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第177話 覚醒のアメリア

今回はアメリアに新たな力が!

「これが俺の過去だ」


 紅蓮丸は自らの過去を語り終え、その話に零夜達は驚きを隠せずにいた。まさか事故によって転生し、憎しみと怒りによって今の姿になったのは想定外だっただろう。


「自身の夢を打ち砕かれて、その恨みを晴らす為に四人を殺した……実際には九年掛かったみたいだな」


 零夜は冷静な表情で紅蓮丸の過去を振り返り、夢を打ち砕いた四人を殺した期間を計算する。選ばれし戦士とアークスレイヤーとの戦いが始まったのは数ヶ月前で、紅蓮丸が転生したのは九年前の頃。考えてみれば計算は合っていると言えるだろう。


「そうだ。一人は見つけたが、他の三人は別の次元に避難していた。次元を行ける転移魔術の取得には、長い年数が必要だった。様々な経験をしてからようやく次元を行き来できる様になり、奴等を一人残らず殺したからな……」


 紅蓮丸は零夜の質問に正確に解答し、転移魔術を覚える為に時間が掛かった事を告げた。

 次元から次元に行く転移魔術を覚えられるのはごく僅か。取得するには最低でも十年は掛かると言われている。紅蓮丸は復讐と怨念の力もあってからか、九年でようやく次元を行き来できる様になったのだ。


「それからアークスレイヤーとの戦いが発生している事を知り、奴等だけでなく、選ばれし戦士達まで殺していた……アークスレイヤーを倒すのは良いが、選ばれし戦士まで殺すのはやり過ぎだ!」


 零夜は紅蓮丸の行為を一部同意するが、選ばれし戦士達への殺害はやり過ぎだと批判。敵味方の区別をつける事なく、次々と悪意のある者を殺害する行為は極悪人その者。正義の域を超え、全世界からの敵と見なされているのも無理はない。


「テメェ等……俺のやり方が気に食わないってのか……だったら全員殺してやるよ!」


 紅蓮丸は怒りのオーラを全身から放ち始め、そのまま零夜達に襲い掛かってくる。彼の怒りは想像を遥かに超えているだけでなく、憎しみまでも含まれている。そるによって怒りも限界を超えているのだ。


「憎しみがここまで響き渡ったとなると、倒すしか方法はありません!各自警戒しながら倒しに向かいましょう!」

「「「了解!」」」


 アメリアの合図と同時に零夜達が一斉攻撃を仕掛けようとするが、紅蓮丸は跳躍したと同時に魔術を唱え始める。すると地面から次々と赤い球が飛び出し、そのまま零夜達に狙いを定めて発射してきた。


「ブラッドサーチボム!」


 紅蓮丸の合図と同時に、ブラッドサーチボムは次々と爆発を起こして零夜達に爆風のダメージを与えまくる。すると、その内の一つがシオンに直撃してしまい、彼女に爆発の大ダメージを与えたのだ。


「うわっ!」

「シオン!」


 爆発を喰らったシオンは仰向けに倒れてしまい、シナモン、ジャミラ、ゲルダも爆風に巻き込まれて吹き飛ばされてしまう。


「「「キャアアアアアアア!!」」」

「シナモン!ジャミラ!ゲルダ!」


 シオンに続いてシナモン達も倒れてしまい、残るはあと三人となってしまった。今の攻撃で一気に不利になったとなると、ピンチになる事には変わりないだろう。


「こうなったら立ち向かうしかないが、まずはあの爆弾をどうにかしないとな!」


 零夜は次々と苦無を構え、そのままブラッドサーチボムに当てて破壊しまくる。破壊する事に爆発してしまうが、その威力と大きさを最小限に留める事ができたのだ。


「そのまま真空波動斬(しんくうはどうざん)!」


 村雨の刀身から波動の斬撃が発動し、紅蓮丸へと襲い掛かっていく。しかし、彼は跳躍しながら回避したと同時に、零夜に接近して斬撃を繰り出そうとしているのだ。


「馬鹿め!煉獄斬撃(れんごくざんげき)!」

「ガハ……!!」

「「零夜(様、さん)!」」


 零夜は紅蓮丸の炎の斬撃をまともに喰らってしまい、大ダメージを受けて倒れてしまう。傷はとても深く、立ち上がるにも時間は掛かってしまうのは確定だ。


「どうやらお前もここまでだな。最期は楽にしてくれる!」


 紅蓮丸は百鬼夜行を構えながら、零夜にとどめを刺しに向かう。しかし、彼の前にアメリアとルリカが立ちはだかった。これ以上倒れる者達を黙ってみていられないのは勿論、紅蓮丸を倒そうとする覚悟で挑もうとしているのだ。


