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魔物が溢れた原因の判明



「すっかり朝ね」

「そうだな。もう少し寝ていたかったが、冒険者にはこういう事もある。慣れておかないとな」

「そうなのね」

「……眠いのー」


 モニカさんが空を見上げながらソフィーさんと話してるけど、確かに魔物の襲撃に飛び起きたのが中途半端な時間だったなぁ。

 もう少し寝られれば寝不足にはならなかっただろうけど、今回は仕方ない。

 ソフィーさんの言う通り冒険者なら短い睡眠時間で行動する事もあるだろうから、俺も慣れておかないと。

 ……ユノはなぁ……見た目が子供だから仕方ないのかもしれないな。

 そういえばと思って、頭にくっ付いてるエルサを確認したら、案の定寝てた。

 安らかな寝息が頭の上から聞こえて来たよ。

 そこで寝てても良いけど、よだれを垂らしたりしないでくれよ?

 石の家に到着した俺達は、寛ぐ事も無くエヴァルトさんと一緒に初めてここに来た時と同じ会議室のような場所に入った。

 座り方も最初と同じで、俺とモニカさん、ソフィーさん、ユノが並んで、向かい合わせのようにエヴァルトさん、フィリーナ、アルネだ。


「まずは、リクさんにサマナースケルトンの事を教えましょう」

「お願いします」


 俺とモニカさん、ソフィーさんが頷く。

 ユノは、頷くような動きをしてるけど、眠くて頭を揺らしてるだけだった。

 まぁ、ユノは寝てても良いか。


「サマナースケルトンとは、その名の通り召喚する骸骨です。戦闘力は低いので対峙しても怖い魔物ではありません。ですがサマナースケルトンが厄介なのは、その特殊な能力にあります」

「特殊……魔物を召喚するんですか?」

「そうです。この世界のどこかにいる魔物を呼び寄せて戦わせるのです。召喚した魔物は一度だけサマナースケルトンの命令に従うのだと言われています」

「という事は、そのサマナースケルトンが魔物達に命令してこの集落を襲わせていたんですね」

「まだ確証はありませんが、恐らくそういう事かと思われます」


 成る程……だからヘルサルの街の時と違って、色んな種類の魔物がいて、それらが一斉に集落に襲い掛かって来てたのか。


「しかし、サマナースケルトンだけであの量の魔物達を呼び出せるとは思えないが……」


 俺の横に座ってるソフィーさんが声をあげる。

 確かに1匹や2匹の魔物であの数を呼び出す事は出来ないのかもしれないね。

 俺達がエルサで向かった草原から集落まで、魔物で列が出来るくらいだったからね。

 数百はいたと思うけど、それを数匹のサマナースケルトンで召喚は出来ないんじゃないかと思う。


「サマナースケルトンは稀に自分と同じサマナースケルトンを呼び出す事があるんです」

「そうなんですか?」

「はい。魔物に詳しい者の話だと、サマナースケルトンが召喚する魔物は無作為に選ばれるのだそうです。ただし、強すぎる魔物は呼び出せないみたいですが。」

「無作為の中に別のサマナースケルトンが混ざると?」

「そのようです。自分と同じ、魔物召喚をする事の出来るサマナースケルトンを呼び出す。そこからまたさらに魔物を増やして……」

「どんどん増えて行くと……」


 サマナースケルトンがサマナースケルトンを呼び、それがまた呼び出して……倍々ゲームのようになって行くね……。

 それであの魔物の量になったのか。


「じゃあ、サマナースケルトンを全て倒さないと魔物達が襲撃してくるのは終わらないという事ですか?」

「恐らくそうでしょう。まだサマナースケルトンと思われる魔物を見たという情報だけですので、確証はありませんが……本当にサマナースケルトンだった場合、元を叩かないと魔物は増え続けます」

