なんかいろいろヤバイ
「なぁ、おいマジここ何処だよ」
俺、宮羅儀川 波人宮羅儀川波人は虚空に向かって
話しかける。
別に俺は迷子になった訳ではない。
ただ、寝て起きたら知らない場所に
いただけだ。
「お目覚めのようですね。」
後ろから声が聞こえる。優しそうな声だったからちょっと安心。でも、ここが何処か分からない以上結局安心はできない。
ていうか、コイツが誘拐犯の可能性もある。お、俺をさらって、何をする気だ!
「お目覚めのようですね、じゃねーよ!マジここ何処だよ、俺さっさと帰って、ライトノベルの続き読みたいんだけど!!」
「残念ながらそれはもうできません。」
「はぁ?まさかお前、俺に異世界救ってくださいとか、そんなこと言うんじゃねーだろうな!そんなもん、ライトノベルだけで充分だっての!!」
「いえ、別に救ってください。という訳ではありません。というか、救ってあげました。」
「救ってもらった記憶なんてねーよ!!」
異世界ファンタジー始まるのか!?と思っだがどうやら違うらしい
俺は内心、少し残念な気持ちになりつつ少し疑問に思ったことを言ってみた。
「お前さ、さっき、俺が帰って、
ライトノベル読む。っていた時に 残念ながらそれはもうできません とか言わなかった?」
「はい、言いました。」
「何で出来ないか、聞いてみて良かったりする?」
「いいですけど、長くなりますよ?」
「あ、うん、大丈夫。ごめんね。気を使わせちゃって。」
そして彼女は俺をここに呼んだ経緯を壱から、いや、ゼロから、話し始め…
「あなたのいた、世界が滅んだからです。」
始めませんでした。ゼロからどころが、99から始めました。……って、
「滅んだー!?ち、地球は?」
「なくなりました。」
「日本は?」
「なくなりました。」
「俺の家は?ライトノベルは?」
彼女はニコッと笑って答えた。
「なくなりました。」
「ノオォォォー!!」
俺は崩れ落ちた。
「という訳です。私は何とか貴方を救い
ここまで運んできました。」
「マジか。」
愛しの地球は既に消えていた。
「でも、何で地球?」
「それは、私のいた世界の冥王が
地球からいずれ来る勇者を殺すためでしょう。」
「なんてこったー!地球は無くなるし、
勇者も死んじまったじゃ……」
俺はここでまたも閃いてしまった。
「もしかして、その勇者って俺?」
もしそれなら、コイツが俺だけを救った意味がわかる。俺が生き残ったことにより、冥王の策略は失敗に終わることになるのだから。もしかして俺、能力持ちなの?
異世界無双できる?
「ふっ……その通り。」
「ま、まさか」
俺がマジで無双できるのかと、喜んだ瞬間、
「そうあなたこそが冥王が恐れていた……
勇者ポリエンレンテレフタラートの夫!
宮羅儀川波人なのです!!
「おぉやったー!……って夫?」
「……」
「……ダメじゃね?勇者死んでね?」
「ガッツリ間違えました」
「……」
ああ、コイツ…………多分っていうか絶対そうだ。
俺は確信を持って言う
「お前アホだろ」
「アホじゃないです。」
「いや、アホだろ」
「あ、アホじゃない……わ、私は神ですから、女神ですから。」
「じゃあ、アホ神」
ということでコイツは今日から、アホ神です。
って言うか、あなた神だったのね。
「で、結局どうすんの?勇者死んじゃたけど?」
「勇者の力に頼らず冥王を倒すしか無さそうです。」
難易度が上がったのは間違いない。
だがそれでも彼女は魔王を倒す気のようだ
アホでも、神。何よりも世界の生き物を
大切にしているのだろう
彼女は持っていた杖を振りかざし、
「ワープ」と唱える。すると、彼女は
瞬く間に俺の視界から消えた。
ワープってすげぇー!!
マジでかっけー!!
と思っていたら、また、彼女が帰ってきた。
「あなたのことを忘れてました。」
やっぱ、コイツアホだな。
「でも、転移させるとしても、何処に?
魔王がいるお前の世界は危険なんだろー?
俺の妻?えー、勇者ポリエンレンテレフタラートだっけ?そいつならともかく、
普通の一般人なんでしょ、俺?
そんな危険な世界無理なんじゃねーの?」
「はい。その通りです。」
アホ神が告げる。
「だから、あなたが転移する世界は、
私の姉が治めている、とても平和な
世界なんです。住んでいる生物も、
比較的大人しい生物ばかりです。」
「なんだ、そうなのか。」
俺は安心して、息をついた。それなら、
安心だ。このアホ神の姉だから、
心配はあるが、まぁ大丈夫だろう。
元々、異世界転生の無双ものが好きな
俺からすると、少し、残念ではあるが、
危険な世界で生きていくよりはマシだ。
「では、あなたを転移させますよ。
あー、あとこれは姉の世界の、共通のお金です。と言っても、このお金は私の世界から持ってきたものですが、姉の世界のお金と同じ物を私の世界も使っているのでいいでしょう。」
「おーマジか。」
俺は、アホ神から、金貨10枚を受け取った。
「通貨には、鉄貨(十円くらい)銅貨(百円くらい)銀貨(千円くらい)
紅貨(一万円くらい)金貨(十万くらい)の5種類があります。」
アホ神が、姉の世界の通貨と、
俺のいた世界の通貨と比べながら、
教えてくれた。
正直俺の知ってる、異世界の金貨の価値と
違うが、俺の知識はライトノベル知識だから、仕方ないか。
にしても、初期金額100万(金貨十枚)は
かなりでかい。異世界で生きていく難易度が少し下がった気がする。
「では、これから、貴方を転移させますね。」
俺の周りを魔法陣が囲む。
え?この魔法陣何処から出てきたの?
「あなたの旅に光の加護を!」
魔法陣が光り、フラッシュする。
その光が収まる頃にはもう、俺はそこにいなかった。
「フラッシュした……」
アホ神は首を傾げ、
「転移魔法、失敗しましたかね?」
アホな神はやっぱりアホだった。