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自己肯定感底辺伯爵令嬢と婚約破棄

掲載日:2024/04/15

アラン様から婚約破棄されてしまいました……


何が原因だったのでしょう。

以前作った料理が美味しくなかったのでしょうか……確かに今考えれば白いシチューになる予定の物が紫になった時点で、あげるべきではなかったのかも知れません。でも使用人達は口の端からよだれを垂らし、白目をむくほど喜んで食べてくださいましたし、アラン様も「天にも昇りそうな味だった」と全て完食してくださいました。……でももしかしてあれは無理をされていたんでしょうか。


そういえばアラン様が明確に嫌がった事がありましたね。確かあのときはアラン様が剣術の稽古を騎士の方につけてもらっていた時でしたわ。アラン様が怪我をしてしまって私は心配のあまり飛び出して、はいていたスカートを引きちぎって包帯代わりにしたのですけど……アラン様は顔を真っ赤にして「そんなことしちゃだめだよ!パ、パン……」と言っておられましたわ。今思い返せば、私のスカートなんかで手当をしてもらいたくなかったのかも知れません……


いけません、思い当たるところが多すぎてどれが原因かわかりませんわ。

おや、あそこにいるのは侍女頭のレーヌですわね。レーヌなら私が婚約破棄された理由を何か知っているかも知れませんね。


「レーヌ、お仕事中申し訳ないのだけど、私の相談に乗ってもらうことは出来ますか?」

「もちろんです、ルフランお嬢様。どうなされたのですか?」

「それがね、私、婚約破棄をされたのだけど、悪いところがありすぎて原因がいまいち分からないの」

「……すみません、今なんと?」

「私、昨日の晩にアラン様から婚約破棄されてしまったのよ」

「……ええぇぇぇぇぇ!!!!」


レーヌって大きな声出せたのですね。てっきり感情の起伏をコントロールされたゴーレムに近しい存在なのだと思っていました。

レーヌは「あのルフランお嬢様大好き人間のアラン様が……あり得ない……」などとブツブツつぶやいています。レーヌは本当に優しいですね。私が傷つかないように、こんなリアクションをしてくれているのでしょう。私は従者に恵まれて本当に幸せですね。


「ルフランお嬢様……その、このような事を聞くのは差し出がましいかも知れませんが、どのように婚約破棄をされたのでしょうか」

「昨晩アラン様のルドルフ男爵領にお邪魔させていただいた際、アラン様のお部屋に二人っきりになるタイミングが合ったのですけど……」

「アラン様はなんとおっしゃったのですか?」

「私の方に向き直って『このままだと理性を抑えるので頭がおかしくなりそうなんだ。だから僕からなるべく離れてほしい』と言われました」

「……それは婚約破棄ではないですね。驚いて損いたしました」

「し、しかし、直接婚約破棄とは言われておりませんが、なるべく離れるとはつまりそういう意味なのでは……」

「はぁ……そこまでご心配なのでしたら、直接ご本人に確認されてはいかがですか?」









「それで僕に大切な話って何かな?」

「そ、その、アラン様……」


いけません。しっかりと台詞を考えて練習してきたのに緊張してうまく言えません。アラン様はどもる私を見て何も言わず待ってくださっています。ただでさえ嫌われているのですから、こんな情けないところは見せないようにしないと。


「その、私に至らない点がたくさんあり、アラン様の気分を害してしまって申し訳ありません。もしよろしくれば婚約破棄をされる理由を教えていただきたいと同時に、直せる事柄であれば直しますので、そのときは婚約を続けたいです!!」


私の発言にアラン様は黙ってしまいました。

……やはり婚約を続けたいというのはできない相談なのでしょう。欠点だらけの私ではアラン様の隣にいるのはいけないことなのでしょう。でも、それでも一緒にいたいと思うのは許されないことなのでしょうか……


「……ごめん。心当たりがなさ過ぎて、驚きのあまり声帯が一瞬機能しなくなっちゃった。そうだね、なにから突っ込もうか。……とりあえず僕いつ婚約破棄したのかな?」


え!?レーヌの言うことは正しかったのですか!?私を励ますための優しい嘘だと思っていたのに……

で、でも!


「で、ではおととい私に『なるべく離れてほしい』とおっしゃったのは何故ですか!?」


アラン様は先ほどから私の発言を聞いて、ポカンと普段は見せない気の抜けたような表情をされています。……私、そんなに的外れなおかしい発言してますか?してませんよね?


「……なるほど。僕の言い方が悪かったようだ。あんまり詳しく言うとルフランが困惑してしまうかも知れないと思っていたのだが、そんな勘違いされてはたまったもんじゃないな……」


……勘違い?


「いいかいルフラン?よく聞いてね。……僕は君の事が大好きなんだ!愛してるんだ!僕のために色々頑張ってくれる君も、失敗して落ち込んでもまた頑張ろうとする君も、従者の者に対しても丁寧に接する君も、全て好きなんだ!」


……な、なあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

何を言っているんですか!?アラン様!言っていいことと悪いことがあります!そんなこと言われてしまうと私、ニマニマが止まりませんわ!?どうしましょう!!アラン様の前で変な顔などさらしたくありませんのに、顔が言うことを聞きません!幸せすぎて、体と心が宙に浮かんでいってしまいそうです!


「だからね、君と二人っきりの空間にいると、君と触れあいたくなってしまってたまらないんだ。自制が効かなくなりそうだったんだ」


ふ、触れあう!?そんなことを考えてらしたのね!?婚約破棄じゃなくて良かったですけど、心臓の負担が良くないです!ドクドク、バクバク、全身が心臓になってしまったみたいです!ど、どうしましょう!!


「そ、その!私もふ、触れあいたいと思っています。で、でも!ま、まずは手を繋ぐところからよろしくお願いします……」


私は赤くなった右手をおずおずと前に出す。アラン様はその私の右手を両手でギュッと包み込んでくれました。私の手の温かさと、アラン様の手の温かさが溶け合って一つになって、なんだか安心するような緊張するような感じです。離したくないです。


「愛してるよ、ルフラン」


アラン様が囁いてくれます。幸せが積み重なりすぎると不安です。私は欠点の多い人間ですから、欠点のないアラン様からいつ嫌われてもおかしくありません。でも、幸せな今を離したくありません。もしかしたら私は欲張りになってしまったのかも知れませんね。


「私も愛してます、アラン様」


ずっとこんな幸せが続きますように。

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