全てを欲する者(9)
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この章はここまでとなります。
「皆さんの役に立ちたいのですが僕もおじいちゃん達やおばあちゃん達に勉強させられて得た知識ですし・・、学んだ知識以上の事は回答できません」
ジミニーが申し訳なさそうに皆に告げた。
「君を教育した方々はそれぞれの分野のエキスパートだったと思うよ、我々が手探りで回答を探している研究に正しい道標を与えてくれる内容だった」
ニコルは興奮した口調で周りを見渡した、周りのリーダー達も全員で頷いていた。
「ジミニー君が滞在する一日が我々にとっては貴重な一日になる事だろう、さあ、順番を決めようじゃないか」
「そこまで必死にならなくても・・」
「ジミニー君、まだ判って無い様だから説明するが・・我々の居るこのコロニーは四つのブロックに分かれていてそれぞれ10歳位~13歳位迄の基礎学習のブロック、13歳位~19歳位迄の分野別の学習ブロック、19歳位~30歳位迄の研修生ブロック、そしてここ20歳位~50歳迄の研究員ブロック、それぞれのブロックの人数は全てほぼ同じなんだよ、つまり役に立たないと判断された者から処分されて行くんだ、13歳位~の分野別学習ブロック、ここから皆個室が与えられる・・そして夕食後部屋に帰らされるのだが・・その時・・必ず各部屋カギが掛けられる、そしてポイントが標準値以下の者の内誰かが朝姿を見せず処分された事を知る事となる・・、そして我々も50歳までにプラント所属にならなければ処分が待っているんだ、分かるかい?我々が必死な訳が・・」
「そんな、成果やポイントが人の生き死にを左右しているのですね・・、逃げ出そうとは思わないのですか?」
「馬鹿な事を言うな!君のポイントが下がるぞ!、これでも多少のリスクを覚悟で君の為に説明しているんだ!」
ニコルは青ざめた表情でジミニーを叱った。
「すいません」
ジミニーは素直にニコルに謝った。
「一週間位、朝しか姿を見かけなかったけど・・今日は昼食に居るのね、見学どうだったの?」
アイが食堂で再び声を掛けてきた。
「ああ、みっちり時間を過ごしていたよ・・、今回もへとへとだよ」
「大変だったのね・・、何か成果はあったの?」
「いや、僕は学者に向いてないのかなとか思ってた・・じいちゃん達やばあちゃん達は楽しそうに教えてくれてたし僕も楽しかったんだけどね・・」
「ここでは楽しくなかったの?」
「ああ、なんでなんだろう・・」
「楽しく研究しないと成果は上がらないと思う?」
「うん、じいちゃん達やばあちゃん達みたいに夢中になって楽しまないと進まない様な気がするよ」
「そうか・・」
「それと、おんがそろそろ皆の所に戻ろうと言ってるんだ・・、これ以上は知識は流失しない方が良いし
僕の適性も随分解ってきたって・・」
「そうなの・・、貴方達なら何時でも出ていけそうだものね、本当にお別れなのね」
「ああ、おんが君に伝言が有るって、今度出会う時はお手柔らかにお願いしますねって」
「そう、私からも伝言伝えてくれる?」
「ああ、良いよ」
「私はジミニーの全てがほしくなっちゃた・・て」
真っ赤になるジミニーにアイはただ微笑んでいた。
ジミニー達の次章での活躍どうかご期待下さい。




