第226話 集結のブレーメン
今回から試練スタート!
おとぎの世界に来てから翌日、宿屋で一夜を過ごした零夜達は桃太郎達と合流。そのままそれぞれの訓練と試練へ向かっていた。
零夜とルリカは桃太郎からの技の伝授、エヴァとコーネリアは金太郎から格闘技術の訓練を受けに。ミミとキララはブレーメンの音楽隊の元へ向かい、倫子達は山姥討伐へと向かったのだ。
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零夜とルリカは桃太郎から技の伝授を受けていて、ケイコとマツコも参加している。お供達は既に揃っているので、後は技の伝授のみだ。
「俺の伝授する技は桃絆。四人の力を合わせる事が大事で、仲の良さによってパワーアップの段階も違ってくる」
「じゃあ、仲の良さによってパワーアップする段階も違うと言う事ですね」
桃太郎からの説明を聞いたルリカ達は納得していて、彼女達は自分達の絆を確認し始める。彼女達は友達程度で交流しているので、共に戦った事はあまりない。そうなると連携攻撃から始める必要があるのだ。
「まずは連携攻撃からだ。四人で絆を深めるところから始めるぞ!」
「「「了解!」」」
零夜の合図にルリカ達は頷き、おとぎの世界にある修練場へと向かい出す。奥義である桃絆を取得するには、連携攻撃や合体技などを取得する必要があるのだ。
(零夜は仲間の絆を大事にしていて、それが今の様な行動を取る事が出来た。もしかすると、たった一日で完全取得できるかも知れないな)
桃太郎は零夜達の姿を見ながら、笑みを浮かべながら心の中で思っていく。零夜達ならやれば出来ると信じながら、彼等の後を追いかけ始めた。
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別の場所ではエヴァとコーネリアが、金太郎から格闘技術を教えられていた。彼が教えるのは相撲の投技であり、上手投げ、腰投げ、押し倒しなどの技を彼女達は受けていた。
「この様に相撲の投技は、受けて学ぶのが基本や。そこから受け身などを十分に鍛え上げ、投技をしっかりと極める事が重要やで」
「なるほど。格闘技術は自身がどの様に技を受け、そこから学ぶ必要があるのね」
金太郎の説明にコーネリアは納得していて、格闘技を学ぶ原点を心に刻み込んでいた。
格闘技術は打撃や投げ、絞め技などの種類があるが、それを学ぶにはどの様に受けられたかを知る必要がある。そうすればその痛みは勿論の事、そこからどう対策するのかも学べる事ができるのだ。
「そう言う事や。次はぶちかましとなるタックルや。エヴァはんはできるとしても、コーネリアはんは鍛える必要があるさかい。遠慮せずかかって来るんやで!」
「OK!やってやるわ!」
コーネリアはスピードを上げながら金太郎にタックルを仕掛けるが、彼女の体重は軽いので彼はビクとも動かない。体重の差が明らかに大きいのが現状だが、オーラを纏えば弾き飛ばせる事は可能だろう。
「もう一度お願いするわ!」
「よっしゃ!思う存分かかってこい!」
コーネリアは何度も金太郎に向かってタックルを仕掛けていて、弾き飛ばせる様になるまで何度も続け始める。エヴァはストレッチをしながら待機しているが、コーネリアの懸命な姿に感心の表情をしていた。
(コーネリアもますます強くなるし、パートナーである私も頑張らないと!)
