第235話 狼に気をつけろ
今回はエヴァ達のターンです!
エヴァ、倫子、ヒカリ、日和の四人は狼を倒すため、ハンブルック村に入っていた。そこは平和な村であったが、カボチャ男爵一味のお陰で滅茶苦茶に。家は半壊されているのが多く、街灯や銅像もボロボロになっていた。
「酷い有様……カボチャ男爵はここまでしていたなんて……」
「彼なりの残虐性が出ているわね……やる事がとても酷すぎるわ!」
ヒカリは口を抑えながらこの光景に驚きを隠せず、エヴァに至っては怒りで拳を握りしめていた。倫子と日和も目の前の行動に寂しそうな表情をしていたが、カボチャ男爵のやり方に怒りを感じていた。
カボチャ男爵は今後も美女を自分の物にしようと画策していて、悪事が収まらない限りはそれが永遠に続くだろう。
「後はこの村の生き残りね。誰かいるのかな……ん?」
日和がキョロキョロと辺りを見回したその時、木の陰から三匹の子豚が姿を現す。彼等はスーツ姿となっていて、二足歩行で歩きながら一礼する。
「どうも。僕等は子豚建設会社の三兄弟。僕は社長のモック、副社長の兄達であるマックとムックです」
「どうも、マックだ。まあ、普通に話しても構わないぜ」
「ムックだ、宜しくな」
「こちらこそ」
モック達は自己紹介しながら一礼し、エヴァ達も一礼しながら返す。三匹の子豚もこの世界では原作と大違いとなっていて、ヒカリ、倫子、日和は心の中で唖然とするのも無理なかった。
すると倫子が気になった事をモック達に質問する。
「ねえ。この村もカボチャ男爵にやられたけど、あなた達はこの村の出身なの?」
倫子からの質問に対し、モック達は冷静にコクリと頷く。彼等はそのまま荒れ果てた村に視線を移し、悲しげな表情をしていた。彼等にとってこの村は自身の故郷であり、荒れ果てた姿に悲しみと怒りが出るのも当然なのだ。
「ええ。我々の故郷はカボチャ男爵によってやられてしまい、今に至ります。大半はレジスタンスのいる村に逃げ込んで無事ですが、一部の女性が攫われて……」
「ああ!俺の隣の家にいるメグも奪われてしまった!彼女とは手を繋いだ事もあるのに!」
「俺なんか牧場の娘であるカトリーヌを奪われちまった!あいつとは恋仲で、抱き合ったりしていたんだぞ!」
モックの説明の直後、マックとムックは悔しそうな表情をしつつ、地面を右手で叩きながら悔しがっていた。彼等には彼女がいたのは驚きだが、何れもカボチャ男爵に奪われているのだ。
マックの恋人であるメグは、心優しい文学少女。ロングスカートをよく着ているのが特徴で、小説作家として活動している。
ムックの恋人であるカトリーヌは、オーバーオールをよく着ている牧場の娘。彼とは昨年から恋仲の関係となっていて、スキンシップをするぐらい仲が良いのだ。
その二人が攫われた事に悔しさを爆発させていて、その光景にエヴァも同情してしまうのも無理はない。
「大切な人を奪われた気持ちは分かるわ。私も弟を亡くしているからね」
「へ?アンタもやられたのか?」
「別の敵だけど、敵討ちに成功したからね。それに私達はカボチャ男爵を倒す為、この世界に援軍として駆け付けて来たの。あなた達の囚われている彼女も、必ず助けてあげるわ!」
エヴァは真剣な表情でマックとムックの彼女を助ける事を宣言し、これを聞いた彼等はエヴァの前に移動して深く一礼する。自分達の彼女を助けてくれると聞いた以上、感謝を込めながら一礼するしかないと自ら判断したのだ。
「ありがとう!必ず俺達の彼女を助けてくれ!」
「お礼はたっぷりするから!愛の家でも立ててやるから!」
「いや、お礼は別にいいから……別に大した事じゃないし……」
マックとムックは感謝の言葉を述べると同時に、エヴァ達にお礼をする事を宣言。エヴァが苦笑いしながらお礼を拒否していたその時、何処からか怪しい匂いを感じていた。
すかさずエヴァは自身の鼻を使い、敵の匂いを嗅ぎ取り始める。すると敵が近くにいる事が判明し、すぐに臨戦態勢に入った。
「どうした?」
「敵の匂いがするわ。狼だけでなく、その数は百以上!」
「何!?敵がもう来ているのか!?」
