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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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久しぶりのセンテに到着



「それじゃ、飛ぶのだわー」


 中庭で大きくなったエルサの背中に、荷物と一緒に乗り込み、浮かび上がって王城を出発。

 眼下では、見送りに来てくれたヒルダさんが深々と頭を下げ、その隣にいる姉さんはブンブンと両手を振っている。

 ヒルダさんともかく、姉さんは周囲に俺達以外の人がいるけど、それでいいんだろうか? 女王様の威厳とかその他もろもろとか……。

 中庭は王城内でもあまり人の多くない場所とはいえ、エルサが飛び立つのを見ようと、兵士さん達とかそれなりの人が集まっているのに。


 あ、顔を上げたヒルダさんに、手を降ろされて叱られている……かな。

 ……うん、ヒルダさんがいてくれれば、姉さんも大丈夫だろう。

 浮上して、段々と小さくなっていく姉さん達から視線を外し、センテへと向かった――。



 途中、人がいないのを確認した後、川の近くで昼食を食べる。

 王都出発から、体感で五時間程……余裕を持って休憩したのと、のんびりとした速度でエルサに飛んでもらったので、ヘルサルに行くよりちょっと時間がかかったけど。


「そういえば、センテは結構久しぶりかな」

「前回はいつだったか……ルギネ達と会った時は、行かなかったか」

「そうね。多分、エルフの集落……村から戻ってきてすぐとかじゃないかしら?」


 街から離れた場所でエルサに降りてもらい、少しだけ懐かしい気分で皆と話しながら、センテの西門に向かう。

 ヘルサルとセンテを繋ぐ街道の北側に降りたから、向かう先には遠目に森も見える。

 あの森で、至高のモフモフ……もといエルサと出会って、契約をしてから色々始まったんだよなぁ。

 まぁ、俺とエルサの出会いは、ユノが仕組んだ事らしいけど。


「私は、センテには行った事がありませんね。作物の集積場として栄えているとは聞いていますが」

「私も同じくね。ヘルサルの近くなのは知っているけど」

「きっと美味しい物もあるの」

「キューがあればいいのだわー」


 ちなみに、今回ここに来ているメンバーは、俺とエルサ、モニカさんとソフィーにユノ、フィネさんに加えてフィリーナも来ている。

 アルネは、エルフの村から来る事になっているカイツさんを迎える準備をと言っていたけど、本心は研究に没頭したいからだろう。

 フィリーナが一緒にいるのは、クォンツァイタを俺が張った結界に繋げて魔法具化し、魔力電池のように使う仕組みを組み込むためだ。

 魔法維持のために繋げて、魔力を無駄なく放出するためには、結界を張った前後でやらなけらばいけないからとか。


 結界が張られていれば後からでも処置はできるらしいけど、長時間維持するのが難しいので、一緒に来て魔法具化するのがいいからね。

 先に魔法具化したクォンツァイタを……という事もできなくはないけど、せっかく魔力を蓄積させたのに、結界を張るまで無駄に魔力を放出させている事になる。

 さらに言えば、繋げていなければ放出される魔力量も増えるらしく、大量のクォンツァイタから魔力が放出されれば、最悪魔力溜まりになるかもしれないとの事だった。

 魔力溜まりでは、作物の成長が早いとか良い影響もある事がヘルサルである程度わかっているけど、魔物が来る事もあるから、そういった不安要素をなくしてハウス栽培をしたい。


 後々は、管理できるような魔力溜まりを狙って作り、色々研究を……とかアルネが言っていた。

 けどそれは、とりあえずハウス栽培そのものを成功させてからだね。



「えーっと、まずはどうしようか? 先に冒険者ギルドかな?」


 センテに入り、まずはどこへ向かうかを皆と相談。

 まだ夕方とは言えない微妙な時間で、夕食には早い。

 まずは、行った事がある冒険者ギルドで、ギルドマスターに話をと思い皆に提案する。


「冒険者ギルドは遅くまで開いているからな、後でも良さそうだ」

「先に行くのは、侯爵様の方じゃないかしら? 陛下からの報せで、センテに来ているのなら早めに挨拶しておいた方がいいと思うわ」

「フランク様なら、リク様がいつ来ても歓迎してするでしょうけど……初めて話す貴族相手ですから、優先した方が良いかと思います」


 冒険者ギルドは、冒険者が依頼を達成して報告へ来るのが遅くなる場合もあるので、日が変わる前くらいまで開いているから、後回しでも良さそうだね。

 モニカさんとフィネさんが言うように、遅くなって失礼になってもいけないので、先に行く事にしようかな。


「じゃあ、先にルーゼルライハ侯爵の所へ行こ……って、ちょっとエルサ?」

「リク、リク、あそこにキューが山積みになっているのだわ! 全部買うのだわ!」


 ルーゼルライハ侯爵は、夜でなければセンテの庁舎区画にいるだろう……と姉さんから聞いていたので、そちらへ向かおうとしたら、頭にくっ付いているエルサがペチペチと叩いて邪魔された。

 センテは作物を多く扱っている街だから、キューがあるのは当然なんだけど……エルサが見ているのは、広場で露店を開いて売っているものだね。

 そういえば、初めて一人でセンテに来た時、あそこでキューを買ってその後に出会ったエルサにあげたんだっけ……さすがに、売っている人まで同じじゃなさそうだけど。

 エルサの好物が決まった要因として、少し感慨深いかもしれない。


「昼過ぎているから、前に見た時よりは減っているね。でも、さすがに全部は買えないからね?」

「むぅ、だわ……でも、とにかくキューを買うのだわ!」


 以前買った時は、朝早くて露店を開いた直後くらいだったから、もっと……人が隠れられるくらい山積みになっていたけど、今は膝くらいの高さにしか積まれていない。

 それでも相当な数だけど……さすがに全部買っても持ち運べない。

 少し拗ねた声を出しながらも、山積みのキューを見て食欲を刺激されたのか、買うよう主張するエルサ。


「はいはい、おやつになるから、エルサのお小遣いから出すからなー?」

「私も食べるのー」


 仕方なくエルサに従って、広場の露店へ向かいつつ、モニカさんにエルサが背負っているリュックからあげていた小遣いを出してもらう。

 ユノも主張しているので、そちらもお小遣いからだね。


「……侯爵様の所へは、少し遅くなりそうだな」

「まぁ、エルサちゃんがキューを見つけたら、こうなるだろうとは思っていたけどね」

「少しくらいなら、問題ないでしょう」


 苦笑しながら顔を見合わせている、ソフィー達。

 フィネさんの言うように、キューを買うだけだからそんなに時間もかからないし、これくらいの寄り道は大丈夫だろう。


「……やっぱり、ちょっと値段が上がっていたね」

「それでも、王都よりは安いがな」

「農地に近いからかしら……遠くまで運ぶと、値段は上がる物だけど」

「やはり、こちらでもリク様の影響で人気なのでしょう」


 露店でキューを、エルサとユノがそれぞれ自分のお小遣いで数本買って、歩きながら食べている。

 買う時に気付いたけど、以前よりもキューの値段が上がっていた。

 一本銅貨二枚かぁ……王都とかよりは安いし、数もあるから何とでもなりそうだけど、産地に近い場所でも影響が及んでいるとなると、やはりキューの生産は増やした方が良さそうだね。

 そのために、ハウス栽培を実現させようとしてここまで来ているんだけど――。



キュー不足の影響はセンテにも及んでいるようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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