第173話 マギアスの新形態
今回はマギアスが新たな姿になります。
「うう……どうなったんだ?」
「私達、光によって目を閉じていましたね……」
「どうなったのでしょうか……」
光によって目を閉じていた零夜達が目を覚ますと、そこにはジャンヌが倒れているマギアスの上に乗っていた。敵の背中の砲台は粉々に砕かれ、石像のように固まっている。
この様子だと彼女によって倒されていて、動かなくなったのだろう。
「マギアスが倒れている……」
「私達、勝ったの……」
「終わったのか……」
シナモン達がマギアスを倒した事を実感する中、アメリアは真剣な表情をしていた。恐らくマギアスが消滅していないとすれば、まだ隠された力が残っているかも知れないだろう。
「ジャンヌさん!すぐにマギアスから離れてください!消滅していないとなると、まだ戦えるみたいです!」
「はい!」
アメリアの指示でジャンヌがマギアスから離れた途端、敵の身体が闇に包まれて変化し始めた。その様子に零夜達が冷や汗を流す中、ベクトルが丘の上に姿を現した。
「まさかマギアスをここまでやるとは驚いたよ……」
「「「ベクトル!」」」
ベクトルの声に気付いた零夜、ミミ、倫子、ヒカリ、トラマツ、ノースマンは驚きの声を上げ、そのまま彼を睨みつけながら戦闘態勢に入る。一度撃退した相手と戦う事になるとは思ってもいないが、ベクトルとの戦いは避けられないだろう。
「おっと。私は君達と戦うつもりはない。私が変化させたマギアスを倒せるのか見せてもらおうと思ってな」
「変化!?」
零夜達がマギアスに視線を移すと、敵の姿は既に変わっていた。
その姿は二足歩行で機械の身体をしているが、顔は鉄の仮面で隠されていた。更に四本の腕も健在となっていて、マギアスの面影が残されているのが見える。
「この姿こそマギアスの新たな姿、ネオマギアス!さあ、奴等を倒せ!」
「グオオオオオオオ!!」
ベクトルの合図と同時にネオマギアスは咆哮を上げ始め、そのまま零夜達に襲い掛かる。そのまま彼等を始末するつもりで、その暴走は止まる事を知らないだろう。
「動きやすくなったとなると、かなり手強くなるわね。皆、気を付けて!」
美津代の合図に全員が頷く中、ネオマギアスの拳が彼女を強烈な一撃で殴り飛ばした。その威力はとても強く、地面に不時着したら骨折確定と言える。
「キャッ!」
「美津代さん!」
零夜は素早く駆け出したと同時に、跳躍して美津代をキャッチする。同時にルリカが美津代に対して回復魔術を発動させ、彼女の傷をあっという間に完治した。
「大丈夫ですか!?」
「ええ。ルリカちゃんの回復魔術で完治したわ。ありがとう!」
「お役に立てて何よりです!」
零夜が美津代を心配するが、彼女は彼に対して笑顔で応えてから、ルリカにお礼を言った。お礼を言われたルリカは笑顔で返した直後、三人は暴れまくるネオマギアスに視線を移す。
ネオマギアスの猛攻は止まらず、どんな魔術でも効果ない。逆に接近しようとして攻撃しても、殴り飛ばされるのがオチなのだ。
「あの化物をどうにかしないと、大変な事になるかもね……」
「ええ。何か策があれば良いのですが……」
美津代と零夜が冷や汗を流す中、アメリアが彼女達の元に駆け寄ってきた。どうやら殴り飛ばされた美津代が心配で来たみたいだ。
「怪我の方は?」
「なんとかね。それよりもこちらはどう?」
「なんとか躱しまくっていますが、このままだとスタミナが切れて大変な事になります」
アメリアの真剣な説明を聞いた美津代は、冷静に考えながら対策を練り始める。ネオマギアスは四足歩行から二足歩行になった分、動きやすさで活発になる。更に並大抵の攻撃が効かないとなると、強めの攻撃が必要になるのだ。
「となると、ここは俺が行きます!」
「零夜君!?」
すると零夜が素早く駆け出したと同時に、ネオマギアスに向かいながら突撃していく。この行為は自殺行為と言えるが、彼には策があるだろう。
「グオオオオオオオ!!」
(来たか!)
零夜はすぐに撒菱を前方に素早くばらまき、それに気付かないネオマギアスは彼に突進してきた。するとネオマギアスは撒菱を踏んでしまい、その痛みが全身に伝わり始める。
「ギャオオオオオオ!!」
「なんだと!?あのネオマギアスが!?」
撒菱を踏んでしまったネオマギアスは、ひっくり返って背中を強打。予想外の展開にベクトルも驚きを隠せずにいた。
「知っているか?忍者には撒菱という武器がある。更に今投げた撒菱は、弱体化能力を付与しておいた特殊撒菱なんだよ!」
驚きを隠せないベクトルに対し、零夜が挑発しながら説明をする。それを聞いたベクトルは、予想外の展開に体をブルブルと震わせてしまう。その表情は悔しそうな表情をしていて、心の中で怒りを灯しているのだ。
「凄いじゃない、零夜君!撒菱でひっくり返すなんて!」
「このぐらい朝飯前ですよ。今の内に攻撃用意!」
「「「おう!」」」
美津代の褒め言葉に零夜は笑顔で応え、全員に攻撃の指示を飛ばす。同時にミミ達は一斉に動き出し、次々とネオマギアスにダメージを与えまくっていく。
「一気に攻めればこっちの物!」
「ガンガン与えていきます!」
「倒れている今の内にダメージを与えないとな!」
キララ、ジェニー、ソニアは猛攻でネオマギアスにダメージを与えていく中、その様子にベクトルは黙ってはいられなかった。自ら蘇らせた最高傑作を、ここで終わらせる理由にはいかないのだ。
「このままにしておけるか!強化させるぞ!」
ベクトルが魔術でネオマギアスを強化させようとしたその時だった。
「そうはさせるか!この悪人が!」
「き、貴様は……!」
突如声がしたのをベクトルが感じた途端、上空から紅蓮丸が奇襲してきた。彼は目から殺気を放っていて、今でもベクトルを殺す勢いを保っている。
「チッ!」
ベクトルはバックステップで回避したと同時に、紅蓮丸は地面に着地する。そのまま百鬼夜行を構えたと同時に、ギロリとベクトルを睨みつけていた。
「おい!あそこにいるのって……紅蓮丸じゃないか!」
「あれが……ハインお兄様やその仲間を殺した……」
「グオオオオオオオ!!」
「「「!?」」」
零夜達も紅蓮丸の存在に気付き始めた直後、ネオマギアスが起き上がって怒りを活性化する。散々やられた分、黙ってはいられなくなったのだろう。
「ネオマギアスについてはレジー達にお任せします!零夜さん、シナモン、ゲルダ、シオン、ジャミラ、ルリカさんは、私と共に紅蓮丸の元へ向かいましょう!」
「了解です!あいつは何故こんな事をするのか聞きたいですからね。すぐに急ぎましょう!」
アメリアの指示に零夜達は承諾したと同時に、二手に分かれて行動を開始した。ネオマギアスを倒してアルメリアスの紋章を手に入れるだけでなく、紅蓮丸の凶行を終わらせる為にも……
ネオマギアスだけでなく、紅蓮丸まで!果たしてどうなるのか!?
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