凍結された想い(9)
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「大丈夫です、問題なく動きます、ありがとうございます」
イチローは作業台から降りながら周りを見渡し頭を下げた。
「もう少し遅かったら、全ての機能が停止してしまうところだったわよ、大変だったわね」
光子はもう一つの大きいサイズの作業台に載っている塊を見つめながらイチローにねぎらいの言葉をかけた。
「ジロウは・・、大丈夫何ですか・・」
「大丈夫・・とは言えないけど・・幸いこれだけの設備と私達がいるから必ず蘇生させるわ、エネルギーが枯渇しない様におんが定期的に充電してくれていたし・・どちら側からか解らないけど微かな反応もあるの・・」
「初期化せずに元に戻せるのでしょうか?」
「初期化すれば一から作り直す事になるからそうすれば・・それはジロウではなくなってしまうわね、だけどSerialnumber000000 おんを新たな素材で再構築した方法が解れば同じことが可能なはずよ」
「お願いします皆さん、ジロウを救ってやって下さい」
再度イチローは皆に頭を下げた。
「港に、ジミニーとアイルが皆を迎えに行ってる全員そろえば必ず良い方法が導き出せると思うわ、あなたも忙しくなるわよ」
頷く見知った老人たちの姿にイチローは安堵の表情を見せながらいつもの表情で答えた。
「任せてくれ何でも手伝うよ」
彼等は直ちに次の作業へと移っていった。
深海探査船でみんなと再会したジミニーはアイルと共に足早にシェルターに向かっていた・・。
「おじいちゃん、世界をこんなにも変えてしまったのは、やっぱりマザーの所為なのかな?」
サイドカーの側車に乗るジミニーの曽祖父だった信彦が答えた。
「すまない、私達の研究で人類がここまで追いつめられる事となった・・、マザーと同化したお前の父の母・・ルミは私の研究仲間だったエルベールの犠牲となった可哀想な娘なんだよ」
「エルベールって人も僕の曽祖父なんだよね?」
「Guardian研究に携わったり素材の開発をしたりしていた大勢の人々のまとめ役でもあったんだよ」
「なんでおん達みたいに仲良く出来なかったのかな」
「私達が未熟だったからだろう、Serialnumber000000が試作されたとき、私達は人類の科学技術を飛躍的に進歩させる新たな知的生命体と呼べるものをGuardianを生み出したと喜んでいたのだが・・」
「おばあちゃんの話しだとGuardianを無理矢理支配しようとして、逆に支配されてしまったって・・」
「そうさせてしまったのも我々が未熟だったからじゃよ・・」
「でも、ずっと未熟じゃないと思うよ人は色んな事を乗り越えてきたし、乗り越えていけると思うよ・・、おんの受け売りだけど・・」
「今回もそうありたいと思うが・・、人の持つ可能性をおんがSerialnumber000000 レイが答えるか・・」
「だから、この後、南極に行こうと思うんだ、みんなの持つ進歩の可能性をマザーに理解してもらう為に・・」
「我々は進歩を諦める事など出来ない・・、これこそが知的生命体の姿じゃからな・・」
ジロウの復活の為に、そして新たな旅立ちの為にジミニー、おん、アイル、イチロー、そして島の皆が再びその英知を結集して準備へと取り掛かっていった。
「凍結された想い」は今回までです、次回からは新章そして南極編となります。
更なるジミニー達の活躍にご期待ください。




