサスの入場です!」
レッドコーナーからの入場口からは、零夜率いるブレイブペガサスが登場。彼等は緊迫した雰囲気の中、正々堂々と歩きながら入って行く。敗れてしまったチームの思いは勿論、期待してくれている全ての人達に恩返しをする為、ここで負ける理由にはいかないのだ。
両チームは横一列で並んだ後、真剣な表情でお互い睨み付ける。誰もがこの戦いを待ち望んでいただけでなく、絶対に負けられない思いが心の底から燃え上がっているのだ。
(絶対に勝ちます!俺は必ずあなたを超える!)
(こちらもだ!全力で来い!)
零夜と風子がお互い真剣な表情で睨み合った直後、ラビリンが決勝の説明を始める。
「皆さん、決勝のルールについて説明します。決勝のルールは一騎打ちとなりますが、誰を出すかはスロットマシンによって決まります!」
ラビリンが指さす方を見ると、そこには大きなスロットマシンが観客席の前に設置されていた。そのスロットマシンによって対戦カードが決まる仕組みとなっていて、これによって勝敗が決まる可能性もあるのだ。
「更にこのスロットは対戦する戦士、ルール内容を決めます。では、まず第一試合!スタート!」
ラビリンが指を鳴らしたと同時に、スロットが回転し始める。最初の対戦カードは誰になるのか、皆ハラハラしながら見守っているのだ。すると零夜達側のスロットが止まり、そのメンバーが決まる。
「ブレイブペガサスからはエヴァ!」
「最初は私か。よっし!」
エヴァは気合を入れながら準備体操を行い、戦う気満々で戦闘態勢に入ろうとしている。大事な初戦を任された以上、ここは落とせないと言えるだろう。
さらに風子達のスロットも止まったと同時に、出場するメンバーが決まったのだ。
「プリンセスヴァルキリーズからはセリア!」
「パワー対決か。絶対にエヴァに勝つわ!」
セリアは両頬を叩きながら気合を入れ始め、必ず勝つと気合を入れている。こちらもエヴァと同様に負ける理由にはいかないが、どんな勝負になるのか心から楽しみにしているのだ。
するとルールも決まろうとしていて、スロットが止められた。
「ルールが決まりました!それは大食い対決!その大食い料理がこちらです!」
「「「?」」」
ラビリンが指さす方を見た途端、大量の料理を持った大きな台車が姿を現す。運ばれていた料理は……ピーマンの肉詰めだった。
「ピーマンの肉詰め!これは物凄く美味しそうですが、子供の好き嫌い対策の為に用意されました!因みに私は大好物ですが、果たして二人は上手く食べられるのか⁉」
ラビリンの実況に歓声が起こる中、エヴァは運んでくる大量のピーマンの肉詰めに視線を移していた。しかもその顔には冷や汗が大量に流れているので、嫌な予感は確定だ。
「エヴァ……顔から冷や汗が大量に流れているが……過去に何かあったのか?」
零夜は気になる表情で皆に質問した直後、ヒカリはある事を思い出す。彼女も静かに冷や汗を流していて、嫌な予感を既に感じ取っているのだ。
「実はエヴァから話を聞いたの。彼女は大食いなんだけど……ピーマンが大の苦手なの!」
「「「ええっ!?」」」
ヒカリからの衝撃発言に零夜達は驚いてしまい、観客席にいるキララ達も驚いてしまう。好き嫌いがない大食いのエヴァが、まさかピーマンが苦手なのは思いもしなかっただろう。
「何故彼女がピーマンが苦手なのですか?」
「恐らく過去にピーマンを食べた事で、その苦さが残っているの……」
「となるとこの戦い……どうなるかだな……」
零夜は真剣な表情をしながら、冷や汗を大量に流しまくるエヴァに視線を移す。この戦いはそう簡単にはいかないが、果たしてどうなるのか……
まさかエヴァがピーマン苦手……大丈夫なのか!?
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