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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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金属素材と魔法の工夫で獲得する耐久性



 続くエクスさんの暖房魔法具、メタルワームの説明。

 発動すると表面に露出している部分が真っ赤になるくらいなので、間違って触ったりしたら危ないんじゃないかな? という疑問も俺だけでなくアルネからも出た。

 それに対してエクスさんが示した答えは、風を少し塞ぐ形になるけど、無数の小さな指も通らないくらいの物ですっぽりと覆う事。

 これは、板から伸びる棒に簡単に取り付けが可能になっているようだ。

 その覆う物も同じ金属でできているんだけど、それ自体が脆い代わりに熱に強いらしく、鉄を溶かす以上の火にかけない限りは形を保ってくれるらしい。


「でも、同じ金属なら覆っても中からの熱で、結局外側も熱くなるんじゃないですか?」

「よくぞ聞いてくれました。その覆うための物は、メタルカバーと言ってこちらも魔力で内側に魔法が発動するようになっております」


 興味自体は、既に別の事へと移ったはずなのだけど、それでもやはり自分の研究成果を披露するのは楽しい事のようで、喜々として説明してくれるエクスさん。

 なんでも、メタルカバーが発動する魔法には、俺の結界を見た事からのヒントで熱を通さない薄膜のようなものが、カバーと熱を発生させている金属板の間に発生させるのだそう。

 そのおかげで、カバーの方は外側から少し触れたくらいなら危険は少ないとか……ただし、無数に開いている穴から内部の熱風を外に出す影響で、完全に熱くないわけではないとか。

 まぁ、風自体は近くだと少し熱い程度なので、カバーの外側を触ったら肉が焼けてしまうとかのような危険はなさそうだから、マシかな?


 さらに、その熱を通さない膜を張る魔法は、元々エルフが開発していた魔法ではあるんだけど、同時に内部の金属板……メタルワームにも組み込んであり、そうする事でさらに熱に強い性質を持たせられたのだとか。

 魔法が発動していれば、どんな熱にも耐えてられる金属なんて、エクスさんは言っていたけど、アルネからさすがにそれは言い過ぎだろうと突っ込まれてもいた。

 冷静に分析したアルネによると、せいぜい金属が簡単に溶けるくらい熱しても、形をたもっていられるくらいだろうとか……それだけでも十分だよね。

 クールフトの時に、暖房としても使えないかな? と思って否定された問題を解決して、耐久度も十分というわけだ。


「必要な魔力はどうなっている?」

「アルネはやはり痛い所を突くな。まぁ、それなりの魔力量が必要になる。とは言っても、人間でも扱える程度だが……誰でもというわけではなく、それなりの魔力量、少なくとも武器などに施された魔法を発動できる程度の魔力がなければいけないだろう」

「成る程、少し魔力量は多くいるわけか……二段階なのだから、それも仕方なしだな」


 メタルワームとメタルカバーでそれぞれ別に魔法を発動させる関係上、総量はそれなりの魔力が必要なようだ。

 武器の魔法具を発動という事は、ソフィーなら問題なく使えそうなくらいかな。

 対処法として、二人でそれぞれワームとカバーに魔力を注げば発動できるそうだから、なんとかなると思う。

 エクスさんとしては、もっと消費魔力量を少なくしたうえで、さらに火力というか熱量を上げられれば完成と考えていたらしいけど、今のままでも十分に使えそうだね。


 試しで使っている今でも、カイツさんの研究室以上に広いツリーハウス……しかも吹き抜けありで、何階層もある室内が説明されている間に、汗ばむくらいになっているから。

 もちろん、一番暖かくなるメタルワームの近くにいるっていうのもあるんだろうけど。

 なんにせよ、これが数個あればヘルサルの農園全体を暖める事ができそうだね。

 熱の効率はともかく、短時間で暖めるよりはじっくり少しずつ温度上昇させられればいいから。


「これは使えそうだ……いや、使えるだろうな。エクス、これの他に実物は作っているのか?」

「いや、試験的に作ったこれだけだ。まぁ、私には他に研究する事ができたから、試作のこれと、研究をまとめている資料を渡そう。アルネなら、そこから作れるだろう?」

「素材もありきたりな物のようだし、それほど難しくないだろうな。わかった」


 何個か作っていたカイツさんのクールフトとは違って、こちらのメタルワームは試作品だけらしい。

 けど、素材に困らないうえ、研究資料ももらえるようだから、アルネが王都に戻ったら早速政策に入ってくれるだろう。

 量産速度は気になるけど、人手は多いだろうからなんとかなるはず。


「……これで全部だな」

「ありがたく、ちょうだいする。エクスの研究成果、きっと役に立て見せよう」

「自分の研究が世に出て役に立つのは、喜ばしい事なのだろうが、私は気にせん。自由に使うがいい」

「やはり、相変わらずだな」

「ありがとうございます、エクスさん」


 魔力が切れたメタルワームが冷めるのを待つ間に、エクスさんがまとめてくれた研究資料の紙束を受け取る。

 自分の手を離れたからか、既に興味を失っている様子のエクスさんに苦笑してしまうが、おかげで助かったのでお礼は欠かさない。

 ちなみに、メタルワームを冷やす際には水をかければとも思ったんだけど、使っている金属の素材が弱まってしまうかもしれないので、厳禁と言われた。

 アルネが風の魔法で熱を逃して早めに冷ましたけど、熱すぎて触れない状態になるため、動作させるのはちゃんと設置させてからで、お試しではあまり使わない方が良さそうだ。


「では、感謝する。あと、わかっていると思うし、エクスはその心配はなさそうだが……」

「あぁ、もちろん新しい研究を誰かに漏らす事はないさ。そして、リク様からの提供と考えて、中途半端な取り掛かり方はしない」

「あぁ」

「……俺からっていうのは、あまり気にしなくてもいいだけどなぁ」


 ツリーハウスを出る際、エクスさんに念を押すアルネ。

 研究内容自体を口外禁止というわけではないけど、まだ形になっていない考え方を、あまり多くの人に報せるべきではないとの判断だ。

 そこまで気を付けるべき事かな? と疑問だったけど、後でアルネに俺から知識を授けられたのだと思われたら、知識を求めてあらゆる人が殺到する可能性があると言われた。


 ……俺の知識なんて大した事ないと思うけど、その状況は困ってしまうので、避けられるなら避けた方がいいよね、うん。

 なんにせよ、自分が研究する事が第一と考えているエクスさんなら、変に噂が広がったりはしないだろうから、ちょっと安心。

 とりあえず、地球での知識を披露する際は、時と場合を考えようと決めた――。



「リクさん、モニカさん達から事情は聞きました……」

「エヴァルトさん」


 カイツさんやエクスさんから、研究成果を受け取り、試作品などの実物を持って石造りの家に戻ってしばらく。

 エヴァルトさんに説明をしたモニカさん達は、フィネさんや寝ていたユノ達と外に出ているみたいで、夕食が近いからそろそろ戻って来るかなぁ? と考えていたら、先にエヴァルトさんが訪ねてきた。

 どうやら、話を聞いて早く俺と話をしなければと考えていたらしい――。




結局リクからも話エヴァルトさんに話をしなければいけないようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

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