表裏一体で対を成す存在
「なんか深刻そうな話だし、俺が聞いてもいい……のか? というか、話し方が急に戻ったな」
「こっちの方が、楽に話せるの。真面目に話すのは肩が凝るの」
威厳ある喋り方だったユノだが、俺が首を傾げいている様子に気付いて、説明をしてくれることになったようだ。
俺に話し掛ける時はいつもと同じ喋り方に戻ってしまったけど、そちらの方が親しみがあって、話しやすいのは確かなので助かる。
まぁ、威厳のある話し方は、見た目とのミスマッチ感があるからだけど……神様が肩が凝るのかは、よくわからない。
「んーと、まずは何から話したら……」
「ユノ様、あの方のお話からされてはいかがでしょうか? あの方の事を知らなければ、話も伝わりません」
「あぁ、そうなの、わかったの!」
俺にどう説明しようかと考えるユノに、アルセイス様からの助言。
世界に影響だとか、俺が既に関係しているとか言われているけど、そのあの方とアルセイス様が言っている人? 人じゃないかもしれないけど、その方がなんなのかわからないと、確かに話の重要な部分もわからないかもね。
「えっと、あの方っていうのは、破壊神の事なの!」
「え、あ……えっと、破壊神? 破壊神ってあの?」
「リクがどの破壊神の事を言っているかわからないけど、破壊神は破壊神なの」
「ユノ様が創造神であらせられるのは、先にも言った通り。創造と破壊は表裏一体。創造神がいればまた、破壊神もいるものなの」
「は、はぁ……」
急に破壊神と言われても、どんな反応をしたらいいのかわからないけど、とにかく危険な存在というのは伝わってくる。
何しろ破壊神だからね……破壊の神……何を破壊するのか知らないけど。
首を傾げる俺に、アルセイス様がフォローするように説明してくれる。
うんまぁ、創造と破壊が表裏一体っていうのは、よく言われるから理解できる……現実感は一気になくなったけど。
とはいえ、異世界に来て魔法だ魔物だって実際に見ているうえに、神様も出て来たんだから、今更かな。
「その破壊神様っていうのが、何かをやり始めたって事?」
「破壊神の目的は一つなの。この世界の破壊、創造された世界の破壊なの」
「とは言っても、さっきも言ったように世界に干渉できるのは限られているのよねー。考えても見てー? 創造神と破壊神が、力の限り創造と破壊を繰り返したらー……?」
「ただ、創られて壊されるだけの世界になる、とか」
「そうなのよー。だから、直接世界に干渉するのは制限されるのよー」
ユノの説明の補助としてアルセイス様が付け加えてくれるけど、ユノの喋り方に引きずられたのか、元の軽い話し方に戻っている。
こっちの方が親しみというか、俺は話しやすいから助かるかな。
ともあれ、神様がどれだけの力を持っているか、人間の俺には想像できないけど……単純に想像するなら、生き物も含めて世界が創られた直後に破壊される、というのを繰り返すだけのように思える。
無制限に干渉できればそうなってしまうため、そもそも世界というものが存続できないから、破壊神様も制限されているんだろう。
代わりに、創造神であるユノの方も制限されて、無制限に力を振るうというのはできないみたいだけど。
まぁ、神様達の考えや衝突を避けたりするためにも、必要な事なんだろう。
「創造神は世界そのものを創り、破壊神は世界そのものを破壊するの。だけど干渉に制限があるから、それぞれが創った目的に沿う存在を放って、誘導するの」
「それぞれが創った……世界を創った以外にもあるのか?」
「ユノ様は人間を始めとした、生き物をお創りになられたのよー。生き物が営みを続ける事で、世界になる……という考えのもとにねー。それを賛同する神々が、他の種族を創ったりもしているわー。私が、エルフを創ったのもねー」
「ふむふむ、創造神が人間……だけでなく生き物を創ったと……エルサのようなドラゴンもそうらしいから、それはわかります」
創造神だから、世界と一概に言ってもそれぞれあるのだろう。
生き物が存続できる環境が世界と言うのであれば、世界を創るというのはそういう意味でもある……のかな? もっともらしく考えただけだけど。
エルサのようなドラゴンは、そんな創造神……ユノが、世界を観察したりするために創ったらしいし、そういう事もできるんだろうなぁ、くらいの感覚だ。
それはともかく、だったら破壊神様は何を創ったんだろう? ユノの言い方では、破壊という目的がありながら目的のために何かしらの存在を創ったと解釈できるけど……。
「破壊神様は、ユノが創った生き物以外に創ったって事かな?」
「あんなのに、様を付ける必要はないの!」
「……まぁ、ユノにとっては敵みたいな存在なのかもしれないけど……わかったよ」
ユノが顔をしかめて、俺が破壊神に様を付けるのに対して拒否反応を示す。
創造神であるユノからすると、破壊神は敵とかライバルとか、そういう存在だから仕方ないか。
俺自身も、神様という高次元的な存在が人間の気持ちとかを無視して、破壊の限りを尽くすのは受け入れられないから、様を付けるのは止めよう。
一応、神様だから付けていただけだしな……そこに敬意とかはあまりない。
「破壊神は、魔物を創ったのよー。魔物は生き物全てを敵視していて、それは同じ魔物同士でも争うように仕向けられているのよー」
「魔物が争って、人間や他の生き物とも争う事で、文明や文化の破壊……最悪の状況だと、全ての生き物を破壊する目的になっているの」
「成る程、魔物か……」
魔物は基本的に、同族以外を攻撃対象としている……探せば同族すらも攻撃する魔物もいるかもしれないけど、それはともかくだ。
人間やエルフ、獣人とは違って他者を破壊……攻撃する事を第一としていると聞いているから、それらを創ったのが破壊神だと言われると腑に落ちる事ばかりだ。
ユノを見ていると、怒る事もあるけどわりとのんびりと平穏を好んでいるように見えるから、世界や生き物を創ったと聞いても、その中に魔物も入っているのはちょっと違和感があったから。
集まって文化を形成し、営みをする人間とは相反する存在なのが魔物って事だろう。
エルサに言ったら怒りそうだけど、ドラゴンも魔物っぽいし、俺のイメージでは同じなんだけど、創った神や目的は全く違う。
そういえば、色々なドラゴンにまつわる話を聞いたりもしたけど、人間に対して敵対して強力な攻撃をした……という話は聞かないからね。
時折、人間側が勘違いして攻撃し、反撃する事はあるみたいだけど……砦にエルサが体ごと突っ込んだって話もあったっけ。
でも創造神が創った人間と契約する事で、ドラゴンが本来の力を使えるようになるって話を考えれば、明確に魔物とは違うのがわかる。
破壊が目的なら、人間と協力するようには作らないだろうからね。
「くっ……う……」
「あら、そろそろ限界が近いみたいねー?」
「アルネ、もっと頑張るの!」
「そうは言っても……うぅ……」
「ユノ様、無茶を言ってはいけませんよー。魔力量は成長と共に増減する事はあっても、現在の量をすぐに増やす事はできませんからー」
アルネの魔力も、そろそろ限界がきているようです。
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