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第166話 姫君の訓練

今回はアメリアの訓練です。

 それから翌日、ヴァルムントにある礼拝堂でハインの葬儀が行われていた。国民は彼の死を悲しんでいる者もいれば、紅蓮丸の行動に怯えている者もいる。つまり紅蓮丸を倒さなければ、この国への危険性は未だに残る可能性があり得るのだ。


(やはりハインを失った事は大きな痛手となったか……そうなるとアメリアが王位継承に値するが、彼女がどう成長するかだ。頼んだぞ、東零夜……)


 ボリスは真剣な表情で住民達の様子を見ながら、ヴァルムント王国の今後の事を考え始めた。

 王位継承争奪はハインが死亡。メルトが流罪。残るはアメリアのみとなった。彼女があ王位継承をするには、アルメリアスの紋章を手に入れる必要がある。しかし、マギアスと紅蓮丸を倒さなければ王位継承どころか、ヴァルムント王国にも危機が迫ってくる。それだけはなんとしてでも避けたいぐらいだろう。

 葬儀はその数十分後に終わりを告げられ、住民達はそれぞれの持場に戻り始めたのだった。



 その後、ヴァルムントの城中にある訓練場では、アメリアと零夜が対峙していた。昨日のアメリアからの依頼で訓練教官を務める事になり、剣術などを教える事になっているのだ。

 まずは剣術指南。アメリアは木製のロングソードを構えていて、零夜は木製の忍者刀を二刀流で構えていた。


「マギアスと紅蓮丸はかなり手強く、今のままでは完膚なくやられてしまいます。奴等を倒せる為には鍛え上げるしかないので、覚悟してください!」

「承知の上です!始めてください!」

「では、参ります!」


 アメリアは覚悟を決めながら戦闘態勢に入り、零夜も真剣な表情で同様にしていた。お互いじりじりと距離を詰めていく中、先にアメリアが駆け出しながら襲い掛かってきた。


「はあああああ!」


 アメリアの木剣が零夜に襲い掛かろうとするが、彼は素早い動きによるジャンプで攻撃を回避し、そのまま彼女の木刀の上に着地したのだ。

 この様子からみるとまさに牛若丸であり、お見事としか言えないだろう。


「凄い……この様な事までできるのですね……」


 アメリアは目をパチクリしながら、驚きを隠せずにいた。まさか目の前で自身の剣の上に乗ってしまうとは、予想外としか言えないだろう。


「ええ。素早く動けば動く程、この様な事も可能です。では、剣術の続きを」

「はい!お願いします!」


 零夜は木剣の上から飛び降りて床に着地し、素早くアメリアに襲い掛かってきた。彼女も木剣を構えながら攻撃をガードした直後、弾き返して攻めていく。


「動きをもっと早く!相手を追い詰める様に!」

「はい!」


 零夜からの指示にアメリアは応えつつ、次々と攻撃を繰り出しまくっていた。その様子にアミリス達は感心の表情をしながら見ていた。


「アメリア姫、頑張っているわね……」

「ええ。私達も負けられないわ!」

「ここでアタイ等がやらなければ、マギアスや紅蓮丸にも勝てないからな!」


 アミリス達も負けじと格闘技術の訓練を開始し、新たな技を取得しようと努力する。零夜とアメリアの頑張りがここまで影響していて、同時に負けられない気持ちも沸いてくるのは無理もない。

 その直後、アメリアの木剣が零夜の肩に当たり、手応えを感じる事が出来た。


「なかなかやりますね。ですが、その程度では俺は倒せませんよ!」


 零夜はスピードを上げて反撃を開始し、連続攻撃でアメリアを追い詰めていく。先程の本気は半分以下だったが、更にヒートアップして全体の七十%になっていた。当然アメリアは防戦一方で壁に追い詰められてしまう。


(この場合は……そこ!)


 すかさずアメリアは左足で蹴りを出すが、零夜は二刀流の木刀で攻撃を防いでしまう。すると彼女は木剣を床に当て、その反動を利用して跳躍。そのまま逆立ちしながら宙回転し、追い詰められた状態から脱出したのだ。


「おお!あの状態から脱出するとは……しかし、今の行為は流石にどうかと思いますぞ……」


 レジーはアメリアの今の行動に称賛するが、逆立ちしながらの行為に一部唖然としていた。それもその筈、アメリアはスカート姿で戦闘訓練をしている為、パンツが見えてしまうのは当然の結果。これに関しては恥ずかしいとしか言えないだろう。


「脱出できましたね。まだやれますか?」

「ええ!私もまだまだやれます!王になるには民を守る為に強くなる。それが私の使命です!」


 零夜の質問にアメリアは強く頷いたと同時に、再び彼に立ち向かう。木剣と木刀がぶつかり合いながらの互角の展開は勿論、アメリアがアクロバット技術を取得しながらレベルアップしていた。成長速度が速いのが彼女の強みだが、アクロバティックを披露する度にパンツが見える場面も出ているのだ。


「姫様、今の行為ははしたないですぞ!」


 レジーは慌てながらアメリアの元に駆け寄り、彼女に注意し始める。パンツが見える度に赤面してしまうのも無理なく、ここは注意しなければならないのだ。


「はしたないって……何かあったのかしら?」

「姫様がアクロバティックな動きをする度に、パンツが見えてしまう事態となっておられます!私としてははしたないですぞ!」

「ぱ、パンツ……」


 レジーの注意を聞いた零夜は思わず赤面してしまい、そのまますぐに土下座をしてしまう。戦いの最中にパンツが見えてしまう展開に罪悪感を感じていて、そのままこの行為に出たのだ。


「すみません、姫様!無茶な行動でこの様な事態になってしまって!」

「いえいえ。強くなる為なら大丈夫です。けど、確かにアクロバティックをするなら、服を変えても良いかも知れませんね……」


 零夜の謝罪にアメリアは苦笑いする中、服装を変える必要性を感じ始める。確かにパンツが見えてしまえば恥ずかしさを実感してしまうし、場合によっては味方にも悪影響を与えてしまう。更に一部の敵は興奮してしまい、変態行為をしてしまう事もあり得るのだ。

 それを聞いたミミはすぐにアメリアの元に駆け寄り、彼女にアドバイスをし始める。


「それなら私が良いコーデをしてあげるわ!私の服は動きやすさを重視しているから、この服装となっているの。良かったらそれでやってみる?」

「はい!是非お願いします!」


 ミミからのアドバイスを聞いたアメリアは、すぐに彼女の手を取りながらお願いする。服装に関しては女性の方が詳しいので、適任と言えるだろう。


「服装に関してはミミ姉達が何とかしてくれますし、パンツが見える事は防がれると思います」

「そうか。しかし、姫様が変な格好をしないか見届けねばなるまい!」

(過保護過ぎるにも程があるだろ……)


 零夜はレジーにアドバイスをしながら落ち着かせるが、彼はアメリアが変な格好になるのを防ぐ為に見届ける事を決意。それに零夜は心の中で呆れるしかなかった……

パンツが見えるのははしたないのは同感です。自身も苦手なので……


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― 新着の感想 ―
紅蓮丸さんは偽物の勇者を斬るだけなので、国としては脅威なのか微妙ですよね。本物なら容赦してもらえますよね?無差別辻斬りさんなら危ないんでしょうが。今回もとても面白かったです。
パンツ、確かに仕方ないけど気にならないようない装備でいきましょう!w 続きも楽しみです!
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