「邪魔をする気か!」

「当たり前です!今度は私達が相手です!」

「零夜様を傷つけた罪、絶対許しません!」


 アメリアとルリカは紅蓮丸にそのまま襲い掛かるが、彼は百鬼夜行を強く構えながら次々と攻撃を弾き返していく。更に強烈な蹴りを二人の腹に当てまくり、強烈な斬撃を浴びせたのだ。


「「あうっ……!」」


 アメリアとルリカも片膝をついてしまい、万全に戦えるのは誰もいなくなった。紅蓮丸はチャンスとばかりに、零夜にとどめを刺そうとし始める。


「これで全て終わらせてやる!覚悟!」


 紅蓮丸は跳躍しながら急降下し始めた、百鬼夜行を下に向けながら零夜の心臓を突き刺そうとしたのだ。彼が動けなくなっている以上、もう回避する事さえできない。まさに絶体絶命だ。


「駄目ーーーー!!」


 アメリアが涙ながらに叫んだその時、彼女の身体が発光し始め、その光は広範囲に広がってしまった。


「うわっ!」


 紅蓮丸は強烈な光を喰らってしまい、バランスを崩して地面に激突してしまう。更には能力も弱体化してしまい、鉄仮面も破壊されてしまったのだ。


「馬鹿な!俺の鉄仮面が……」


 素顔の状態となった紅蓮丸は驚きを隠せずにいた直後、零夜達の傷が高速で回復し始めていく。倒れていた彼等は次々と立ち上がり、万全の状態となってしまったのだ。


「い、今のスキルは一体……」

「傷も回復したし、万全に戦える……アメリア姫、今の技は……?」

「さあ……」


 零夜達が予想外の展開に戸惑う中、ルリカは未だに発光しているアメリアに質問する。しかし彼女もキョトンとしていて、分からないみたいだ。


「今のスキルはプリンセスミラクル!アメリア様の固有スキルですぞ!」

「レジーさん!?」


 なんとレジーがいつの間にか姿を現した事で、零夜達はビックリしながら驚いてしまった。彼等はネオマギアスを討伐していた筈だが、その様子だと終わっていたのか気になるところだ。


「こちらは既に終わりましたぞ!倫子さんがエアロというドラゴンを召喚し、止めを刺しましたからな」

「「「?」」」


 レジーが指差す方を見ると、そこにはネオマギアスの姿はなく、ミミ達が敵を倒した事を喜び合っていた。特に倫子は小さなドラゴンであるエアロを抱きながら、満面の笑みを浮かべていたのだ。


「そうだったのですね。それで、今のスキルは……」


 ルリカは苦笑いしながらも納得の表情をしていて、気になる事をレジーに質問する。ネオマギアスの事で突然脱線していた為、今の現象について改めて質問したのだ。


「プリンセスミラクルは自身から強烈な光を発光させ、敵を弱体化する事が可能。更に自身や味方は高速回復するだけでなく、最大限まで強化できる。アメリア様にしかできない固有スキルでありますぞ!」

「じゃあ……アメリア姫も選ばれし戦士の一人となっているのか!」


 レジーの説明に零夜とルリカは納得する中、アメリアは自らの胸に手を当てていた。自らの固有スキルが判明された以上、選ばれし戦士として最後まで戦う決意を固めているのだ。


(私にも固有スキルを発動する事が出来た……なら、選ばれし戦士として恥じない為にも、必ず紅蓮丸を倒すのみ!)


 アメリアは心の中で決意したと同時に、真剣な表情で紅蓮丸を睨みつける。彼は弱体化しているが、戦う意志はまだあるのだ。


「よくもやってくれたな……こうなったらお前を倒してやる!」

「あなたの野望は……私が止める!」


 紅蓮丸とアメリアは同時に飛び出し、戦いは最終局面に入り始めたのだった。

戦いは最終局面!果たして?


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― 新着の感想 ―
まさかそんなものが飛び出すとはさすがの紅蓮丸さんも想定外でしたね。致し方ないかと思います。今回もとても面白かったです。
おお、アメリアかっこいい!! 果たして!?
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