エヴァは心の中でコーネリアに負けないと意気込みを入れた直後、すぐにシャドートレーニングに取り掛かり始める。そのパンチの動きはとても素早く、まるで風を切り裂く様な速さだった。
※
ミミとキララは赤ずきんの案内で、ブレーメンの音楽隊がいる家に辿り着いていた。いわゆる普通の一軒家だが、何故か暗い雰囲気が漂っていたのだ。悲しみと落ち込みのオーラが漂っているからこそ、暗い雰囲気になるのは当然である。
「暗い雰囲気の原因が分かったわ。あれよ」
キララが指差す方を見ると、ロバ、イヌ、ニワトリの三匹が落ち込んでいるのが見えた。猫がいなくなってからずっとこんなで、ため息をついてばかりだ。
「ネコの奴、何処に行ったんだよ……」
「僕達の元を去ってから、行方が分からないみたいだ……」
「私達はネコが必要なのに……」
三匹が盛大なため息をついたその時、キララが彼等に近付いてきた。彼女は心配そうな表情をしていたと同時に、落ち込む三匹に声を掛ける。
「話は聞いたわ。ネコが行方不明なの?」
キララが首を傾げながら質問したその時、三匹は彼女の姿を見て驚きの表情をする。キララは猫族の獣人である為、行方不明になっていたネコと同じ匂いを感じていたのだ。
「君、もしかして猫族の獣人なのか?」
「そうよ。あなた達を手助けに来たんだから。おとぎの世界を救うまでだけどね」
ロバからの質問にキララは罪を浮かべながら応えた直後、三匹は喜びの表情で彼女に駆け寄ってきた。獣人であるにも関わらず、猫である事には間違いないからだ。
「助かったよ!これで僕達は本来の力を発揮できる!」
「ああ!僕達は音楽を演奏する事で敵を弱体化させ、味方をパワーアップできる。君も楽器は演奏できるのかい?」
「勿論!」
イヌからの質問を聞いたキララは、指を鳴らして楽器を召喚する。その楽器はキーボードで、特にバンド専用として使われるのだ。
「キーボードか!それならバッチリだ!実は僕達ブレーメンでバンドしているからね」
「は?バンド?」
ロバは笑顔を見せながら自身の活動を説明し、その内容にミミはキョトンとしてしまう。ブレーメンの音楽隊と言ったらギターや太鼓などのブラスバンドなのに、ドラムなどを使うバンドなんて聞いた事がないのだ。
「私達、ロックバンド「ブレーメン」として活動しているの。イヌはギター、ロバはドラム、私はベース、ネコはキーボードで構成されているわ」
「で、アタシがボーカルだ。黙ってて悪いけど、副業としてボーカルやってんだよね……」
ニワトリは自分達がしている活動を説明し、赤ずきんも苦笑いしながらバンド活動している事を説明。それにミミがずっこけてしまうのは当然である。
普通ならブラスバンドの活動をしている筈だったのに、その幻想は脆くもぶち壊されてしまった。こんな事を子供が聞いたら、泣き崩れるのは殆どであろう。
「いつつ……まあ、バンド活動しているのなら良いけど……これからバンド練習を行うの?」
「そういう事になるな。よし!メンバーが揃った事だし、練習開始だ!戦いまでに仕上げていくぞ!」
「「「おう!」」」
赤ずきんの合図でバンド練習が始まりを告げられ、激しい音楽が鳴り響き始める。更に赤ずきんの歌も響き渡り、本格的なバンドとなって活動を再開し始めたのだ。
キララもキーボードを弾きながら楽しんでいて、その演奏はプロ並みである。この光景にミミは苦笑いをした後、すぐに青い空を見上げ始めた。
(取り敢えずブレーメンの件に関しては、一件落着ね。私もダンスの練習して強くならないと!)
ミミはブレーメンの件に関しては問題ないと確信した後、自身もブレイクダンスの練習を始めた。その動きはまるでプロレベルでありながら、ヘッドスピンまで余裕でこなしている。まさにダンス界の神童と言っても良いぐらいなのだ。
この様にブレーメンの問題に関しては、無事に解決する事ができた。零夜達も問題なく進んでいるとなると、残すは倫子達の試練のみ。果たして彼女達は無事にクリアする事ができるかだが、それは実践してみないと分からないだろう。
残すは倫子達のみ。果たしてどうなるのか!?
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