第213話 天下無双のブレイブペガサス
今日から一日一話投稿します!ご了承ください。
ハンニャバルとの戦いが終わります!
零夜達は弱体化したハンニャバルに立ち向かい、次々と攻撃を繰り出そうとする。退魔手裏剣の効果は手裏剣が敵に刺さっているか、外れてから十分間という時間内に限られている。だからこそ、反撃するなら今しかないのだ。
「ここはバーサークを倒した時と同じ技で行くぞ!」
「エイトスレイヤーね。奴を倒すにはその技しかないし、今こそ披露するわよ!」
「「「了解!」」」
零夜とミミの合図と同時に、全員がそれぞれの配置に動き始める。ハンニャバルを素早く倒す方法は他にもあるが、ここはエイトスレイヤーがカギとなる。苦無がいつ落ちてしまうかも分からないので、手っ取り早く決める必要があるのだ。
まずはルリカ達と美津代の九人がバーサークを取り囲み、バーサークの足元に魔法陣を展開する。
「集中力を高めて魔術を出すのね」
「はい。私達の合体魔術でダメージを与えましょう!」
「ええ!私達に限界はない。やるなら今しかないわ!」
ルリカの合図に美津代は笑顔で頷き、それぞれの魔術を発動させる。集中力が上がると同時に、魔術の威力も上がり始めていく。そのまま最大限に高まったその時、彼女達の合体攻撃が発動した。
「「「ユニゾンレイド!」」」
「ガアアアアアアア!!」
ルリカ達九人の手から強烈な光線が発射され、ハンニャバルに激痛の大ダメージを与える。敵は生身の状態となっているので、かなりの大ダメージを受けている。このままだと倒れるのも時間の問題だ。
「攻めるなら今!風の様に駆け出し、敵を倒しに向かうのみ!」
エヴァが風のように素早く駆け出したと同時に、ハンニャバルを両手で軽々と持ち上げる。彼女による本来の怪力発揮に、観客達は驚きの声を上げていたのだ。
「これは凄い怪力!エヴァの実力はお見事としか言えません!」
「せーの!」
ラビリンの興奮の実況の直後、エヴァはハンニャバルを力強く上空へ投げ飛ばした。それと同時にアミリス達が一斉に空を飛び始め、エイトスレイヤーのお披露目が始まりを告げられたのだ。
「まずは私から!ガトリングアロー!」
アミリスの弓矢による連続射撃が決まり、ハンニャバルの背中に多くの鏃が突き刺さった。かなりの弓矢が刺さっているとなると、かなり痛いのは当然だろう。
「私も行くわ!断罪一閃!」
ヒカリの断罪の剣による一撃が決まり、ハンニャバルのダメージも蓄積されていく。さらに羽まで結合破壊をされてしまい、自由に飛ぶ事が出来なくなったのだ。
「こいつは痛いぜ!煉獄斬撃!」
ソニアは強烈な炎の斬撃を繰り出し、ハンニャバルに激痛の大ダメージを与える。彼女の炎の斬撃でハンニャバルの体力は減らされてしまい、五分の一以下になってしまったのだ。
「この故郷を好き勝手にはさせない!波動爆弾!」
倫子は両手から波動の爆弾を次々と作り出し、そのままハンニャバルに投げていく。爆発によるダメージも見事炸裂し、敵の体力は更に減ってしまった。
「悪しい者に天罰を!ホーリージャッジ!」
ジャンヌの魔術で空から光が差し込み、ハンニャバルに直撃して効果抜群のダメージを与えた。それを見た零夜は村雨を構えながら跳躍し、刀身にオーラを込めて振り下ろそうとする。
すると、ミミが零夜の隣に移動し、彼の手をギュッと握り始める。その様子だと二人でとどめを刺すつもりの様だ。
「零夜、ラストは私達で終わらせましょう!私達の故郷に錦を飾る為にも!」
「勿論だ!」
零夜とミミが強く村雨の柄を握った途端、刀身のオーラが急速的に強くなり始める。二人の絆と愛の力が合わさったからこそ、この様な事が出来たのだろう。
「刀身のオーラが強くなった!これが二人の絆なのか!?」
「もしかするとそうかも知れないな……零夜君、ミミ!君達二人の力で終わらせてくれ!そして、愛の力は無限大だという事を証明するんだ!」
