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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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ヘルサルへ向かって出発



 出発前、見送りに来た姉さんと話しつつ、一緒に行く人や荷物の最終確認。

 今回エルフの集落へ行くのは、俺とモニカさん、ソフィーとフィネさんに加えて、研究しているエルフとの交渉役であるアルネ、エルサとユノは当然のごとく一緒にいる。

 だけど、エアラハールさんは今回は付いて来ない事に決めたようだ。

 冒険者としての仕事というわけでもないし、多くの人が必要な事でもないからと、王都で気ままに過ごさせてもらう……なんて言っていたっけ。


 トラブルを起こさないか少し心配だけど、まぁ大丈夫だろう。

 とりあえず、昨日出発前の最終訓練をちょっとだけした際に、最低でも素振りくらいは欠かさず行う事や、もし魔物と戦う事があった時、俺はボロボロの剣を使う事と言われている。

 剣は一本が折れてしまった時のために、数本まとめて一緒に荷物として持っているけど……おらないように気を付けよう。


「それじゃ、エルサ……まずはリュックを……あ」

「わかったのだわー」

「ちょ、ちょっと待てエルサ!」

「……なんなのだわ? 邪魔するななのだわ」

「いやいや、そのまま大きくなったら……」


 見送りに来た姉さんと話した後、エルサに頼んで大きくなってもらうために、まずは背負っているがま口リュックを外そうとしたんだけど……。

 俺の言葉の途中で大きくなろうとして、体が光り始めたエルサを慌てて止める。

 エルサは邪魔されて機嫌が悪そうに呟いたけど、そのままだったらせっかくのがま口リュックが駄目になってしまうからね。

 いくらワイバーンの素材が使われて丈夫と言っても、エルサの方が力は上だろうし、やろうと思えば軽々と引きちぎれるだろうから……大きくなるのを阻害できなくて、肩紐がちぎれてしまう。


「……危なかったのだわ……せっかくのリュ……買ったキューをばらまくところだったのだわ」


 大きくったのを止めた後、エルサに説明しながらリュックを外してやる。

 エルサ自身は気にしていなかったらしく、教えられて初めて気付いた様子……今までリュックを使ったりする事もなかったようだし、買ってから起きている時は常に背負っていたので、自然になり過ぎていたんだろう。

 眼鏡をかけている人が、かけている事が自然になり過ぎて外さずに顔を洗うようなのに近いかな? 微妙に違うか……。

 ちなみに、小遣いの硬貨は内側に小さな紐で閉じられるポケットがあったので、そこにしまってあるんだけど、キューとお菓子は一緒に入れてある。


 小分けにするように作れていないのは、がま口だから仕方ないんだけど……とにかく、キューは一本一本それぞれ布に包まれて、お菓子の方も同様にしてあるので内部で接触してお菓子が駄目になる事はないはずだ。

