凍結された想い(8)
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「ジロウ、必ず元に戻してあげるからね」
サイドカーの側車に乗っている塊を見つめながら光子は、愛おしいそうに手を当てた。
「帰国したらツーリングに行くとあの娘は言ってたけど・・息子が使うことになっちゃったなんてね・・」
サイドカーのシートに手を当てると涙を拭いジミニー達の待つ食堂へと向かっていった。
「いただきます」
全員がそろうと島での食事と同じ様にジミニーが声掛けをし、皆めいめいの神に祈り夕食会が始まった。
「うまい!、島での料理以上じゃぞ」
「ジミニー、更にできるようになったな」
「ありがとう、美味しいわジミニー」
皆、ビーフシチューとライス&パンを美味しそうに味わっていった。
「お代わりもあるよ」
ジミニーも久しぶりのにぎやかな食事が只々嬉しかった。
「私達にも早く味合わせてよ」
アイルがおんと共にジミニーの後ろで肩に手をかけて待ち構えていた。
「じゃあ食べるよ」
ジミニーがビーフシチューを口に運ぶと二人は目を閉じジミニーの味覚と嗅覚との同調を始めた。
「これよ、これ」
「何この感覚・・、食事って・・」
おんは驚きの声を上げた。
「ね、生きてるってこの為なんだって思えるよね」
「・・・・・」
言葉を無くしているおんにアイルは更に話しかける。
「この感覚を理解できるGuardianは私達二人しかいないのよ、凄い事だと思わない」
頷きながらおんはジミニーに、
「早く次を食べてもらえませんか・・」
と催促をしてしまっていた。
その様子を見て笑い出すアイル・・、そして皆もにこやかに笑い出していた。
アイとの暮らしの中でアイルもまた昔とは少し変化をしていた。
楽しい食事会が終わりジミニーが食器を洗っていると光子が声を掛けてきた。
「ジミニー、少しいいかな?」
「え、もう少ししないと終わらないけど」
「ごめん、おん、アイル、二人で片付けをしておいてくれないかな?」
「わかりました」
「まかせて下さい」
「ジミニー、倉庫に行きましょうか?あなたに話してない話があるの、そして今後の事もね」
光子はジミニーにそう言うと倉庫の方へと向かっていった。
「ごめん、じゃあ行ってくるよ」
二人は顔を見合わせてからジミニーに手を振った。
「どこから話したらいいのかしら・・、私は実はあなたの本当のおばあちゃんだったの・・そのことは聞いているわね」
「うん、おんの記憶が戻る前からなんとなく・・」
「そして、あなたが一番なついていたおじいさん、それは私の父だったのよ」
「え、そうだったの?、実は住職さんが生きていないかもって言ってたから・・、おばあちゃんに聞きたいと思ってたんだ、今はおじいちゃんどうしてるの?」
「港の深海探査船で待ってるわ」
「良かった、すぐに迎えに行かなくちゃね」
「イチローを元に戻したら迎えに行きましょう、ジロウを元に戻すにはみんなの力が必要だから」
「そうだね、僕が先に迎えに行こうか?」
「そうね、少し考えさせて・・、そしてもう一つ話させてね、あなたの父とGuardian Serialnumber000666 マザーとの関係についても・・」
光子によって語られる父の話はジミニーにとって重い鎖となってしまう話だった・・。
次なる戦いに向かうジミニー達の活躍にご期待ください。




