表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
146/277

第144話 新たな目標

今回で第四章終了です!

 エルフの森から帰還してから数日後、ヒーローアイランドにある海岸では、零夜が立ちながら海を見ていた。その様子だと、エムールから言われた事を考えていたのだろう。


(エムール様が言った通り、俺にはまだ見ぬ力がある……しかし、それを覚醒させるには様々な経験が必要となるのか……)


 零夜が心の中で真剣な表情で考えていくが、まだ何もかも分からずに悩み続けていく。やはりどう解釈しようとしても、中々答えは出にくい物だと実感するのも無理はない。

 零夜がため息をついたその時、ルリカが姿を現して彼の隣に移動してきた。この様子だと零夜が悩んでいるのを見て、我慢できないと感じていたのだろう。


「零夜様、エムール様から言われた事を考えていたのですか?」

「ああ……まだ見ぬ力があると聞いているけど、それがどんなのか分からない。経験は大事だと言われているが……」


 零夜は真剣な表情で再び考えようとするが、ルリカが彼を優しく抱き締める。それは太陽の様な温もりだけでなく、聖母の様な優しさもあるのだ。


「ルリカ?」

「私も一時期その様な事がありました。光太郎さんと共に旅をしていた頃、自身には何が必要なのかと悩んでいたのです。当時の私は戦力としては足手まといでしたので……」


 ルリカは自らの過去をポツリポツリと零夜に話し始める。

 当時、彼女は光太郎と共に行動していたが、ドジや失敗で足手まといとなってしまい、彼の迷惑になっていたのだ。これでは戦力どころかいらない人材になるのも無理はないだろう。その時から自分は何が足りないのか。どうすれば強くなれるのかを考える様になり、色々試行錯誤していたら、失敗ばかりで迷惑をかけていたのだ。


「その事を光太郎さんに話したら、彼は優しく私の頭を撫でながらこう言いました。「自分なりに強くなる。それが唯一の方法だ」と」

「……!」


 ルリカの話を聞いた零夜は、ある事が脳裏に浮かんでいた。それは自身が選ばれし戦士になる前の頃、プロレス道場に通っていた彼はどの様なレスラーになればいいのか悩んでいたのだ。

 プロレスラーについてはベビーフェイスやヒールは勿論だが、コミカル、真面目、ハイフライヤー、策略家、ルチャリブレ、武術家、覆面レスラー、忍者など様々なスタイルが多くある。しかし、零夜としてはどれも多過ぎて大混乱。その事を倫子に話したら、こうアドバイスしてくれた。


『大丈夫。零夜君は自身のプロレスを目指せばええんよ』


 倫子のアドバイスによって零夜の悩みは解消され、自身はハイフライヤーを得意とするレスラーになる事を決意したのだった。


(あの時もそうだったな……それが切欠で今の俺がいる……大事な事を忘れそうになったぜ……)


 零夜は過去の事を思い出した後、ルリカを優しく抱き返した。自身の悩みを聞いてくれた事がとても嬉しく、傍にいて良かったと思っているだろう。


「ありがとな、ルリカ。お陰で大事な事を思い出す事ができたぜ。俺は俺の道を突き進み、皆と共にアークスレイヤーの野望を終わらせる!」

「その意気です!私もサポートしながら立ち向かいます!」


 零夜の決意にルリカも同意しながら笑顔を見せたその時、アミリスとマーリンが姿を現す。彼女達も零夜が心配だからこそ、ルリカと同じく駆け付けてきたのだろう。


「アミリス、マーリン!」

「零夜が心配だから来たけど、その様子だと大丈夫みたいね」

「ええ。それだけじゃなく、皆があなたを心配していたのよ」

「えっ?それって……」


 零夜が言い切ろうとしたその時、ミミも別方向から姿を現して駆け寄ってきた。彼女だけでなく、キララ、倫子、日和、ヒカリ、ジェニー、エヴァ、コーネリア、ソニア、杏、ジャンヌ、マリー、美津代も同行しているのだ。