エヴァからの報告にマックが驚いたその時、狼を筆頭にジャックランタンの群れが姿を現した。その数は百以上と言えるが、正確には五百体いるのだ。
「インプとジャックランタン。数はかなり多いみたいね。ヒカリ、援軍を!」
「よし!ここはインプを召喚!」
エヴァの指示と同時に、ヒカリは三匹のインプを召喚。更に両手でハートの形を作り、ウインクを見せながら光線を放とうとしているのだ。
「私の技は進化しているんだから!マジカルハート!」
ヒカリのハートの形から光線が発射され、ジャックランタン達に直撃する。すると彼等は向きを変えてしまい、狼に狙いを定めながら攻撃を仕掛けようとしていた。
ヒカリのマジカルハートは更にレベルアップしている為、敵側のモンスター達も仲間にする事ができる。ヒーローアイランドでの修行があったからこそ、技も進化する事が出来たのだ。
「何!?お前等、俺を裏切ったのか!?」
予想外の展開に狼は驚きを隠せない中、エヴァ達が彼に接近しながら攻撃を仕掛けようとしている。人数が一人になった以上、倒せるなら今しかないと判断しているのだろう。
「部下は裏切られて残るはあなた一人。年貢の納め時かもね!」
「テメェ!余計な事をしやがって!」
エヴァはウインクしながら狼を指差し、彼にそう指摘していた。当然狼の怒りは爆発してしまい、エヴァに勢いよく襲い掛かってきたのだ。
「貰った!」
そのチャンスをエヴァは見逃さず、彼女は狼の手首を掴んで背負投をする。その勢いで狼は背中を地面に強打してしまい、ダメージで起き上がるには時間が掛かる様だ。
すかさずエヴァは狼の真後ろに立った後、跳躍しながらのバック転で狼を身体で潰したのだ。これこそその場飛びムーンサルトプレスである。
「がはっ!」
狼は当然腹にダメージを受けてしまうが、すぐに起き上がろうとしていた。エヴァは危機感を感じながら距離を取った後、狼は爪を光らせながら獲物を狙う目をしていたのだ。
「よくも俺をコケにしてくれたな!ウルフスラッシュ!」
「おっと!残念でした!」
狼の鉤爪が襲い掛かるが、エヴァ達はヒラリと回避してしまう。すると彼女は狼の背後に回り、彼の胴体を掴んで反り投げをした。ジャーマンスープレックスが見事に決まり、狼の頭は地面に激突してしまったのだ。
「がはっ!」
狼はそのままダウンをしてしまい、エヴァは彼から再び離れる。これで終わったかと思ったが、なんと狼は再び立ち上がって戦闘態勢に入る。これ程頑丈なのは想定外だが、相手にとっては不足ないだろう。
「まさかジャーマンスープレックスを喰らっても、普通に戦闘態勢に入れるとはね……」
エヴァは真剣な表情をしながら狼を睨みつけ、倫子達も同様に警戒態勢に入る。普通なら頭を打ち付ければあっという間にやられるが、この狼はそう簡単に倒れない事を確信している。目の前でジャーマンスープレックスを喰らっても、すぐに立ち上がるのが証拠なのだ。
「俺はここで倒れないからな。魔女に拾われた恩を返す為にも負けられないんだよ……」
「魔女に拾われた?どういう事?」
「それは……俺を倒してからだな!」
狼の説明にエヴァ達が疑問に感じたその時、彼の身体が変化し始める。痩せっぽちの身体に筋肉が付けられ、さらに身長も高くなっていく。狼の身体はあっという間に筋肉魔人となってしまい、パワーファイターに変化してしまったのだ。
「これが奴の真の姿!彼は僕等にやられた後、魔女に拾われて肉体改造をした。その結果……この様になってしまった!」
「「「ええっ!?」」」
モックからの説明にヒカリ達が驚きを隠せずにいたが、逆にエヴァは笑みを浮かべながら拳を打ち鳴らす。強い相手が前に立ちはだかれば、ますますやる気が上がるのは当然。更に同じ狼である以上、戦いから引く理由にはいかないのだ。
「肉体改造なら問題ないわ。あなたは私が倒すから!」
「そうか……その自信を打ち砕いてくれる!」
エヴァと狼は同時に飛び出し、激しい格闘戦を繰り広げ始める。そのまま戦いは第二ラウンドに突入したのだった。
戦いは第二ラウンドに入ります!
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