第232話 鬼達との戦い
鬼達との戦いが始まります!
零夜達は鬼ヶ島にある洞穴の中を進み、真剣な表情をしながら見つからない様に歩いていた。洞穴の中はとても静かで、ところどころで上から滴がポタポタと聞こえているのだ。
「うう……なんだか緊張します……それにこの辺りがジメジメしますし……」
「この場所に鬼達がいるとなるけど、なんだかドキドキして息を呑んでしまいそう……」
ルリカとマツコは冷や汗を流しながら、ドキドキの表情で冷や汗を流してしまう。これから戦う鬼達はかなり手強いだけでなく、凶悪な性格の奴等ばかり。要注意と言えるだけでなく、いきなり襲い掛かる事もあり得るのだ。
「だが、奴等は俺達の事をあまり知らないだろう。もし、知っているとしたら……その時は全力で立ち向かうのみだ!」
「これ以上奴等の好き勝手にさせない為にもね。さっ、無駄話しないで向かいましょう!」
零夜の真剣な意見に対し、ケイコも同様の表情で同意する。彼女の合図と同時に前進し始めた途端、何処からか騒ぎ声が聞こえ始める。どんちゃん騒ぎで太鼓などの音楽が流れていて、笑い声も聞こえていた。
「この音楽……もしかすると宴会の様ですね。彼等は一体何をしているのか気になりますが……あ」
ルリカがこっそりと音に近づく方に向かった途端、驚きの光景を目にしていた。
なんと大きい広場で鬼達が宴会をしていて、肉を食べたり、音楽を演奏したり、酒を飲んだり、踊ったりしながら楽しんでいた。どうやらカボチャ男爵のお陰で豊かな生活が楽しめるだけでなく、宝や女性も受け取って上機嫌だ。
「ハハハハハ!無礼講だ!今日は思う存分楽しみまくれ!」
「そうだな!さあ、服を脱がせようか」
「いや、止めて!服はこれしかないの!」
「そこは駄目!触らないで!」
「なんで裸ジーンズを着せる必要があるのよ!ジーンズは良いけど、裸はダメ!」
その中には女性達が数十名いるが、彼女達は鬼達によって奴隷となっている。彼等に服を脱がされて全裸にされたり、胸を強く揉まれていたりする者もいる。更には裸にジーンズを履かされてしまい、鬼達に抱かれていたりと屈辱的な扱いを受けている。いくらなんでも酷すぎると言えるが、鬼達に逆らうと殺されてしまうのだ。
「あれが鬼達……いくらなんでも外道な行為としか思えませんね。女性達をここまで扱うなんて……」
「同感。ご主人、桃絆の用意を!私、凄くムカついたから!」
「さっさとやってくれないと困るからね」
ルリカの意見にマツコとケイコも同意し、すぐに零夜に対して桃絆を頼み込む。これ以上の屈辱は見ていられず、今すぐにでも鬼達を殺そうと殺気立っているのだ。
零夜もこの件に関しては同意し、集中しながら自らの気を高め始める。目の前の光景を見た以上は放っておけず、鬼達の野蛮な行為を終わらせようと動き出そうとしているのだ。
「行くぞ!桃絆!」
零夜が桃絆を発動させた途端、彼等の身体からピンク色のオーラが流れ出してくる。そのオーラは洞穴全体に包まれていくだけでなく、あっという間に鬼ヶ島全体に広がってきたのだ。
「こ、このオーラ……嫌な予感がするぞ!」
「もしや……桃太郎なのか!?」
鬼達がピンク色のオーラが広がっている事に動揺を隠せず、楽しい宴会どころではないだろう。一斉に武器を取りに向かおうとしたその時、零夜達が姿を現して鬼達に襲い掛かってきた。
いきなりの奇襲に鬼達は動揺してしまうのも無理なく、只驚きを隠せずに立ち止まってしまう。まさかまさかの展開で、鬼達は大量の冷や汗を流してしまったのだ。
「その宴会はこれで終わり!ここからはあなた達への断罪よ!」
ルリカは剣を強く構えながら、新たな姿に変化させる。それは断罪の剣となり、銀色の刃がキラキラと光り輝いている。その剣の様子からすれば、悪に対しては効果抜群と言えるだろう。
