表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/277

第125話 零夜の不安

今回は零夜の隠された真実です。

 その日の夕方、零夜はベンチに座っていて、バングルのウインドウで動画を見ていた。それは初代ヒーローズエイトの一人である犬塚信乃の活躍で、彼の勇ましき姿に驚きを隠せずにいた。


(犬塚信乃……伝承で確認していたが、本当に実在していたとは驚いたな……)


 零夜は信乃の活躍を見ながら興味津々に見た後、ウインドウの画面を切り替え始める。すると、初代ヒーローズエイトのメンバーのデータが掲載されているサイトページが載っていて、彼は迷わずそのサイトをクリックして確認し始める。


「なるほど……初代ヒーローズエイトのメンバーは八犬士なのか……そうだとは思ったけど……」

 

 初代ヒーローズエイトのメンバーの画像がウインドウに映され、その内容に零夜は苦笑いしてしまう。それもその筈、初代ヒーローズエイトのメンバーは八犬士達で構成されているのだ。

 メンバーは犬塚信乃、犬川荘助、犬飼現八、犬田小文吾、犬江親兵衛、犬坂毛野、犬山道節、犬村大角と言った八犬士で、かなりの実力を持っている。零夜達とは天地の差で、月とスッポンの実力と言えるだろう。


(あの方達は多くの戦いを乗り越えたからこそ、今がある……それに比べて俺は……)


 零夜は自身の実力の無さにため息をついたその時、通りかかっていたアミリスが姿を現す。彼の様子を見た彼女は心配そうな表情をしていて、何も言わずに隣に座った。


「アミリス……見ていたのか?」

「うん。零夜、本当は無理していたんだよね?」


 アミリスが気になった事を零夜に質問し、彼は俯きながらもコクリと頷く。

 人間には強さもあるが、弱い部分もある。いくら勇気があって立ち向かおうとしても、不安な事があるのも無理はないだろう。

 その後ろではミミ達がこっそりと聞いていて、心配そうな表情をしていた。零夜が不安な表情をしていたのが気になっていた以上、黙っている訳にはいかないのだ。


「ああ……俺はそんなに強くなんかない!プロレスラーになる為に努力をしていたのに、全ての世界の命運を担う者になるとは思わなかった!」


 零夜は心の底から叫びながら、自身の弱さを暴露してしまう。

 零夜は本来ならプロレスラーになる筈だったが、夢で見た出来事によって運命は変わり果ててしまった。更に彼は仲間思いの性格である為、皆を失う事に危機感を抱いている。

 

「俺が本当に選ばれし戦士なんかで良かったのか……今でも疑問に思っているんだ……」


 零夜は身体を震わせながら弱気を見せてしまい、目に涙を浮かべていた。その様子を見たアミリスは彼の肩を優しく叩き、ニッコリと笑顔を見せる。


「そんな事ないわ。零夜はいつも皆の為に行動しているし、今回の件だって自ら率先して決意した。私はそれがとても嬉しかったわ」


 アミリスは零夜に対して嬉しさ満開の笑顔を見せたと同時に、彼の手を優しく握る。その手の温もりはとても温かく、相手にまで伝わる程の優しさが込められていた。


「あなたは私達のリーダーとして相応しいし、不安になってしまうと皆も不安になる。だから弱気を見せないで、皆を引っ張って欲しい。それが私達からの願いよ」

「アミリス……ん?私達?」


 アミリスの笑顔に零夜が笑みを浮かべそうになるが、突然の発言に疑問に思ってしまう。すると木の陰からミミ達がひょっこりと姿を現し、バレてしまったと苦笑いをしていたのだ。


「今の話……聞いていたのですか!?」


 零夜は倫子達の姿に驚きを隠せず、彼女達は苦笑いしながら彼に近付き始める。こっそりと隠れていたのがバレた以上、白状せざるを得ないだろう。


「うん。零夜にこの様な一面があるとは驚いたからね。ミミちゃんから話は聞いたから」

「そうでしたか……」


 倫子は苦笑いしながら一部始終を説明し、零夜が苦笑いの表情をしてしまう。するとミミが真剣な表情で彼に近付き、視線を合わせながらじっと見つめ始める。


「零夜は皆の為に戦うのはいいけど、無茶はし過ぎよ!」

「あだっ!」


 ミミはジト目で零夜の額にデコピンし、彼はその衝撃で仰向けに倒れてしまう。

 デコピンは人によって威力が違うが、ミミの場合だと人をあっという間にダウンさせる威力を持っている。更に強めにやれば人をぶっ飛ばせるどころか、死なせてしまう威力にまで発展してしまうだろう。

