第１０５話 人食い植物の恐怖
今回は人食い植物との戦いです！
「グオオオオオ！」
「うえっ!?人喰い植物!?」
「どうしてこの場所に咲いているの!?」
人喰い植物の叫びにルリカとキララが驚きの表情でびっくりする中、ジャンヌはすぐに花壇の秘密を察する。普通なら季節ごとに咲く花が違うのに、ここの花壇は季節問わず同じ花が咲いている。どう見ても違和感があるとしか思えない。
「分かりました！どうやらここの花壇……人喰い植物が住んでいる為、一年中同じ花が咲いています！」
「じゃあ、あの人喰い植物がいるからこそ、ここの花はいつも同じだという事なの!?」
ミミが驚きの表情でジャンヌに質問し、彼女は真剣な表情でコクリと頷く。一年中同じ花が咲いているのは人喰い植物がいるからであり、その為ここの花壇にある花は一年中枯れないまま。まさに共存共栄というべきだろう。
「はい！その通りです！しかし、あの花を見るととても厄介な気がしますね……」
ジャンヌが冷や汗を流しながら人喰い植物に視線を移した途端、茨の鞭が彼女達に襲い掛かってきた。
「グオオオオオ！」
「はっ！」
「ひっ！」
ジャンヌ達はすぐに茨の鞭を回避したと同時に、人喰い植物に狙いを定めて戦闘態勢に入る。それと同時に彼女達はそれぞれの武器を構え、人喰い植物の動向を伺いながら倒しに向かおうとしているのだ。
「人食い植物は私達で倒します！しかし、他にも仕掛けがあるので油断はできません！」
「分かった！それにしても、厄介なモンスターを仕込んでいたとは想定外だな……」
ジャンヌからの指示に零夜が頷く中、人喰い植物が仕込まれていた事に冷や汗をかいていた。
普通の花壇と思っていたが、まさかの人喰い植物が住んでいる事は知らなかったのだろう。この事に関してはアビスが一枚上回っているのだ。
「悪いがこいつは強暴なのでね。君達がどれだけ抵抗しようとも、こいつは倒せないのだよ！」
アビスが余裕の笑みで零夜達に宣言する中、彼はニヤリと余裕の笑みをしていた。
「甘く見るなよ。俺の仲間達はそう簡単に倒れない……それに……植物は何が苦手なのか知っているかい？」
「苦手……ま、まさか!?」
零夜からの反論と質問にアビスが考えた直後、彼は冷や汗を流しながら不穏を感じ取ってしまう。
すぐにアビスが人喰い植物の方をよく見ると、ミミ達は既に炎の武器を用意していて、そのまま攻撃を仕掛けていた。
ミミは炎を纏わせているフレイムリング、倫子は炎属性のフレイムガントレット、ジャンヌは炎の槍と言われるファイヤーランスに変えていて、次々と炎のダメージを与えていた。
「ギャオオオオオ！」
炎のダメージを喰らってしまった人喰い植物は、身体を燃やされながら苦しみ始める。すると、花壇の花も少しずつ萎れ始めてきたのだ。
「やっぱり！人喰い植物にダメージを与えると花壇の花も萎れていくのね！」
「しかも、火に弱いなら好都合！このまま行けば勝てるよ！」
キララとルリカが勝利を確信して攻撃を仕掛けようとしたその時、日和が真剣な表情をしながら危機感を感じ取る。
「いや、まだよ！」
「「？」」
日和の叫びにキララとルリカが疑問に感じたその時、地面から次々と人喰い植物が姿を現す。どうやら彼等は一匹ではなく、合計五匹この花壇に生息しているのだ。
「どうだ！こいつ等が一匹いると思ったら大間違いだ！一匹倒されてもまだ四匹残っているからな！」
「くっ……完全に図られたわね……」
アビスの余裕の説明にマリーは冷や汗を流しながら悔しい表情をするしかなかったが、零夜は冷静に落ち着いたと同時に、この状況を打破できる方法を探し始める。
（奴の弱點が炎なのは確認済だ。しかし、五匹いる為、それでは勝てない……何か方法があれば良いのだが……）
零夜が冷静に考えるが何も思いつかず困り果てようとしていたその時、人喰い植物の一匹が彼に対して茨の鞭で襲い掛かってきた。
