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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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正確な情報を伝える相手は慎重に



 ユノへの接し方については、アルネにもそうだったし、事情を知ったからって態度が変わるのはユノがかわいそうだ。

 そもそも、本当に敬うような接し方をされたいのであれば、最初から神様だって伝えて信じてもらうようにしてただろうからね。


 これまで通り、子供……のような扱いは嫌がるかもしれないけど、人間の女の子のように接した方がユノ自身も喜んでくれると思う。

 だいぶ慣れたけど俺も様を付けられたり、妙に畏まって接される事もあるから、気持ちはよくわかる。


「ともあれ、帝国の企みも少しは見えてきたと言えるのかもしれないが……」


 ユノに対してはできるだけ今まで通りにすると決まって、ソフィーが改めてアルセイス様から聞いた情報の整理をする。

 そのうえで、どこにどういった伝え方をするかという話になった。

 俺やアルネが見聞きした事をそのまま伝えても、相手によっては信じてくれないだろうし、最悪の場合は神様を騙る不届き者と思われてもいけないから、誰にでも全て伝えるわけにもいかないだろうから。


「さすがに、集落にいるエルフ達全員に伝える事はできんな。アルセイス様が想像とは違う性格だった事も含めて……まぁ、フィリーナには伝えておこうと思う」

「そうだね、フィリーナは仲間だし、俺達の事もよく知っているから信用してくれると思うから、話しておかないとね。あとは……姉さんは大丈夫だと思うけど、他に……」

「ヴェンツェル様達にはどうする?」

「フランク子爵様には、ある程度伝えようと思いますが、全てを伝えるのはさすがに……」


 皆と話し合って、全てを伝える人、断片的に伝える人、何も伝えない人、と分けて行く。

 姉さんやフィリーナ、それに今エルフの集落をまとめているエヴァルトさんにはすべてを伝える事にした……エヴァルトさんは、アテトリア王国にいるエルフの代表的な扱いになるだろうからだ。

 アルセイス様の事もあるし、この先も協力してもらう事を考えたらというのもある。


 ヴェンツェルさんやフランク子爵、エフライムやハーロルトさんを含めた、国の偉い人達には断片的に伝えて、それ以外の事は伝え方を姉さんに任せるのがいいだろうとの結論。

 こちらは、信用はしてくれるだろうけど、どこまで話しておけばいいのかわからないためだ……姉さんへ丸投げとも言える。

 帝国に対する準備を進めている現状で、追加の情報で混乱しないための配慮と、俺達が考えるよりも姉さんに考えてもらった方が適任だろうから。


 さらに、エヴァルトさん以外のエルフ達や、王都にいるアメリさんなど、一般的と言える人達には特に伝えずこれまで通りに、と決まった。

 帝国が、とか神様が……と言っても、伝わらない事の方が多いだろうし、情報が広まる事で帝国に漏れるのを防ぐ考えもある。

 あと、広く伝えようとすればするほど、変にねじ曲がって伝わる可能性も考えたから……さっきのモニカさんやソフィーのように、俺もまとめて神様にされてしまいそうだからね。


「それじゃ、私達はエヴァルトさんに伝える事にするわね」

「俺は、集落全体の研究を確認だな……帝国と違って、人間との交流は始まったばかりだが、それでも何か協力するべき事もあるはずだ。それと、本来の目的である温度管理に関する魔法具研究に関してもだな」