 零夜はおでこを抑えながら起き上がったその時、ミミが彼を優しくムギュッと抱き締めてきた。突然の展開に零夜は驚きを隠せずにいるが、ミミはそんな事を気にせずによしよしと彼の頭を撫でる。


「その為にも私達がいるじゃない。ピンチの時こそ仲間が必要よ!」

「ミミ姉……」


 ミミからの励ましを受けた零夜が真顔で呟いたその時、倫子とヒカリも彼にムギュッと抱き着いてきた。彼女達の温もりを感じ取ったのはいい事だが、周りから見れば羨ましさを感じてしまうのも無理ないだろう。


「私も零夜君がいるからこそ、ここまで来れた。私達も支える覚悟だから」

「ベルセルクやどんな敵が来ても、私達ならやれるわ!」


 倫子とヒカリも、零夜に感謝しながら笑みを浮かべていた。彼が傍にいてくれなかったら、今の彼女達はここにいなかったのだろう。

 更にエヴァ、ソニア、ルリカもお互い頷き合い、零夜達に次々と抱き着いてくる。それ程彼を信頼しているという証である以上、この行為をしてきたのだ。


「私も故郷の皆の仇を取る事が出来たし、あなたの事を好きになれたの」

「こんなに大切な仲間は二度と無いからな」

「私も皆さんと出会えた事に感謝しています!」

「零夜様がいるからこそ、今の私がいます!」

「勿論私達もよ!」


 エヴァ達だけでなく、キララ達も感謝の言葉を零夜に伝えていた。それを聞いた零夜は口元を吊り上げ、すぐに立ち上がったと同時に前を向く。その様子だと吹っ切れたみたいだ。


「ありがとな。今は二つの強敵がいるが、俺達のやるべき事は一つだ」

「アークスレイヤーを壊滅させるのが、私達。しっかり果たさないと!」


 零夜の宣言に美津代が代表して応え、それにマリー達も真剣な表情で頷く。一致団結の彼等だからこそ、その団結力はどのチームよりも遥かに高いと言えるだろう。

 

「その通りだ!ベルセルクとアルバータドラゴンを必ず倒し、ヒューラーの野望を終わらせるぞ!」

「「「おう!!」」」


 零夜の宣言にミミ達は拳を上げて応え、この様子をトラマツとノースマン、サンペイはこっそりと見ていた。


「零夜……お前は一人じゃない。こんなにも仲間がいるからこそ、今のお前がいるんだ」

「勿論俺達もだ。さて、そろそろ彼奴等の元に向かわないとな」

「そうだな」


 トラマツ、ノースマン、サンペイも零夜達の元に向かおうとしたその時、ジェニーが気になって零夜の元に近付く。


「けど、私達が戦うのはどちらなのでしょうか?アルバータドラゴンとベルセルクの二匹となっていますが……」


 ジェニーの気になる質問に、マリー達も真剣な表情でどちらにするか悩み始める。風子達の方も同様に悩んでいるので、ここは先手で決めた方が得策だろう。


「それならもう決めてある。俺達は奴を倒しに向かうのみだ」

「その相手とは?」


 零夜が笑みを浮かべながら既に戦う敵を決めていて、コーネリアが疑問に感じながら首を傾げる。


「ベルセルクだ。奴はアルバータドラゴンよりも強敵だし、エムールさんとの因縁が強いのなら倒さなければならないからな!」

「確かに話を聞いた以上は、奴に立ち向かうしかないわね」


 零夜はベルセルクを倒す事を決断し、それにマリー達も頷きながら同意する。エムールからの話を聞いた以上は放っておけず、自分達の手でベルセルクを倒す事を前から決意していたのだ。


「後はブッキングされるかどうかね。この事については明日相談しないと」

「そうそう。取り敢えずは明日に向けてゆっくり休むとするか!」


 マーリンと杏の提案に全員が頷き、彼等は用意された部屋へと戻り始めた。今日の疲れを癒すだけでなく、ベルセルクを倒す技を手に入れる為にも……

零夜は立ち直って新たなスタートを切りました!


感想、評価、ブックマークを貰えると励みになります!宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
では、いよいよふんどし踊りですね。とても楽しみです。すいません、冗談です。ベルセルク戦、普通に楽しみにしています。
[一言] よし! 零夜がたちなおれましたしここからですね!期待です!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