 あと、お菓子は甘い乾パンのような物で、俺の顔を模した饅頭じゃなくて少し安心した。

 ……リュックに入れていると潰れる可能性もあるから、似ていないと言っても俺の顔として作られている者が、中で潰れたりすると微妙な気分になりそうだからというのもある。


「それじゃあ、改めて出発するのだわー」


 リュックを外して俺が持ち、改めて大きくなったエルサに荷物と一緒に乗り込んで出発。

 ゆっくりと空へと上がる俺達を、王城の中庭で姉さんやヒルダさん達が手を振って見送ってくれた。

 中には、兵士さん達も手を振ってくれているのが見えたから、随分とエルサが飛び立つのに慣れたんだなぁと思う。

 まぁ、何度も中庭で乗り降りしているからね――。



「ヘルサルに到着したら、まず獅子亭に行くの?」

「そうだね……マックスさん達には顔を見せないといけないし、様子を見るために一日から二日くらいは滞在するから、当然獅子亭には行くけど……どうしようかな?」


 エルサで移動して、そろそろヘルサルが遠くに見え始めそうな頃、到着した後の予定をモニカさんに尋ねられる。

 ヘルサルからエルフの集落がそれなりに離れているし、様子を見る必要もあるから、すぐに発つ事はないので獅子亭には必ず行くけど、すぐ行くかどうかは決めていなかった。

 行く必要がある所は、獅子亭だけじゃなくクラウスさんに挨拶をして、結界を張った農場の事を聞かないといけないし……冒険者ギルドに行って、ヤンさんにも会っておきたい。


「……そういえば、獅子亭にはルギネたちがいるんだったな。うーむ……獅子亭の料理を食べるためには、行かないといけないのは当然だが……悩むな」

「それなりに経っているから、働いたお金でヘルサルを離れているかもしれないけど……いたら絶対ソフィーは絡まれるわよねぇ……険悪な雰囲気じゃないから、会っても大丈夫だろうけど」

「ルギネさん達がもし、獅子亭を宿にしていたら……モニカさんとソフィーは大丈夫だろうけど、俺は宿を取らなゃいけないか」

「まぁ、あんまり大きくないからね。以前リクさんが使っていた部屋が使われているかもしれないわ。私の部屋はあるから、ソフィーやユノちゃんはそこでもいいかもしれないけど……」


 ソフィーが眉根を寄せて悩みながら、ルギネさん達リリーフラワーの人達が獅子亭で働いているのを思い出した。

 給料はそれぞれがもらうだろうし、一カ月も働けば別の街へ移動するための資金は楽に集まるだろうけど……マックスさんというかマリーさんが、働き手をそれくらいの短期間で離す気がしない……ソフィーや俺が絡まれるのは、仕方ないと諦めるしかないだろうけど。

 まぁ、馴染まなければ別だろうけど、アンリさんとか適応力が高そうだったし、常連さん受けも良さそうだからね。

 お世話になりっぱなしで、当てにし過ぎるのは良くないと思いつつも、モニカさんの実家という事もあって今回も獅子亭に泊まれればと考えていたけどそうか……ルギネさん達が泊っている可能性が高いのか。


 というより確か、マックスさんリリーフラワーのメンバーを雇う際に、宿代の節約のためにとかなんとか言っていた気がする。

 さすがにモニカさんの部屋は空いているだろうけど、そこに俺も一緒に泊まるわけにもいかないから、宿を取らなきゃね。

 ヘルサルには慣れているし、防衛戦準備の時に冒険者さん達と連絡を取るために、宿にも出入りしたからなんとかなるけど……それなら、先に宿を取って荷物を置いた方が良さそうだ。


「多分、マックスさんがそんな事を言っていた気がするから、ヘルサルに着いたら先に宿を取ろうと思う。荷物も置いておきたいからね。モニカさん達は獅子亭に泊まればいいかな、実家だし」

「そうね。その方が良さそうね。私の部屋にリクさんも……というのは荷物もあるから、ぎゅうぎゅう詰めになるし……それに、あれだし……もごもご……」

「ん?」

「いえ、なんでもないわ!」


 とりあえず、先に宿を探す事に決めたら、モニカさんが何やら俯いてもごもご呟いていた。

 何を言ったのだろうと聞き返したら、凄い勢いで顔を上げて首を振っていたけど……なんだったんだろう? ルギネさんの事で悩んでいるはずのソフィーが、溜め息を吐いているのも少し気になった。

 ともあれ、まずは宿へ行って荷物を置いて……朝食後に出発して時間に余裕があるから、冒険者ギルドに行ってヤンさんに挨拶をしておこうとなった。

 クラウスさんは代官の仕事があって忙しいだろうから、いきなり行っても迷惑かもしれないからね。

 ……クラウスさんなら、歓迎してくれそうではあるけど、秘書のトニさんが怖いから――。




忙しい人のところを訪問する際は、アポイントメントを取りましょう。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


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