驚きを隠せない修吾に対し、哲郎は冷静に判断しながら推測する。そのまま零夜とミミにエールを送ったが、彼等は恥ずかしさのあまり赤面したのは言うまでも無い。
「そこまで言わなくても良いのに……けど、その期待に応えないとね!」
「そうだな!最大奥義……!」
「「快刀乱麻!」」
「グアアアアアア!!」
零夜とミミはハンニャバルを一刀両断で切り裂き、真っ二つに切断する事に成功。そのまま二人が着地したと同時に、ハンニャバルは大爆発を起こして塵となってしまった。
「決まったー!エイトスレイヤーが炸裂で、ハンニャバルは爆発した!これで勝負ありなのか!?」
これで誰もが終わったと思った直後、爆発の中から殿町がボロボロの状態で姿を現す。そのまま真っ逆さまに墜落してしまい、地面に不時着してしまったのだ。
「おい!あれって殿町じゃないのか!?」
「しかもズタボロよ!まだ戦えるの!?」
「分からないわ。ともかく近付きましょう!」
零夜達は倒れている殿町の元に駆け寄り、ミミ達が直ぐに彼の様子を確認する。今の攻撃でダメージを受けてしまったとなると、死んでしまうのも時間の問題だ。
「相当のダメージね。死んでしまうのも時間の問題よ」
「そうか。殿町……ダメージを喰らってもまだやる気なのか?」
ミミからの報告に零夜は頷き、彼は警戒態勢を取ったまま真剣な表情をする。奴は不意打ちを仕掛けてくるので、油断大敵と言った方が良いだろう。
「いや……俺の負けだ……」
「「「へ?」」」
殿町が降伏宣言をしてしまい、それに零夜達、観客達などが驚きを隠せずにいた。神室に至っては真剣な表情をしていて、彼の最期だと分かっていたのだ。
「俺は愚か者だった……異世界に転移してから東を倒そうとしていた……けど、奥の手まで使って勝とうとした結果、このザマだな……」
殿町は涙を浮かべながらも、自らの愚かさを振り返っていた。もし、彼が復讐する事なく別の道を歩んでいたら、この様な結末にはならなかっただろう。
すると殿町の身体が光出し、塵となって消滅しようとしていく。アークスレイヤーの掟により、負けた者は死を償う事が義務付けられているのだ。
「俺は……こんな惨めな人生を……送りたくなかった……ごめんな……東……」
殿町は涙を流しながら零夜に謝罪し、光の粒となって消滅。そのまま上昇して空の彼方へと消えてしまったのだ。
「……じゃあな、殿町」
零夜がポツリと呟いた直後、大歓声が響き渡る。あのハンニャバルを見事撃破した事で、ブレイブペガサスの真の強さに興奮度が高まっていた。これに関しては黙っていられなくなるのも無理ない為、最大限の歓声を出していたのだ。
「良いぞ、ブレイブペガサス!」
「山口の……いや、俺達の世界の真の英雄だ!」
「カッコよかったぞー!」
観客達からの歓声に零夜達は驚きを隠せず、ただ呆然と見つめていた。彼とミミの地元の人達からの声援は、とても温かくやる気を引き出してくれているのだ。
「皆……俺達の為に……そこまで……!」
零夜はプルプルと身体を震わせながら、観客達の応援を身体で受け止めていた。そのまま勢いが爆発するかの様に左拳を真上に上げ、空を見上げながら笑顔を見せた。
「これが俺達、天下無双のブレイブペガサスだ!」
「「「ワアアアアアア!!」」」
零夜の宣言に再び歓声が響き渡り、ミミ達は笑顔で彼の周りに駆け寄ってきた。そのまま皆で抱き合いながら喜び合い、中には涙を流している者までいたのだ。
「まさか奴等が殿町達を倒すとはな……だが、俺達はそう簡単に甘くないからな。その時が来るまで、絶対に負けるなよ……」
神室は観客席から零夜にそう告げた後、その場からこっそりと転移して姿を消した。零夜と神室。二人が戦う時は何時になったら来るのだろうか……
戦いは見事勝利!今後はどうなるのか?
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