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リクとモニカの初デート開始?



「お前、なんて人に絡んだんだ!」

「誰かが敵うわけないのはわかっているが、気分を害されたらどうするんだ!」

「あの方のおかげで、我々は無事に今を過ごせているんだぞ!?」

「声をかけて話すだけならまだしも、剣を向けるとは!!」

「「キャー、リク様素敵ー!」」

「私もあんな風に、守られてみたいわぁ」


 俺が蹴り飛ばした男を街の人達が取り囲み、口々に何か言っているようだ。

 何人かの女性はこちらを向いている気がするけど……大きな問題や騒ぎにはなっていないようだから、大丈夫だろう。

 ほとんど、なんとか意識を保っている男を小突いたり、注意したりしているようだし。


「はぁ……リクさんは人気者ね。その……ありがと」

「まぁ、勲章をもらったりしたから、今だけだと思うよ。でも、余計な事をしたかな? あれくらいならモニカさん一人でも大丈夫だっただろうし……」


 溜め息を一つ吐いて、すぐにモニカさんからはにかみながらお礼を言われる。

 なんとなく、あの男がモニカさんに声をかける気持ちがわかった気がするけど、ちょっと照れ臭かったので、余計な事だったんじゃないかと話しを逸らす。

 実際、あの男が何かしようとしても、モニカさんなら何とでも対処できただろうからね……あれで冒険者というのは、多分嘘だろう。

 冒険者になるための実技試験を通るとは思えないし、そこらのならず者の方が強そうだ。


「そんな事ないわよ。私は、リクさんが間に入ってくれて良かったと思っているわ。……ルギネさん達みたいに、暴れて物を壊すわけにはいかないからね」

「あー、それに関しては、ここが広場で助かった……かな? 大通りだったらお店がいっぱいあっただろうし、もしかしたら何か壊してたかも」


 そういえば、ルギネさん達も絡んできた男達を相手に暴れた事もあったんだっけ……主にアンリさんが斧を振り回した結果らしいけど。

 モニカさんも近い事ができるだろうし、俺に至っては実際に男を蹴り飛ばしたからね。

 近くに何かがあれば、男がぶつかる勢いで破壊してしまっていた可能性は高い。

 気を付けないと……。


「えっと……?」

「あっちは大丈夫そうね」

「うん、そうみたいだね」


 あたりを見回したり、男の様子を見たりしていると、同じく確認したモニカさん。

 壊れている物は特になさそうで、男を取り囲んでいる街の人達が衛兵さんを呼んだり、縛ったりしているので大丈夫そうだ。

 街の人の何人かは、こちらにサムズアップをしているので、ここは任せてという事だろう……なぜかすごい笑顔で歯が輝いて見えるのはよくわからないけど。

 もしかしたら、これからモニカさんと街を見て回るってなんとなく察してくれているのかも?


「それじゃ、行こうか?」

「え、リクさん?」

「んー、さっきみたいに、変な男が近付いて来ちゃいけないからね。それに、こうしていれば横から入ってきた、なんて言いがかりもなくなるでしょ?」


 男の方は任せて良さそうなので、俺達は余計な邪魔が入らないように、さっさと移動するべきだと思い、モニカさんに促しながら左手を差し出す。

 二人だけだし、はぐれないようにというのもあるけど、また絡まれたりしたら面倒だからね。

 まぁ、あぁいう手合いはそんな事関係なしに難癖を付けてくるかもしれないけど、少しでも可能性を潰しておきたい。

 邪魔されたくないからね……なんで邪魔されたくないんだろう?


「……はい、よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしく。まぁ、街の事は俺よりもモニカさんの方が詳しいだろうけどね、ははは」


 頬を紅潮させ、柔らかい笑顔で右手を俺の左手と重ねるモニカさん。

 なんとなく不思議な表情だけど、喜んでくれていると思いたい。

 街を見て回ると言っても、俺が案内するより生まれ育ったモニカさんの方は詳しいだろうなと苦笑。


「そんな事ないわよ。リクさんはヘルサルに暮らす人達の事を考えて、頑張っていたのは知っているわ。私はこの街で育ったけど、リクさんの方が知っている事が多いかもしれないわよ?」

「そうかな? まぁ、そうだといいんだけど……あ……」

「ん? どうかした、リクさん?」

「……いや、なんでもないよ。ははは」

「ふふふ」


 モニカさんが俺をフォローするように言ってくれるけど、どうにも自信が持てなくて首を傾げていたら、重なった手をギュッと握られた。

 はっきりとモニカさんの柔らかい手が、俺の手と繋がれているんだという実感が沸き、にわかに恥ずかしさのような嬉しさのような……得も言われぬものが込みあがる。

 思わず声を出した俺に、手をつないだまま首を傾げるモニカさん。

 なんとなく心情を見透かされるのは恥ずかしい気がして、誤魔化しながら、顔を見合わせて二人で笑う。


 なんだろう、苦笑とは違う笑いなんだけど……すごく楽しいというか、気分が高揚している気がする。

 モニカさんと一緒だからかな? こんな事、エルサの至高のモフモフを初めて見た時以来……いや、あれとはまた違う感じかな。

 悪い気分じゃないのだけは間違いないね。


「それじゃ、とりあえず大通りの方から見て回ろうか?」

「そうね」

「……あれ? モニカさん、それ」

「ん?」


 手を繋ぎ、モニカさんの手を軽く引っ張って大通りの方へ向かう。

 後ろの方で、男達を囲んでいる人達から歓声が上がったような気がしたけど、今はそちらは全く気にならない……いつもなら振り向いたりしていただろうけど。

 モニカさんと手を繋いでいるからか、いつもより少しだけ歩調が遅く、二人で合わせた歩調になりながら、広場から大通りに差し掛かったあたりでふと気付く。

 ……よく見たら、モニカさんがいつもと雰囲気が違うような?


「いや、いつもはもっと簡素で動きやすい服だったと思うけど……それに髪飾りも」

「あ……似合わなかったかしら? 今朝、母さんにも見てもらったんだけど……」

「ううん。似合わないなんて事はないよ。すっごく似合ってる、うん! どこか貴族のお嬢様って言っても、通じるんじゃないかな? さっき男が声をかけていたのも納得できるね」

「男がっていうのは余計だけど……良かった」


 いつもは、冒険者としていつでも動けるようになのか、比較的動きやすそうな服装のモニカさん。

 だけど今日は、少しだけ胸元が見えるような服で、足首くらいまでの長さのスカートを履いている。

 よく見たら靴も、いつもと違ってオシャレなような……? あんまりそちらに詳しくない俺でも、いつもとは違うとはっきりわかるくらいだ。

 さらに、長い髪はいつにも増して風になびいており、髪飾りも付けている。


 髪飾りの形が、炎を模している赤い物なのはモニカさんらしいなと思うし、凄く似合っている。

 本当に、貴族のご令嬢と言われてもおかしくないくらい綺麗だ。

 さすがに高貴な雰囲気も出している、という程ではないけど、等身大のモニカさん……という感じがして、すごくいいと思う。


「……最初に何も言われなかったから、気付かないと思ったけど……気付いてくれて良かったぁ。昨日からバタバタとしながら用意した甲斐があったわ」

「ん? どうしたの?」

「い、いえ。なんでもないわ……」




モニカさん、気合十分なようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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