 どうやら彼女達も零夜の事が気になっていたので、心配するのも無理なかったのだろう。


「皆!」

「心配したから見に来たけど、その必要はないみたいね。ルリカが先に動いたのは見過ごせないけど」


 ミミはジト目でルリカの方を見つめ、彼女は口笛を吹きながら横を向いていた。抜け駆けをされた事を根に持っているが、ルリカにとっては器具耳持たずだ。


「でも、零夜君が無事に悩みを解決して良かったわ。私としても気がかりだったからね」

「私もよ。零夜君は私達のリーダーなんだから、ビシッと決めておかないと!」


 美津代は安堵のため息をつき、倫子は彼に近付いて彼の肩を叩く。リーダーである零夜がいるからこそ今の自分達がいるので、彼が落ち込んだらその時は支える事を決断しているのだ。

 零夜は皆から心配されていた事を実感し、全員に視線を合わせる。


「すいません。俺の為にそこまで……」


 零夜はすまなさそうな表情で謝罪するが、ヒカリと日和は笑顔で彼の肩に手を置く。


「気にしないで。皆、零夜君の事を信じているし、私達は最後まで付いていくから」

「だからいつも通り前を向いて」

「そうだな!」


 ヒカリと日和の笑顔のエールで、零夜はすぐに気合を入れ直す。そのままバングルを起動させ、すぐにウインドウを開きながら課題を確認する。

 零夜率いるブレイブペガサスの残る課題は二つ。山口県観光とアルメリアスの紋章を手に入れる事だ。

 山口県観光は難易度はとても低く、指定された場所を観光する事。これに関しては問題ないだろう。

 アルメリアスの紋章はハルバータのトンガラ渓谷にあるが、そこは凶悪な魔獣が潜んでいてかなり手強いと噂されている。難易度高めの課題でありながら、危険度も高いのが特徴だ。


「アルメリアスの紋章はレベル五十以上でないと行けないけど、今のアタイ等のレベルは五十五となっているな」

「じゃあ、紋章に関しては大丈夫みたいですね」


 ソニアは課題の内容を見ながら、自身達のレベルが規定以上である事を確認。それを聞いたジャンヌ達は喜んでいて、ようやくハルバータのトンガラ渓谷に行けるのだと実感していた。

 トンガラ渓谷にいる魔獣はレベル五十以上あるので、それ以下だと倒せるのは不可能。しかしレベルが五十を超えたという事は、戦える準備ができた証でもあるのだ。


「山口県の観光にも興味あるけど、あそこは一番最後で良いかも知れないわね」

「そうね。楽な方を先にやるよりは、困難の方を先に選ぶ。そうした方が私達らしいからね」


 マリーの提案にコーネリア達も笑顔で同意する。確かに楽な方を先にやるよりは、困難な方を先に選ぶ。そのやり方こそブレイブペガサスの信念でもあり、強みでもあるのだ。


「なら、次の目的地はハルバータに決定だな。しかし油断は禁物。その為にもトレーニングしておかないとな!」


 零夜は目的地を決めたと同時に、すぐにランニングを開始する。ここで休んでいる暇はなく、更に強くなる為にもレベルアップは欠かせない。まさに努力の塊その物だ。


「待ってよ、零夜!」

「あいつ、行動力早いな……」

「けど、それが唯一の取り柄かも知れませんね」

「プロレス馬鹿なのはたまにキズだけど……」


 エヴァ達も後を追いかけながら走り始め、杏は零夜の行動に唖然としてしまう。ジェニーとキララも苦笑いしつつも、零夜のランニングに付き合う事になった。


「やっぱり零夜はこうでないとな」

「そうだな。一時はどうなるかと思ったが、その心配は必要なかったな」

「オイラ達も出来る限りの事はしておかないとな」


 トラマツ、ノースマン、サンペイはこの光景を見ていて、零夜の悩みが解決した事に微笑んでいた。そのまま彼等は零夜達のランニングしている姿を見ながら、彼等のこれからの物語に期待していたのだった。



 一方、ライカは風子が提供しているマンションに住む事になり、彼女はここで自身の仲間を探していた。すると、この地球に一気に五人の仲間がいる事が明らかになったのだ。


「見つかったか!なら、動くなら今しかないな!」


 ライカは笑みを浮かべながら決意した直後、風子に相談しようと部屋から飛び出したのだった。

第四章が終了し、次回から新章突入です!


感想、評価、ブックマークを貰えると励みになります!宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
時々、人間迷うものですよね。致し方ないかと思いますが、とりあえず行動あるのみですね。今回もとても面白かったです。
戦いが終わりヒーローアイランドにいた零夜達。 第四章お疲れ様でした!! 新章期待です!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