第187話 百種類以上のソフトクリーム
今回はソフトクリームの話です!
ファンサービスを終えた零夜達は、ペキニーズの子犬をヒーローアイランドに転送した。野良犬をこのままにする理由には行かず、ヒーローアイランドで保護する事を決意。その方が子犬にとっても幸せであり、のびのびとして過ごしやすくなるだろう。
「最近では野良犬が出ているから、私達で保護しないとね」
「ええ。ヒーローアイランドには獣医さんやトリマーが職業の人もいるし、本領発揮となる事もあるからね」
倫子の意見にエヴァも同意しながら頷く。動物保護だけでなく、職業スキルも発揮できるので一石二鳥だ。
ヒーローアイランドにいる元奴隷の中には、獣医やトリマーの資格を持つ者が数名いるのだ。今後は野良犬の保護も始める様になるが、そうなるとますます賑やかになるのは間違いなく、様々な動物達も入ってくるだろう。そうなると動物園も建てられるのも時間の問題だ。
「それじゃ、ソフトクリームを探しに向かわないと!」
ミミの合図で全員がソフトクリームのお店である東風を探しに向かおうとしたその時、目の前にそのお店があった。店は小さいが、かなりの人気を誇っている。その証拠にお客さんが次々とソフトクリームを求めて寄っているのだ。
今はそんなにもお客はいないので、買えるとしたら今がチャンスだろう。
「このお店の種類は多いからね……大体百種類以上はあるかな」
「「「百種類!?」」」
ミミの説明に倫子達は驚きを隠せずにいたのも無理はない。普通のソフトクリームのお店は大体十種類以上だが、このお店は百種類以上もある。まさに種類の数の追求心によって、今があるのだろう。
それによって何処かの番組から認定証を貰ったという記録まであり、日本中でも有名と言われているのだ。
「そんなにもあるなんて……種類が多いと迷ってしまうからね……」
「その証拠にメニューも沢山ありますね……」
ヒカリとジェニーの意見に皆も同意する中、全員がメニューに視線を移す。バニラやチョコレート、抹茶、いちごは勿論、杏仁、白桃杏仁、パイナップル、大正浪漫、抹茶バナナにとうもろこし、かぼちゃ、ほうじ茶、安納芋、ストロベリーレモンやマンゴーミルク、ロイヤルミルクティー、ブルーベリーまである。これだけかなりの豊富な種類なら、皆がキョロキョロと迷うのも無理はない。
「どれにします?」
「うーん……人気なのは……ん?」
マリー達はメニューを見てどれにするか考えたその時、ソフトクリーム以外にも他のメニューがあった。瓦そば、蓮根そば、カレーなどもあるのだ。
ソフトクリームのお店だが、普通の食事も楽しめる事ができる。お昼に食べる事もできるので、観光客としては大助かりだ。
「あっ、ソフトクリーム以外にも色んなメニューがあったのね」
「ええ。でも、私達の目的はソフトクリームですからね。けど……こんなのもあるのですか?」
ジャンヌが指差す方をよく見ると、カレー、わさび、塩、醤油、納豆、ハバネロまである。マニアにとっては食べたくなるが、普通の人なら食べたくないだろう。種類が豊富なのは良い事だが、そこまでするのは流石にどうかと感じるのも無理はない。
「ええ……私達は無難な方を選びましょう。何にするか決めた?」
「はい!私は抹茶キャラメルにします!」
「ジェニー、抹茶好きなの?」
なんとジェニーは抹茶キャラメルにする事を決断し、全員が彼女に視線を移す。彼女はカンフーガールなのに、意外にも抹茶好きなのは驚くのも無理はない。
「ええ。この世界に来てから抹茶を始めて飲みましたが、美味しかったです!すっかり気に入りまして」
「そうなのね。じゃあ、私はラムショコラで!」
ジェニーは抹茶を選択し、ヒカリはラムショコラを選択。それを見たソニア達も、次々と選択し始めた。
「アタイはキャラメルだな。そっちの方が美味しいし」
「アタシは安納芋にするよ」
「では、私は北海道バニラにします」
「私は北海道とチョコミックスにするわ!」
