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第252話 運命のトーナメントへ

今回で第七章は終わりです!

 おとぎの世界の戦いから数日後、零夜達はニューヨークにあるマジソンスクエアガーデンでのボクシング観戦に来ていた。白熱のある戦いの中、メインイベントでのジャッジに入ろうとしていた。


「これまでの展開を見てみると、日本人女性の吉永恵美がリードしているわ。けど、何かが裏があるし、いざという時は奥の手を用意しているから!」

「奥の手?何か証拠があるのか?」


 観客席にいるアミリスは、真剣な表情をしながらジャッジを見つめる。彼等は賄賂をもらっている可能性がとても高く、今回の試合は八百長の展開になると感じている。

 それに零夜達が疑問に感じるのも無理なく、全員がアミリスの方を向く。


「まあ、見てなさい!」


 アミリスがウインクで返したその時、ジャッジによる採点が発表される。


「ジャッジによる採点は、96-94、98-92、99-91!」

「大差判定……いよいよね」


 アミリスはジャッジを聞いた瞬間に立ち上がり、零夜達も後に続く。不正の瞬間を捉える為にも、今がチャンスとしか言えないのだ。


「以上で判定は3-0。勝者、IBF女子世界バンタム級……新チャンピオン!ハンナ・フローリア!」


 リングアナの宣言の直後に大ブーイングが響き渡る。こんな判定はおかしいと思ったその時だった。



「その判定!異議あり!」

「「「!?」」」



 なんとアミリスが勢いよく跳躍しながらリングに着地し、誰もが驚きを隠せずにいた。いきなりの展開に誰もがざわつくのも無理なく、観客達はアミリスに視線を移していた。


「異議あり?どういう事でしょうか?」

「ジャッジの内容を見たところ、そこにいる二人は不正を起こしているわ!こんな内容はおかしいと思うし、接戦である事は確かよ!」


 アミリスは二人のジャッジを指差しながら宣言し、指名された彼等は冷や汗を流してしまう。まさか自分のジャッジで不正がバレてしまう事に、危機感を感じているだろう。


「その証拠映像もハッキリ捉えているから」


 アミリスは指を鳴らしたと同時にウインドウを召喚し、その証拠映像を公開する。それはハンナ陣営のGMがジャッジ二人に対して賄賂を贈っていて、観客達やリングアナなどが驚きを隠せずにいた。


「しまった!まさかバレてしまうとは……」

「この結果……ハンナ陣営は不正を起こした為、反則負け!よって、吉永恵美の勝利よ!」


 アミリスの宣言と同時に大歓声が響き渡り、反則勝ちによって恵美の防衛成功という結果になった。観客達はアミリスの勇敢な行動に敬意を示しながら、拍手喝采で盛り上がりを見せてくれた。


「あれが選ばれし戦士達か!不正を正すなんてやるじゃないか!」

「やっぱり公平でないと面白くないぜ!」


 観客達はアミリス達に声援を送り始め、彼女達は両手を上げながら笑顔で応える。零夜に至ってはアミリスの予想外な行動に対し、盛大にため息をつくしかなかった。


 ※


「お前さ……不正を暴いたのは良いけど、そこまでする必要ないだろ」


 会場内の通路での帰り道、零夜はため息をつきながらアミリスに声をかけていた。彼女の行動は勇敢なのは良い事だが、ボクシングの不正を暴くのはどうかと感じている。客の立場なのにも関わらず、乱入するのは前代未聞だろう。


「けど、一先ずは結果オーライという事で良いじゃない!」

「あのな……」


 零夜がアミリスの行動に再びため息をつき、ミミ達は苦笑いをするしか無かった。

 あのおかしな判定が明らかになった直後、ハンナ陣営のGM、ジャッジ二人には相当な処分を受ける事になる。賄賂を受け取って不正を起こし、彼女に勝利しようと目論んでいた事も発覚。そうなるとボクシング界から追放するのは、確定と言えるだろう。

 IBFもジャッジの不正を取り締まる強化をする事になるが、他のボクシング団体も同じ様な行動を取るだろう。一先ず騒動も落ち着こうとしたその時、恵美が彼等の元に駆け寄ってきた。不正な判定を取り締まってくれただけでなく、自身を勝利に導いてくれた事をお礼をしに向かってきたのだ。


