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第114話 襲撃の盗賊団

今回から新たな冒険がスタートです!

 零夜達はグラディアスにある通り道に転移し、辺りを見回した直後にどうするか考え始めた。


「さて、目的地についてはエルフの森だが、アミリスは道を知っているのか?」

「ええ。私が案内するから!」


 アミリスが皆を連れて先に進もうとしたその時、ある事を思い出して立ち止まってしまう。


「どうした?」

「何か忘れ物でもしたの?」


 アミリスが立ち止まったのを見て、零夜達は気になる表情で彼女に視線を移していた。何かあったに違いない。


「弓矢の弦を確認するのを忘れていた……ちょっと弦は変え時かな……」

「「「ららーっ!」」」


 アミリスが苦笑いしながら説明し、それに零夜達は盛大にズッコケてしまう。彼女は天才かと思ったが、たまにドジをしてしまう一面もあったのだ。

 人間誰も忘れてしまう事もあるので仕方がないが、任務の最中にこんな展開になるのは想定外である。


「だったら事前に準備してよ……」

「弓矢の弦を扱うお店も近くに無いし、どうするの?」

「しょうがない。奥の手を使いますか」


 アミリスはため息をついた後、アイテムポーチの中に手を突っ込み始める。ゴソゴソとアイテムを探り始め、そこから一匹の蜘蛛を取り出した。


「「「きゃあああああ!!」」」


 蜘蛛を見たヒカリ、倫子、ミミ、美津代、日和、夢子、アナ、メイリーは思わずバタバタと逃げて茂みの中に隠れてしまう。

 それを見た零夜は苦笑いをしてしまい、風子達は疑問に感じながら首を傾げてしまう。


「?なんで逃げたの?」

「あー……五人共虫が苦手だから……」

「夢子も虫嫌いだからな……」

「あの二人、虫は駄目なのよね……」


 アミリスはキョトンとしながら疑問に感じるが、零夜、風子、キララの説明に納得の表情をしていた。その様な事は知らずに蜘蛛を取り出せば、罪悪感を感じるのも無理はない。

 

「驚かせてごめんね。この蜘蛛は毒は無いし、無害だから」

「けど、蜘蛛は嫌や!ウチ等は虫が苦手やから!」


 アミリスの説明に倫子はガタガタ震えながら反論し、ヒカリ達もブンブンと頭を頷きながら同意する。過去に何かあったに違いないが、虫が苦手なのは確実だ。


「無理もないよね……で、その蜘蛛を使ってどうするの?」


 トラマツは倫子達の様子に呆れた後、アミリスの方に視線を移しながら質問する。弓矢の弦を作るのに、蜘蛛をどう使うのか気になるのも無理はない。


「今からやるから見ててね」


 アミリスはウインクしながら答えた後、弓の弦作りの作業を開始する。

 まずは蜘蛛の背中を押して糸を出し、ある程度出したら蜘蛛をポーチの中に入れた。


「もう蜘蛛はいなくなったわ!」

「ふう……助かった……」


 アミリスの合図と同時に、倫子達は茂みの中から一斉に出てきた。そのまま彼女の元に駆け寄り、蜘蛛がいない事に安堵する。

 アミリスはそのまま蜘蛛の糸を引っ張って強度を確認し、輪っかを作る様にグルグルと巻き始める。こうして蜘蛛の糸の弦が完成し、そのままアイテムポーチの中に入れた。


「なるほど。こんなやり方もあるのね」


 作業の様子を見たミミが納得しながら微笑む中、向こうから馬車が見えた。それを見た夢子は千里眼を使い、行き先と情報などを確認し始める。

 夢子は風子に仕えるメイドだが、文武両道の最強メイドと言われている。名門大学である東京大学卒業は勿論、英検一級や情報処理などの多くの資格を持っている。更には通訳や解読も担当しているのだ。


「分かりました!行き先はエルフの森の近くであるカルスト村です。しかも馬車は多くの人を乗せる事が出来ます!」

「よくやったぞ、夢子。では、移動手段はあの馬車に乗る事にするが、後は多くが入れるかだな」


 風子は馬車に乗る事を考えるが、現在いる人数を確認する。人間などの種族は彼女を含めて二十六人。更にトラマツ、ノースマン、サンペイの三匹は馬車に乗れるのか気になるところだ。


