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第228話 山姥に気をつけろ(後編)

試練も今回で終わりを告げます。

「待てゴラァァァァァァ!!」


 クリカラ山ではアミリスとマーリンが、山姥に追われながら必死に逃げていた。作戦の為にわざと逃げているようにしか見えず、むしろ楽しみながら走っているのだ。


「ここまでおいで!アッカンベー!」


 マーリンがアカンベーをしながら山姥を挑発していて、更に山姥の怒りが増幅してしまった。同時に周囲も見えなくなってしまい、ただアミリスとマーリンを追い掛ける事しか頭になかったのだ。


「言わせておけば!このクソ人魚がァァァァァ!!」


 山姥は跳躍してアミリス達に襲い掛かるが、彼女はすぐにお札を用意して呪文を唱えようとする。山姥の足止め用に使うらしいが、上手くできるのかに注目だ。


「かかったわね!お札よ、巨大な壁になれ!」


 アミリスがお札を投げた瞬間、山姥の目の前に巨大な壁が姿を現した。しかもその長さは数十メートルぐらいの大きさで、厚さもかなり大きいのだ。


「あだっ!」


 当然山姥は壁に勢いよくぶつかり、そのまま仰向けに倒れてしまった。当然の結果ではあるが、山姥の足止めには何とか成功する事ができたのだ。


「今の内に行くわよ!奴はぶつかって倒れているわ!」

「ええ!ここを登り切るのも時間の問題。さっさと登ればこっちの物!」


 アミリスとマーリンはそのまま素早く逃げてしまい、山姥は起き上がって壁をよじ登り始めた。どんなに壁があろうとも、獲物を狙う為ならここで諦める者ではないのだ。


「おのれ、あの女どもが!このわしを怒らせるとどうなるのか思い知らせてやる!何処だァァァァァ!!」


 山姥は怒りを撒き散らしながら、アミリスとマーリンを探しに駆け出していく。彼女達は既に見えなくなっているので、一心不乱に探し出すしかない状態なのだった。



 それから数分後、山姥は疲れた状態で歩いていたが、未だにアミリスとマーリンを見つけられずにいた。身体はボロボロの状態で、傷があちこちにまでできている。

 傷については草や木だけでなく、マーリンが仕掛けた罠によって次々とダメージを受けてしまった。おまけにクマやイノシシにまでもやられているのだ。


「くそっ!あの女ども、何処にいるんだ……随分遠く離れているが……ん?」


 山姥は息を荒げながら、キョロキョロと獲物を探していた。すると遠くにお寺の姿があり、それを見ていた山姥はニヤリと笑った。どうやらアミリスとマーリンはこの寺で仲間と合流していて、くたびれているに違いないと考えているだろう。


