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ベルデの底力  作者: 四季


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1/3


 ある夏の日。

 久々に第二待機所を訪ねたナスカにはある目的があった。


「お久しぶりです、ベルデさん。お元気そうで何よりです」

「ありがとうございます」


 受付で出会うもう百回以上繰り返し見たであろう顔――しかし、その顔を見ることすら、ナスカにとっては久々のことだ。


「用件は伺っております。ご案内しましょう」


 ベルデは定位置である席から立ち上がる。


「受付は?」

「他の者に任せておくことになっています、今は平時ですしそれで問題ありません」


 彼はカウンターをぐるりと回ってナスカの前まで歩いてくると、軽く一礼し「あの頃のような物騒な訪問客はもうありませんから」と乾いた笑みをそっと吐き出した。


 ナスカが今日ここへ来たのは、ベルデの部屋に保存されていると聞くエアハルトに関するデータを見せてもらうためだ。


 ベルデは昔からエアハルトがとんでもなく好きだった、そして彼に関するデータを大量に所有している――その情報を得て、ナスカは、思いきって見せてほしいと頼んでみた。


 ベルデはそれを快諾、そして今に至っている。


「懐かしいです。ずっと前ですけど、思えば、ここに初めて来た日もこんな夏の日でした」

「そうですね」

「あの日も、途中でエアハルトさんが出ていってしまって、それでベルデさんと二人になってしまったのですよね」

「はい」


 廊下を歩いている時、ナスカは何度か話を振ってみた。しかしベルデは短く返すのみ。無視はしないのだが、ノリノリで話に乗ってくることもない。ただ、それがまた彼らしくて、ナスカは懐かしさに笑ってしまいそうだった。


 そのうちに到着。


 無機質な扉を押し開ければ、そこには二段ベッドを連想させるような銀の棒で組み立てられたようなベッドがいくつも並んでいた。


「あれ? ここって、複数人用の部屋ですよね」

「こちらです」

「ベルデさんって……複数人用の部屋を使っていらっしゃったのですか?」

「そうですね。自分はここでは寝ないのでこれで十分です」

「そうなのですか?」

「受付で寝ます」

「ええっ……」

「その方がすぐ仕事に戻れて効率的です」

「そうなんですね……」


 ベッドは二列で奥に向かって三つ並んでいる。真っ直ぐ進んで右手側、入り口から数えると二番目のベッドが彼のものであった。他のベッドの周囲には上着やらちょっとしたアイテムやらが置かれているのだが、ベルデのベッドに関しては物は多いものの綺麗に整えられていた。また、横になる部分であろう部分にも、厚みのあるファイルやら何やらが並べられていて、棚のように使われている。


「ここにすべて置いています」

「うわあ……!」


 物凄くたくさんの物が置かれていて圧倒されるナスカ。


「これ全部エアハルトさん関連ですか?」

「そうですね、九割ほど」

「えええ……嘘みたい……、その、よければ簡単に説明していただいても? 大丈夫でしょうか?」


 言えば、ベルデはそっと頷いた。


 そして彼は説明を開始する。

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