「あれ?あなたは吉永選手……」

「先程はありがとうございました。まさか不正となっていたのは驚きましたが、あなた方がそれを暴いてくれたお陰で勝つ事ができました!本当に感謝しています!」


 恵美は一礼しながらアミリスにお礼を言ったその時、彼女は恵美をムギュッと抱き締める。アミリスも恵美の勝利を信じていたので、彼女もお礼を言われるだけでは物足りないと感じたのだろう。

 その温もりはとても温かく、恵美も抱き返しながらアミリスを抱き寄せたのだ。


「あなたが勝ってホッとしたわ。一時はどうなるかと思ったけど、防衛には成功したし。今後の防衛ロード期待しているからね!」

「はい!」


 二人の笑顔にミミ達も微笑む中、突然零夜のバングルに振動が入る。どうやら緊急の告知が入ったのだろう。

 零夜はすぐにウインドウを起動させ、画面上に映る告知を見る。すると……彼はその内容に驚きを隠せず、冷や汗まで流してしまった。余程重大な事だろう。


「トーナメント出場チームが決まったが……参加チームはたったの六チームとなってしまった……」

「えっ?六チーム?それってどういう事!?」


 零夜からの報告にエヴァ達が気になり始め、彼の周りに集まってウインドウに視線を移し始める。その内容を見た途端、信じられないくらいに驚きを隠せなかったのだ。


「嘘でしょ……こんな事って……」

「いくら何でも、行動が早すぎるとしか言えないわ……」


 ヒカリ達は大量の冷や汗を流しながら固まっていて、アミリスは真剣な表情をしながら冷や汗を流している。いくら冷静に落ち着いていても、予想外の展開には内心驚きを隠せずにいるのだ。 

 内容によれば、アークスレイヤーが選ばれし戦士達の討伐を、ザルバッグの命令によって本格的に開始。多くの戦士達が次々とやられてしまい、女性達は全員奴隷として運ばれる事に。しかし、トーナメントに出場しているチームのいる世界は襲撃せず、ただ傍観するとの事だ。


「ウチ等の住む世界だけでなく、ヒューゴ達、アメリア達、桃太郎達の世界も無事に襲われる事は無いみたいやけど……いくら何でも差別的過ぎるやん!」

「アークスレイヤーも危機感を感じたのかも知れませんが、こうなるとトーナメントに優勝する必要がありますね」


 倫子はアークスレイヤーの差別的行為に心から憤慨し、日和も同意しながら真剣な表情をしている。

 アークスレイヤーの侵攻がますます激しくなった以上、このまま黙って見過ごすわけにはいかない。同時にトーナメントも早めに開催する必要があるのだ。


「大変な事になりましたが、トーナメントに勝てる見込みはあるのですか?」

「そこまでは分かりません。ですが……たとえ誰が相手であろうとも、ザルバッグを倒す為には戦うしか方法はありません。それが俺達にできる唯一の方法です」


 恵美の質問に対し、零夜は決意の表情をしながら答える。それにミミ達も同意しながら強く頷く。

 ヒーローズエイトを決めるトーナメントの出場者は、これまで出会ってきた人、知り合い、友人、恋人ばかりとなっている。しかし、戦う事になる以上は容赦はしない。ザルバッグを倒しに行く役目は自分達で向かわなければならないのだ。

 更にトーナメントに出場できるのは零夜、ミミ、倫子、ヒカリ、エヴァ、アミリス、ソニア、ジャンヌの8人。美津代達はサポートに専念する事になるのだ。


「私達はあなた達のサポートに専念するわ!必ず優勝してね!」

「ありがとうございます。やるからには必ずトーナメントを制覇するのみ!必ず優勝するぞ!」

「「「おう!」」」


 零夜の掛け声にミミ達も拳を上げながら応え、トーナメントに優勝する士気を高める。その様子を見ていた恵美も、零夜が勝つ事を信じながら微笑んでいた。

 トーナメントは一週間後、地球で行われる事が決まっている。果たして優勝するのはどのチームなのか……

いよいよ運命のトーナメントへ。果たして優勝するのはどのチームなのか?


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