「あのお寺か……奴等がそこにいるとなると、すぐに行くしかないだろ!待っていろ、馬鹿女共!」


 山姥は全速力でお寺の方へ向かい出し、アミリス達を始末する事を考えていた。獲物が何処に逃げようとも、山姥は執念深く追い掛けるしぶとい性格だからだ。

 その数分後に寺に到着した山姥は、早速中に入ってみる。そこには数年前から誰もいない為、今は無人の寺となっているのだ。


「おかしい。一体どうなっているんだ?無人寺なのは確かだが、ここに奴等の気配がする……一体どういう事だ?」


 山姥が疑問に思いながら辺りを見回したその時、彼女の足元に魔法陣が展開される。すると魔法陣から鎖が次々と飛び出し、山姥を縛り上げて身動きを取れなくしたのだ。


「こ、これは魔法陣!?まさか……」


 山姥が驚いた直後、マーリンが姿を現して地面に両手を当て始める。すると地面が揺れ始めたと同時に、山姥の足元から強烈な熱湯が噴き出たのだ。


「掛かったわね!温水噴火(おんすいふんか)!」

「ぎゃあああああああ!!こんな技は効いてないぞォォォォォォォ!!」


 マーリンの新たな必殺技である温水噴火が炸裂し、山姥に大ダメージを与えていく。しかも火傷するぐらいの温度であり、お湯が出る速度も速くなっているのだ。

 同時にアミリス達も次々と山姥の元に駆け付けてきて、お湯に当たっている彼女に視線を移していた。


「これも作戦の一種だからね。私達ブレイブペガサスを甘く見ていたのが大間違いよ!」


 アミリスが山姥に対して宣言した直後、お湯がピタッと止まってしまった。その直後に山姥の姿がいなくなり、皆は疑問に感じながら探し始める。


「ん?山姥がいなくなったわ」

「姿が見えないとなると、もしかして逃げたのかな?」

「私にも分かりませんが……」

「ともかく探してみましょう!」


 ヒカリ達は疑問に思いながら山姥を探したその時、杏がお湯が出た跡に近付いていく。するとその中心には、濡れている山蜘蛛の死体があったのだ。


「おい!山姥の正体が見つかったぞ!」

「見つかったのか!?」

「どれどれ?」


 杏の掛け声でソニア達は彼女の元に駆け寄り、山蜘蛛の死体に視線を移す。まさか山姥の正体が山蜘蛛だと言う事に、誰も信じられなかったのだろう。

 しかし、一部の昔話では山蜘蛛が山姥となっていた話がある。最期はお湯にやられて死んでしまったが。


「まさか山姥の正体が山蜘蛛だなんて……」

「そう言えばある昔話では、山姥の正体が山蜘蛛という説もあったわ。もしかするとこの山姥も、山蜘蛛が姿を変えていたかもね……」


 アミリスの説明を聞いたヒカリ達は、黙りながら山蜘蛛の死体を見つめていた。敵であるとは言え、小さい虫の命を奪った事に罪悪感を感じていたのだ。

 何はともあれ、アミリス達の試練は無事にクリアしたのだった。



 それから一時間後、王様、トラマツ、ノースマンの三人はレジスタンスアジトの前に立っていた。零夜達は無事に試練をクリアしたのか気になっていて、ずっとここで待っていたのだ。


「さて、彼等は試練をクリアしたのだろうか。何事もなければ良いのだが……」


 王様が零夜達を気になり始めたその時、桃太郎、金太郎が彼等の元に駆け寄ってきた。彼等の様子はとても慌てていて、急いで報告しなければならない気持ちでいっぱいとなっていた。

 桃太郎と金太郎は王様達の前に到着し、息を整えながら彼等に報告し始める。


「王様、彼奴等やりやがった!無事に試練を成功したぞ!」

「しかも僅か一日で終わらせたそうや!もう文句も言いようもないで!」

「おお!それは真か!」


 桃太郎と金太郎の報告に王様が喜びの表情をしたその時、零夜達が冷静に歩きながら姿を現した。彼等は既に試練を乗り越えていて、威風堂々の雰囲気を保っている。この姿はまさに英雄其の物としか言えないが、彼等はまだそこまで至ってないレベルだ。


「王様、只今戻りました!」

「桃太郎と金太郎から話は聞いているが、まさか一日で試練を乗り越えるとは驚いたのう。で、カボチャ男爵との戦いは上手くやれそうか?」


 王様からの質問に対し、零夜が代表して冷静にコクリと頷く。桃太郎達からの試練をクリアした以上、カボチャ男爵やその配下達も倒せると確信しているのだ。


「ええ。試練をクリアした以上、カボチャ男爵を倒しに向かいます!後は奴の元に行く方法ですが、四天王を倒したと同時にお城に行けるのでしょうか?」


 王様の質問に対し、零夜は自信満々でガッツポーズをしながら答えていた。しかし、カボチャ男爵のいる城に向かう方法は分からない為、その事を王様に質問返ししていた。

 城に行く方法としては四天王を倒すのが一般的だが、他の方法があるかも知れない。其の為、念入りに王様に質問したのだ。


「その通りじゃ。奴等を倒せば城への道が開かれる。今日はゆっくり休み、明日は突撃を開始する。頼んだぞ、ブレイブペガサス!」

「「「はっ!」」」


 王様からのエールに零夜達は敬礼で応え、その場で解散という形になる。まだ時間がある以上、おとぎの世界を探検しようとしているのだ。


(ブレイブペガサス……もしかすると彼等ならザルバッグを倒せるかも知れないな。わし等も彼等に負けずに頑張るのみだ)


 王様は零夜達に対しで可能性があると信じた後、自分達も負けずに強くなる事を決意した。ヒーローズエイトを決めるトーナメントで、彼等と戦う為にも……

いよいよ次回からカボチャ男爵との戦いに向かいます!


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― 新着の感想 ―
次はカボチャ男爵相手ですか!?続きも楽しみです
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