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第230話 垢の化け物

四天王戦がスタートです!

 零夜、ルリカ、マツコ、ケイコの四人は、空を飛びながら鬼ヶ島へ向かっていた。鬼ヶ島の敵は鬼だけでなく、中ボスやモンスターもいるので要注意と言えるだろう。


「モンスターもいるから要注意だけど、私達四人ならイケるよね?」

「ええ。桃太郎から修行を受けてもらったし、後はその実力を発揮して倒すのみ!」


 マツコとケイコは自信満々に鬼を倒せる事を実感するが、零夜とルリカは真剣な表情をしていた。彼等は多くの戦いを乗り越えていたからこそ、油断せずに立ち向かい続けていた。今回の鬼達の件についても、油断するとやられる恐れがあるだろう。


「マツコ、ケイコ。油断は禁物だ。奴等は何を仕掛けてくるか分からないからな」

「そうそう。二人共、そういう慢心が身を滅ぼすからね。しっかりしないと!」

「「はーい……」」


 零夜とルリカに注意されたマツコとケイコは、不貞腐れながらも了承していた。すると目の前に海が見え始め、その遠くには鬼ヶ島が見えていた。

 鬼ヶ島は二本の角らしき物が生えているのが特徴で、異様な闇のオーラを放っている。そこにいる鬼達は凶暴な奴等が多く、強盗や殺人も続出して大迷惑。其の為、桃太郎や金太郎などが討伐担当となっているが、なかなか決着が着けられない状態となっている。

 この様子だと、何時になったら終わるのかと不安になるのも無理はない。国民達も心配になっているのだ。


「あれが鬼ヶ島……要注意ですね」

「ああ。何が起こるか分からないから、ともかく急ぐぞ!」


 零夜の合図にルリカ達が頷いたその時、彼等の前に老夫婦が姿を現す。しかも彼等はとても臭く、近付いただけで倒れそうになるだろう。


「貴方方は?」

「おら達はものぐさ夫婦だ。お前さん達、鬼ヶ島へ行くんだべか?」

「はい。四天王である鬼達がいるので、早く倒さないといけないのです。奴等からおとぎの世界を取り戻す為にも」


 お爺さんからの質問に対し、零夜は真剣な表情で答える。カボチャ男爵の元に行くには四天王を倒さなければならない為、ここで立ち止まる理由にはいかないのだ。

 それを聞いた老夫婦は頷きながら納得し、彼等に対してアドバイスを始める。


「奴等のボスはおら達と同じく垢まみれだ。気を付けんと臭さでやられるだよ」

「垢まみれ……という事は……汚いのですか?」

「んだ。それにおら達の垢もまだ残っているだ。せっかくだから落としてくれだべや」


 老夫婦は零夜達にアドバイスをした直後、お婆さんは背中をボリボリ掻いて垢を取り出した。その大きさは掌一杯の大きさで、悪臭が立ち込めている。長年風呂に入らなかったからこそ、この様な垢が出てきたのだろう。

 この様子を見たルリカ達が嫌がってしまうのも無理はなく、冷や汗を流しながら老夫婦に視線を合わせるしかなかった。


「こ、この垢を落として欲しいのですか?」

「んだ」

「仕方がないかもね……そうしないと先に進めないし」

「力太郎の誕生パターン其の物かもね……」


 ルリカ達は観念したと同時に、老夫婦の身体の垢を水で流しながら石鹸でこすり始める。すると垢がポロポロ大量に落ちていき、老夫婦はますます綺麗になっていく。

 零夜は自ら率先していて、素早い動きでゴシゴシと老夫婦の垢を取っていく。彼はこの様な作業を得意としているだけでなく、興味本位で見ている事も。其の為、この様な作業はお手の物だ。


「凄い量だ!どれだけ洗ってなかったのか分かるな」


 零夜が垢の量に驚きを隠せない中、ルリカ達はお婆さんの垢を洗い流し終えていた。彼女の身体はツヤツヤで綺麗になり、前と比べて綺麗に見えているのだ。


「ありがとね。お陰で助かったよ」


 お婆さんの笑顔にルリカ達も笑顔で返したその時、零夜の方もお爺さんの垢を流し終えていた。彼も綺麗になる事ができたが、残ったのは大量の垢が山の様に置かれていた。処理しようとしても、どう処理するのか不明である。