「うん。それじゃ、俺はエルサやユノと一緒に休んで……」

「リクさんは、アルネと一緒に行かなきゃダメでしょ。エヴァルトさんへの説明は私達だけでもなんとかなるけど」

「……やっぱり、そうだよね」


 既に夢の世界へと旅立っているエルサやユノを見る事を理由に、睡眠時間の確保をしようとしたけどダメだった……。

 結局、俺はアルネと一緒に魔法具研究の方へ、モニカさんとソフィーはエヴァルトさんを探すか呼んで来てもらい、アルセイス様の事も含めての説明。

 エルフの集落に慣れていないフィネさんは、寝ているエルサとユノの事を見ているとなった。

 ちなみに、説明自体はこの石造りの家でするので、その際にユノもしくはエルサに起きてもらって、一緒に説明するとの事……素直に起きてくれたらいいけど。


 俺とアルネの方が時間がかかるだろうから、説明が終わった後はフィネさんも一緒に、道に迷わないよう案内を頼んでエルフの集落を見て回るらしい。

 ……俺も、そっちの方が良かったなぁ……まぁ、魔法具の研究関連でエルフの集落内を移動するから、ある程度は見て回れるだろうけど。


「リク様、腕によりをかけて作らせて頂きました!」

「ははは……ありがとうございます」

「ふわぁ……お腹、空いたのだわ。キューを食べる、のだわー」

「むにゃむにゃ、美味しいの……」

「エルサはともかく、ユノはちゃんと起きような? まだ食べてないぞー?」


 寝不足ながら、今日の行動予定がそれぞれ決まって少しした頃、エヴァルトさんが手配してくれていたんだろう、エルフさん達が朝食を作って持って来てくれた。

 頑張って作った事を誇らし気にしているエルフさんを見れば、食事は自分達で用意するとも言えず、苦笑しながらお礼を伝える。

 エルサとユノは料理の匂いに釣られたか、眠そうにしながらも寝ていた体を起こしたけど……ユノはまだ食べ始めていないにも拘らず、料理の感想を言っている。


 半分くらい寝ている雰囲気だから、夢の中ででも食べているのかもしれないけど、中途半端に食べている途中で寝たり、こぼしたりしてもいけないのでちゃんと起きるように声をかけた。

 食い意地が張っているというかなんというか……起こす手間が省けたかなと一瞬考えたけど、この様子じゃ食べた後またすぐに寝そうだから、フィネさんの手間は変わらなさそうだな――。



「それじゃまずは……」

「エヴァルトはモニカ達からの事情説明を受けるから、また後だな。まずは、冷やす魔法具を研究しているエルフの所へ行こう」

「わかった。暖める方じゃないのは、込み入った話になりそうだから、だね?」

「あぁ。早めに終わりそうな方から行った方が、さっさと用事を済ませられるだろうからな」


 朝食後、アルネと一緒に石造りの家を出て、まずはクーラーとも言える魔法具を研究しているエルフの所へと向かう。

 集落全体での研究を把握するには、エヴァルトさんとも話す必要があるので、そちらはまずモニカさん達と話す事になっているし、とりあえず済ませられる用事を済ませておいた方が良さそうだからね。

 暖める方、暖房魔法具を後に回したのは、研究内容を提供してもらうための交渉などがそれなりに時間がかかってしまいそうだから。


「うん、そうだね……はぁ……」

「……気持ちはなんとなくわかる気もするが、気にしない方がいいだろう。俺も、あれが本当にあの長老達かと、疑いたいのだからな」


 行き先を決めてアルネの案内で移動しながら、遠目に見えたり聞こえてしまった声で思わずため息を吐いてしまった。

 アルネも似たような感想だったようで、苦い表情をしている。

 俺達が見たのは、集落の出入り口の方へジョギングするくらいの速度で駆けて行く長老達……若く見えるエルフでも、それなりの年月を生きているから見た目はエアラハールさんやベルンタさんのように、見るからに老人なんだけど……。

 そんな人達が、元気よく走りながら叫び、集団で外へ向かうのは中々驚きの光景と言えるだろう。


 初めて見た俺やアルネ以外のエルフさん達や、集落に来た人間達はもう慣れた光景なのか、特に期した様子はなかったけど。

 それはともかく、元気に走るだけならまだしも、叫んでいる内容がなぁ……。




何やら、リクとアルネは見たくないものを見た様子ですが、深堀りしない方がいいのかもしれません。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


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