ソニアはキャラメル、杏は安納芋、ジャンヌは北海道バニラ、マリーは北海道バニラとチョコミックスにする事に。気に入った物が見つかったのだろう。
「じゃあ、私はチョコスプレーがある五色バニラにするわ!」
「私はブルーライチね」
「私は白桃!」
「私はオレンジマンゴーにするわ!」
アミリスは五色バニラ、マーリンはブルーライチ、エヴァは白桃、コーネリアはオレンジマンゴーを選択。残るは零夜、ルリカ、ミミ、キララ、倫子、日和、美津代の七人となった。
「じゃあ、ウチは安納芋にする!」
「おっ!アタシと同じだな!」
「ウチ、こう見えてもお芋系が好きだから」
倫子は杏と同じく安納芋を選択。彼女は干し芋や焼き芋が好物なので、休憩の合間によく食べているのだ。特に干し芋は持ち運びが楽なので、異世界に行く時はよく準備しているのだ。
「私はチーズケーキにしようかな?」
「私はロイヤルミルクティね」
「私はいちご!」
「私はブルーベリーかな」
日和はチーズケーキ、美津代はロイヤルミルクティ、ミミはイチゴ、キララはブルーベリーを選択。残るは零夜とルリカとなった。
「俺はパイナップルにするよ。これが好物だから」
「私もそれにします!」
零夜とルリカはパイナップルを選択し、これでソフトクリームは全員注文し終えたのだ。そのまま彼は皆の分をまとめて紙に書いたと同時に、店主に対して注文を依頼する。
「すいません。メニューについては紙にまとめましたので、そちらをお願いします」
「おお!団体さん……って、選ばれし戦士達のブレイブペガサスですね!よく来てくださいました!」
店主は零夜達の姿を見た途端、感激の表情をしていた。まさか自分の店に選ばれし戦士が来るのは想定外で、驚くのも無理ないのだ。
「ええ。観光という事でソフトクリームを買いに来ましたが、まさかこんなに種類があるとは……」
「ウチは種類が持ち味でしてね。向う側にある西雲とはライバル関係なのですよ」
店主はライバル店である西雲を指差し、今の現状を説明する。西雲も東風と同じくソフトクリームの種類が多く、東風にはないメニューもある。まさにどれにしようか迷うかで、皆がキョロキョロ見回すのも無理ないのだ。
「そうなのですか。意外と大変ですね」
「お陰様で売上が上がっているのが幸いです。さあ、どうぞ!」
店主は出来上がったソフトクリームを次々と渡し、零夜達はそれぞれのソフトクリームを受け取っていく。どれも美味しそうで、食べたくなるのは当然である。
「「「いただきます!」」」
零夜達はそのままソフトクリームを食べ始め、一口食べた途端にその甘味が広がっていく。種類は違っても、頬が落ちる程の旨味である事に間違いないだろう。
「美味しい!ソフトクリームは初めてだけど、凄く良い味している!」
「フルーツとの組み合わせも見事ね」
「抹茶ソフトも美味しいです!」
アミリス達はソフトクリームを食べながら喜んでいて、零夜達は微笑んでいる。彼女達はソフトクリームを食べるのが初めてで、最高に美味しいと感じているのも当然の事だろう。
「良かった……ソフトクリームを気に入ってくれて」
「彼女達、ソフトクリーム初めてだからね」
「そうですか。私達にとっても感無量です!」
アミリス達の笑顔に店主は頷きながら喜んでいて、零夜達も微笑みながら見守っている。すると倫子がある事を思い出し、皆に視線を移す。
「そうだ!ソフトクリームを食べたお礼として、サインを書きましょう!それなら売上効果バッチリとなるからね!」
「色紙も用意しているし、ソフトクリームを兼ねたお礼としてプレゼントしないと!」
「「「賛成!」」」
倫子と日和の意見に皆も頷き、ソフトクリームを食べ終えたと同時にサインを書き始めた。そのままサインはお店の掲示板に飾られ、更には全員集合の写真までも載せられた。これによって売上が大幅に上がり、ますます人気になったのは別の話である。
因みにモデルは岩国の錦帯橋にあるお店です。
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