「さて、この垢を……新たな姿に変えてやろう」


 お爺さんが指を鳴らした途端、垢は次第に形を変えて新たな姿に変わり始める。すると垢はゴリラの様な姿となり、完全に生きたモンスターになったのだ。


「垢がゴリラに!?アンタ達は何者!?」


 ケイコが老夫婦に向かって叫んだその時、彼等は今着ている服を脱ぎ捨て、新たな姿に変える。服は変わっているが、雰囲気は日本の昔話のままとなっている。しかも性格はワル其の物だ。


「ワシ等はインチキ爺さんとインチキ婆さん!イジワルして敵を倒す者!」

「垢を貯めていたのも、お前達を倒す為だよ!アカコング、やれ!」

「グオオオオオオ!」


 インチキ婆さんの合図でアカコングと呼ばれたモンスターは、胸を叩きながらドラミングをする。そのまま強烈なパンチが零夜達に襲い掛かるが、彼等は素早い動きで回避してしまった。


「よくも私達を騙してくれたわね!許さないんだから!」

「けど、この垢は落とさないとね!私の魔術で落としてやるんだから!」


 マツコは怒りでインチキ老夫婦に怒っていて、ケイコはアカコングに対して魔術で垢を落とす事を決断。するとアカコングがケイコに襲い掛かるが、彼女は魔術を既に唱えていた。


「アクアストーム!」

「グオオオオオオ!」


 ケイコは地面から強烈な水の竜巻を発生させ、アカコングに直撃する。するとアカコングの身体が水に溶けて崩れていき、垢はそのまま綺麗に流されて分解されてしまったのだ。


「爺さんや!アカコングが崩れていくぞ!」

「まずい!こうなったら逃げるしかない!」


 インチキ老夫婦は逃げようとするが、マツコが如意棒を構えながら立ちはだかっていた。しかもその表情は怒りに満ち溢れていて、自分達を騙した奴等を見逃す理由にはいかないのだ。


「よくも騙してくれたわね!乱れ連撃!」

「「ぎゃああああああ!!」」


 マツコの怒りの如意棒連撃で、インチキ老夫婦は次々とにダメージを受けてしまう。胸、腹、顔などに如意棒の連撃打を受けた彼等は、あまりのダメージに耐えきれなくなり、そのまま前のめりにバタンと倒れてしまった。

 するとインチキ老夫婦は塵となって消滅してしまい、アカコングも崩れて光の粒となってしまった。


「まさかあの老夫婦が中ボスだったなんて……」

「俺達を待っていたのは、鬼達の命令によって倒そうとしていたのだろう。それすら気付けないなんて情けないぜ……」


 ルリカはインチキ老夫婦が中ボスである事に驚きを隠せず、零夜はため息をつきながら空を見上げていた。まさか自身が敵に騙されていたとは思わず、屈辱を感じたのは言うまでもないだろう。

 その様子を見ていたケイコとマツコは零夜に近付き、よしよしと彼を慰め始める。


「大丈夫。中ボスを倒して先に進める様になったんだから」

「そうそう。むしろここからが本番!頑張っていきましょう!」


 ケイコとマツコの励ましを受けた零夜は、すぐに前を向いて気合を入れ始める。仲間からの励ましを受けたとなると、ここで立ち止まらずにはいられないのだ。


「ありがとな、二人共。全員で鬼ヶ島へ向かい、鬼達を倒しまくるぞ!」

「「「了解!」」」


 零夜の合図にルリカ達は頷き、そのまま鬼ヶ島への進行を開始した。ここで立ち止まらずに前に進む。そう心に誓いながら。

中ボスを撃破し、鬼ヶ島へ!


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― 新着の感想 ―
いよいよ鬼ヶ島ですね! 期待(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク
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