ルリカはそのまま鬼達に襲い掛かり、次々と彼等を斬り裂きながら倒していく。鬼達は武器を持ってないお陰で次々とやられてしまい、塵となって消滅してしまった。
「皆さんは逃げてください!奴等が動揺している今です!」
ルリカの呼びかけで奴隷達は次々と逃げ出し、急いでこの場から立ち去っていく。ルリカ達が自分達の為に戦っている以上、今こそ逃げる時だと感じているのだ。
「奴隷が逃げるぞ!奴等を捕まえるんだ!」
「そうはさせない!」
「私達が相手よ!」
鬼達の一部が奴隷を捕まえようとするが、マツコとケイコが立ちはだってきた。彼女達の猛攻を喰らった鬼達は次々とやられてしまい、数はだんだん減らされていく。こうなると全滅は免れないだろう。
「おのれ!折角の宴会を邪魔しやがって!こうなれば俺が相手だ!」
真っ黒の鬼でありながら、鬼達のリーダーである邪鬼が怒りの表情をしている。楽しい宴会をぶち壊され、仲間達を殺された事に黙ってはいられなくなったのだ。
彼は腕を鳴らしながら戦闘態勢に入ろうとしているが、その身体からは臭い匂いが出ていた。その匂いの正体は垢である為、身体の色が真っ黒なのもそれが原因である。
「お前がリーダーか……鬼達の中では強敵の様だな。それならこいつで終わらせる!」
零夜は懐から爆弾を取り出すが、その色は青くて水のオーラを纏っている。属性からすると水属性であるが、この爆弾で邪鬼をどう倒すのかだ。
「ホットアクアボム!」
零夜が投げた爆弾は邪鬼に直撃した直後、爆発を起こして大量のお湯が流れ出た。同時に邪鬼の身体がお湯に塗れたと同時に、垢が水に濡れて溶け始めたのだ。
「しまった!俺はお湯が苦手なんだ!頼むから勘弁してくれ!」
「誰が許すか!連続攻撃!」
「うわあああああ!溶けるゥゥゥゥゥゥ!!」
邪鬼の懇願も許さず、零夜はホットアクアボムを次々と彼に向かって投げ飛ばした。爆発と同時に垢は次々と溶けてしまい、あっという間に邪鬼の身体から垢が全て消えてしまった。そしてその姿は筋肉ダルマかと思ったが、ヒョロヒョロに痩せていた身体だった。
邪鬼は垢の身体に包まれていたからこそ、体格によってボスの座に上り詰める事ができていた。しかし、垢が全て消えてしまえば、弱き姿を晒されるのは当然である。
「垢が全て消えてしまった以上、お前に勝ち目はない。さあ、覚悟はできているな?」
零夜はギロリと邪鬼を睨みつけながら、そのまま倒そうと忍者刀を強く構える。同時に忍者刀は鬼斬丸へと変化し、更には光属性も付与されて光翼鬼斬丸へと変化したのだ。
「待て!話せば分かる……」
「やかましい!断罪連続斬!」
「ぐわあああああ!!」
邪鬼の命乞いも効果なく、零夜による光の連続斬撃で斬り裂かれてしまった。そのまま邪鬼は光の粒となって消滅し、仲間の鬼達も次々と同様に消えていく。
鬼達は邪鬼が倒れた事で消えてしまい、彼等との戦いは終わりを告げられたのだ。
「終わりましたね、零夜様!私達の大勝利です!」
「そうだな。無事に任務完了だ!」
ルリカは笑顔を見せながら零夜に声を掛け、彼も笑顔で返していく。マツコとケイコは抱き合いながら喜び合っていて、自身の成長を実感していたのだ。
「カボチャ男爵についてはジャンヌ達に任せて、俺達は解放された奴隷達を保護するとしよう。彼女達をこのままにしては放っておけないし、服も着せておかないとな」
「そうですね。奴隷の皆さんは外に出て待っていますので、すぐに彼女達の元に向かいましょう!」
零夜とルリカの提案に、マツコとケイコも同意しながら頷く。そのまま彼等は解放された奴隷達の元に向かい出し、鬼ヶ島の洞穴から脱出したのだった。
見事鬼達に完勝!零夜達の強さは止まりません!
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