「そうですか……サマナースケルトンを見たという情報が確かかどうか、ですね」


 サマナースケルトンが本当にいるのなら原因はわかる、だからその元を叩けばいい。

 魔物の量が多いから、すぐには解決できないかもしれないけどね。

 でも、それがただの見間違いで本当はサマナースケルトンでは無かった場合。

 魔物が大量に発生してる原因がまたわからなくなってしまう。

 魔物達を殲滅して一時的に魔物がいなくなっても、また湧いて出て来るんじゃないかという不安が付きまとう事になるかもしれない。

 原因を判明させるのは重要だね。


「本当に集落の者が見た魔物がサマナースケルトンか、その確認までもうしばらくかかるかもしれませんな」


 エヴァルトさんが眉をしかめながら言う。

 まぁ、原因がわかってるかどうかで対処の仕方が違うからね。

 単純に魔物を殲滅させる事を目的にしても、サマナースケルトンがいるなら優先的に倒して行かないといけないだろう。

 皆が黙ってしまい、このまま確認が取れるまで待つ事になるかと考えていた時、俺の頭で寝ていたエルサが起きたのか、モゾモとしてる。


「エルサ、起きたのか?」

「起きたのだわー。話はまとまったのだわ?」


 寝起きのエルサが、俺達を見回すような動きをしてる感覚が頭から伝わって来る。

 多分、俺達が話していない事でそう考えたんだろうけど。

 ちなみにユノはテーブルに突っ伏して完全に寝てしまった。


「いや、まだ終わってないよ。サマナースケルトンがいるかどうかでどう対処するか変わって来るからな」

「サマナースケルトンだわ? あぁ……あの骨なのだわ」

「知ってるのか?」

「知ってるも何も、さっき魔物達がうじゃうじゃいるから気持ち悪くて蹴飛ばしてた中にいたのだわ。

骨だからばらばらになって飛んで行ったのだわ」


 ……エルサがサマナースケルトンを倒してたのか……。

 俺やモニカさん、ソフィーさんはサマナースケルトンと戦ってはいない。

 フィリーナやアルネもそうだ。

 戦っていたら、いるかどうか確認するのを待つなんてしていないだろう。

 まぁ、俺がまとめて魔法で倒した魔物の中や、エルサが焼き払った魔物達の中にはいたのかもしれないけどな。

 しかし、エルサははっきりと蹴飛ばしたらしい……早く言ってくれよ……。

 エルサは魔物達を倒した後、さっさと俺の頭にくっついて寝てしまったからなぁ。


「エルサ様……それは本当ですか?」


 エヴァルトさんがエルサに確認する。

 皆もその答えに注目するようにエルサに視線を向けた。

 まぁ、その答え次第でこれからの相談内容が変わるから、仕方ないよな。


「本当なのだわ。10匹くらい蹴飛ばしたのは覚えてるのだわ。適当に蹴飛ばしたから、もっといたかもしれないのだけどだわ」

「エルサ様が言うのなら、本当にサマナースケルトンがいたのでしょうな」

「そうね。エルサ様がそこを間違えるとは思えないわ」

「10体もいたのか……それなら森の奥や洞窟に隠れてるサマナースケルトンはもっといるだろうな。これで、魔物達が大量に湧いて出て来た原因がわかったな」


 エルサの答えに、エヴァルトさんとフィリーナが頷き合ってる。

 ほとんど俺の頭で寝ていたり、キューをかじってるだけのエルサが随分信用されてるなぁ。

 悪い事じゃないと思うけどね。

 それとエルサ、サマナースケルトンの数え方は匹じゃなくて体らしいぞ。

 アルネの言う通り、これで魔物達への対処法を相談出来る。

 それから1時間程、俺達は魔物達への対処をどうするか話し合った。

 エルフ達は基本的に今のまま集落の防衛をする事。

 俺達にフィリーナとアルネを加えた少数でサマナースケルトンを探して、数を減らして行くという方法を取ることになった。

 少数ならサマナースケルトンが警戒して逃げる事も少ないだろうとの判断だ。

 俺達ならサマナースケルトンを探してる時に大量の魔物達に襲われても対処出来るからというのが一番大きかった気がするけどな

 これからの方針がざっくりとだけど、決まった後朝食を食べる。

 魔物と戦ったり、相談をしたりで少し遅くなったけど、今日の朝食も美味しかった。

 さすがにフィリーナはそろそろ適量と言うのがわかって来たようで、朝食の量は多く無く少なくも無い

丁度良い量だった。




魔物を呼ぶ魔物、放っておくとどんどん増えます。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでよろしくお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はブックマークを是非お願い致します。


作品を続ける上で重要なモチベーションアップになりますので、どうかよろしくお願い致します。

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