「俺は馬車がなくても大丈夫だ。スピードが速いし、スタミナもあるからな」

「オイラも同じだよ」

「じゃあ、僕はノースマンの背中に乗るか」


 ノースマンとトラマツは自分の力で歩く事になり、トラマツはノースマンの背中に乗って移動する事を決断する。

 零夜達は馬車に乗って移動する事を選択し、空いている席を確認して次々と馬車に乗り込む。因みに馬車の収容人数は四十人の為、彼等は全員乗る事ができた。


「まさか馬車で移動するなんてね。でも、この馬車はとても大きいし、席も多くあるなんて驚いたわ」 

「まるでバスみたいね」


 ヒカリと倫子の話を聞いたエヴァ達異世界組は、数日前の事を思い出す。

 渋谷の街を歩いていた頃、バスと言う乗り物を初めて見ていた。それはとても大きくて、馬の力を借りなくても自動で動いていた。当初は驚きを隠せずにいたが、改めて見ると便利な物だなと実感しているのだ。


「バスか……見たのは覚えているけど、一度乗ってみるのもありかもね」

「そうね。けど、一先ずはカルスト村。そこはエルフの森に繋がる村として知られているの。アルバータドラゴンの襲撃が来る前に急がないと!」


 アミリスの決意に零夜達も一斉に頷く中、馬車に何者かが近付いてくる。よく見るとアークスレイヤーの兵士達だ。


「あれはアークスレイヤー!」

「まさかここまで追ってくるとはね……警戒しておかないと!」


 エヴァの合図と同時に彼女達が身構える中、兵士の一人が零夜達の姿に気付き始める。


「あっ、こいつ等!ベクトル様とべムール様、更にはアビス様を殺した……」


 兵士の一人が叫ぼうとしたその時、空から一人の女性盗賊が姿を現す。彼女は紫色の髪をしていて、へそ出しの赤いアラビア服を着ていた。


「ちょっと待ちな!そいつはアタイの獲物だ!」

「何だ?グハッ!」


 女性盗賊は盗賊の剣を構えながら兵士達に襲い掛かり、一人を右斜一閃の斬撃で倒してしまう。


「こいつ等、襲撃してきたぞ!」

「こんな時に盗賊だなんてツイてないぜ!」

「あわわ!」


 残りの三人の兵士達は悪態をつきながらも、剣を引き抜いて女性盗賊との戦いに向かい出した。すると、彼女の仲間である五人の盗賊達が姿を現した為、乱戦の展開となってしまった。


「アークスレイヤーだけでなく、盗賊達まで来るなんて!」

「巻き込まれる前に急がないと!」


 倫子がすぐに馬車の運転席に向かおうとしたその時、女性盗賊が馬車の中に入ってきた。お客達は突然の侵入者に驚きを隠せずにいて、零夜達は戦闘態勢に入っていた。

 

「まさか入ってくるとは……その様子だと兵士達を倒し終えたという事か!」

「皆さん、逃げてください!」


 ソニアは冷や汗を流しながら女性盗賊に視線を移し、ジャンヌの合図で乗客達は一斉に馬車から降りまくる。そのまま彼等は森の中へと一目散に逃げてしまい、トラマツ、ノースマン、サンペイ、美津代は馬車の中に入っていく。


「乗客は全員逃げたな。すぐに戦闘態勢に入れ!」


 トラマツの合図で零夜達は武器を構え、警戒態勢を取りながらタイミングを合わせようとしていた。その様子を見た女性盗賊は武器を下ろし、冷静な表情で零夜達に視線を移す。


「アンタ等には用はないよ。私は金持ちを狙っているのでね」


 女性盗賊はすぐに馬車の中を確認しようとしたその時、アークスレイヤーの増援が次々と駆け付けてきた。しかもその人数は五十人ぐらいで、倒せるのも一苦労だ。


「ライカ、追っ手が来るぞ!」

「チッ!」


 ライカと呼ばれた女性盗賊は急いで馬車から降りた後、すぐに兵士達との戦いへ向かい出す。多勢に無勢としか言えないこの戦いだが、どれだけ耐え切るかがカギとなるだろう。


「今の内に!」


 その様子を見た倫子は馬車の運転席に移動し、鞭を構えながら馬に振るい始める。同時に馬は叫び声を上げて全速力で駆け出し、馬車がいきなり揺れた事で零夜達はバランスを崩れそうになる。


「早く座って!揺れるわ!」

「分かった!」


 マリーの合図で零夜達は武器を収め、一斉にそれぞれの席に座り始める。そのまま馬車はあっという間に走り去り、残ったのはライカ率いる盗賊達とアークスレイヤーの兵士達だけとなった。


「彼奴等……!」


 ライカは悔しそうな表情をしながら走り去る馬車を睨みつけ、そのまま兵士達との戦いに身を投じたのだった。

盗賊団から逃げ切った零夜達。次はどんな冒険が待ち受けているのか?


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― 新着の感想 ―
アークスレイヤーのみなさんがやられた仲間をちゃんと思い出に残していて偉かったです。感心しました。気風の良さげな女性盗賊がどうするのか。今後もとても楽しみです。
[一言] 盗賊団から逃げれて良かったです! そして零夜たちはどうなる!? 続きも楽しみです(´꒳`*)
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