「チッ！」
零夜は茨の鞭を跳躍しながら回避した直後、すかさず三本の苦無を構えて人喰い植物に狙いを定める。それと同時に苦無に炎が宿り始め、彼はまるで獲物を狙うかの様に真剣な表情をする。
「はっ！」
炎の苦無が人喰い植物に向けて投げ飛ばされるが、彼は口を大きく開いて苦無を飲んでしまう。この瞬間を見た零夜はニヤリと笑っていた。どうやら策略があるに違いない。
「引っかかったな。この苦無は炎だけでなく、爆弾も仕込んでいるのでね！」
零夜が宣言したその時、人喰い植物の口の中にある苦無が光り輝き、彼の体から光が飛び出す。
次の瞬間、苦無が爆発したと同時に人喰い植物は爆発に巻き込まれてしまう。効果抜群の為、人喰い植物の一匹は完全に消滅してしまい、周りの植物はそのまま枯れてしまったのだ。
「馬鹿な！人喰い植物の一匹を倒しただと!?」
予想外の展開にアビスが冷や汗を流しながら驚きを隠せず、零夜は地面に着地して手を叩く。
「人喰い植物は炎と風、爆発には弱い！だからこそ、爆発苦無を使わせてもらったのさ」
零夜は苦無をアビスに見せながら説明し、その表情は笑みを浮かべていた。この様子にアビスがワナワナと震えてしまうのも無理ない。
「そう言う事ね。よし！私も！」
日和は自身が装着しているウィザードガントレットから爆弾を召喚させ、そのまま人食い植物に向かって次々と投げまくる。
「そーれ！」
爆弾は次々と人食い植物に命中しまくり、彼等は爆発のダメージで口をあんぐりと開いてしまう。その隙を見逃さない日和は、人食い植物の口の中に次々と爆弾を入れていく。そのまま彼等は爆発で消滅し、花はあっという間に枯れてしまったのだ。
「これで人食い植物は全滅！残るはアビス！あなただけよ！」
日和がアビスに対して宣言した直後、彼は突然ワナワナと怒りに震え始める。すると、彼の背中からオーラが噴出し、そのまま自身を包み込み始める。
「このパターン……ベムールと同じく禁忌の姿に変化するぞ！」
零夜はアビスの行動に危機感を感じる中、彼の姿は新たな姿に変わってしまった。その姿は全身に緑の鎧を纏っているが、見た目や中身は変わってなかった。
「この姿こそ禁忌の姿だ。私を怒らせたその報いを晴らさせてもらう！」
「チッ！」
アビスはフェンシングソードを構えながらマリーに襲い掛かるが、彼女は盾を構えて攻撃を受け流していた。
しかし、覚醒したアビスの剣の腕前は、前より一段と上昇。マリーは苦戦を強いられてしまい、ダメージを次々と受けてしまう。
「このままだとマリーさんが！」
「何れにしてもまずいかも……」
「早く助けに行かないと！」
ジャンヌ達は援護しようと立ち向かうが、零夜は前に出て彼女達の行動を制していたのだ。
「零夜、どういう事？」
「マリーはここで終わる人じゃない。彼女の目を見てくれ」
「「「！」」」
零夜はマリーの方を指差すと、彼女の目はまだ諦めていなかった。自らアビスを倒したい気持ち、ロベリアを混乱させた怒り、家族を死なせた怒りの三つが込められているのだ。
その為、彼女は最後まで諦めない気持ちがとても強く、倒れても何度でも立ち上がる根性があるのだ。
「マリーさん……最後まで諦めない気持ちがあるのね……」
「なら、私達は見守りましょう！マリーさんが勝つ事を信じながら！」
ミミ達もマリーの覚悟を感じ取り、ジャンヌの合図で彼女の戦いを見守ることを決断。それに零夜も納得した直後、マリーはアビスから間合いを取りながら身構えていた。
「ある程度ダメージは受けたけど、まだまだこれから！あなたを倒すまでは諦めないから！」
マリーは力強く宣言したと同時に、再びアビスに立ち向かう。同時に彼との戦いも、決着が着かれようとしていたのだった。
第三章も残り３話！戦いの結末をお楽しみに！
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