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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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自壊するクォンツァイタ



「あれ、でもこれ……魔力が限界まで蓄積されていないみたいだね? 実験とかで、放出させたの?」


 アルネの持っているクォンツァイタは、紫に近いピンク色をしているからまだ魔力蓄積に余裕がある状態だ。

 満タンになると、黄色くなるはずだからね。


「いや、これはまだ放出させていない。もっと小さなクォンツァイタで試して、限界まで魔力を蓄積させた物が、これと同じように色が変わるのを確認はしたがな。だが、これは中々いっぱいにする事ができないんだ。大きさによって、蓄積量が大きく変わるようでな……私だけでなくフィリーナも協力して魔力を込めたのだが、まだ色が変わらない」

「エルフ二人の魔力を込めても、いっぱいにならないんだね……」


 後で聞いたんだけど、実験して確認したクォンツァイタはピンポン玉くらいの大きさの物らしい。

 複数の人間や、エルフのアルネとフィリーナが協力してもいっぱいにできたクォンツァイタはそれくらいで、今持って来ている物はまだいいっぱいにできた事がないと。

 人間より数倍と言っていい程の魔力量を持つエルフが、二人がかりで込めてもいっぱいにならないって事は、相当な量の魔力を蓄積できるみたいだ。

 期待通り……期待以上の物だね。


「それでなんだが、リク。このクォンツァイタに魔力を込めてみてくれないか?」

「俺が?」

「あぁ。リクの魔力なら問題なくいっぱいにできるだろう。というより、そもそもにリクの魔法を維持する魔力を蓄積させるのが主目的なのだからな。種族以外にも個人ごとに魔力性質に多少の違いがあるから、そこの確認もしないといけない」

「俺の魔力性質に合わなかったら、使えないって事?」

「いや、それは調整できるから大丈夫なんだが、魔力性質によって蓄積効率などが変わるのかも見たいんだ。フィリーナは確認のために魔力を込め過ぎて、今休んでいるが……複数人の魔力を込めてもいいかの確認もある。まぁ、ある程度はこちらで試しているから問題はないだろうがな」

「まぁ、わかった。とりあえずやってみるけど……どうやるの?」

「クォンツァイタを持って、そこに魔力を集めるようにすればいい。手に持ったら、手のひらに魔力を集めるようにだな。得意だろう? 魔力に包まれたら、勝手に吸収して蓄積されるようになっている」

「得意……まぁ、いつもやっている事だから、できると思う」


 アルネから、持って来たクォンツァイタに魔力を込めるようお願いされる。

 魔力量に関してなら問題ないだろうけど、いくつかの確認の意味もあるらしい……魔力性質の違いとか色々言われたけど、とにかくクォンツァイタを持って体内の魔力を集めればいいんだろう。

 魔力を集めるというか、凝縮させるのは何度もやっている事だし、魔法を使う時は意識してもいるから問題ないけど、得意とは言えない。

 ……得意だったら、調整に失敗したりはしないはずだからね。

 難しい事はわからないので、とにかくアルネからクォンツァイタを受け取って、魔力を蓄積させてみる事にする。


「えっと、こうかな……? ん……あっ」

「な!?」

「割れた……いえ、勝手に崩れたように見えたわね」

「そうだな」


 クォンツァイタをアルネから受け取り、右手に持ってそこへと魔力を集中させるよう意識する。

 数秒の間があった後、ピンク色だったクォンツァイタが一瞬だけ黄色になったように見えた瞬間、俺の手の平の上で勝手にバラバラになって白く透明になって行った。

 俺の近くで見ていたモニカさんの言う通り、ガラスのように衝撃で割れたとかではなく、耐えかねたかのように崩れたように見えたけど……これって?


「まさか崩れてしまうとは……一応、予想はしていたが……」

「予想してたの? でもこれって、俺の魔力性質が合わなかったって事かな?」

「いや、一瞬だが色が黄色くなったのを確認した。おそらく魔力蓄積がいっぱいになったのだろう。性質が合わなければ、そもそも蓄積すらされないはずだ。まぁ、いままで性質が合わなかった魔力自体は観測していないが……今のは蓄積限界以上の魔力を吸収してしまったための、自壊だろう」

「自壊……って事は、魔力を込め過ぎた、かな?」


 俺の手の上で、ボロボロになって崩れてしまったクォンツァイタを見て、考えるようにしながら呟くアルネ。

 原因は間違いなく俺の魔力なんだろうけど、もしかして性質が合わなかったのかなと思ったら、アルネの予想は違うようで、魔力量が多過ぎたためらしい。

 確かに、一度黄色になって蓄積がいっぱいになったようだから、多過ぎたんだというのも納得できる。


「まぁ、込め過ぎたのはその通りだと思うが、これは限界になっても止まらず魔力を吸収し過ぎる性質をそのままにしていた私が悪いな。蓄積がいっぱいになった時点で、吸収を止めるようにしなければ。放出側に向ければ可能か……? まぁ、然程手間がかかる程ではないだろうな」

「そう? それなら良かったけど……」

「エルフ二人が魔力を込めてもいっぱいにならなかった物が、リクさんが少し魔力を込めただけで壊れる程って……元々限界に近かったのかもしれないけど」


 エルサ辺りが興味を持って見ていたら、またバカ魔力とか言われそうだ。

 ともあれ、アルネによれば大きな問題という程ではないらしく、少し工夫するだけで吸収のし過ぎで自壊するのは防げるようになるだろうとの事で、少し安心。


「そういえば、ルジナウムで発見されたクォンツァイタも、俺が触ったら壊れちゃったよね……これと同じなら、あの時も魔力を吸収し過ぎたって事かぁ……」

「でも、リクさんはあの時魔力を込めようとしていなかったわよね? それなのに、吸収し過ぎというのはどうなのかしら?」

「いや、あの時あのクォンツァイタがどういった物かって話をしてたでしょ? だから、ほとんど意識はしていなかったけど、警戒はしていたんだよね。だから……」


 俺が警戒というか、戦闘態勢になったら全身を魔力で覆うようなイメージに近い状態で、ドラゴン以上の防御力になる……というのは大分前にエルサから聞いた話。

 つまり、集めようと意識していなくても自然に魔力が放出されているような状態に近いわけで……。

 あの時魔物を集める物かもとか、不自然に埋まっていたクォンツァイタに対して、警戒していた部分もあったから、俺から出た魔力を吸収してクォンツァイタが自壊した……という事なのかもしれない。

 今ここにないから、確認はできないけど。


「ふむ、つまりそのクォンツァイタは魔物が集まるよう何かがあった、というわけだな? そして、それは魔力を込める事で発動すると……」

「確かな事はわからないけど、魔力を少し込めただけで周囲の魔物が集まって来るのが確認されたらしいんだ」

「えぇ。しかもその後、込めた魔力が少量だったせいか、すぐに白く透明になったわ。きっと、効果を発揮するのに魔力を使ったけど、足りなくてすぐに効力を失ったんだと思うわ」

「……成る程な……魔力を蓄積する以外に、クォンツァイタの性質を利用した、魔法具としたのか……確かに、あれなら魔物をおびき寄せる事もできるかもしれん」





クォンツァイタが魔物を引き寄せていた事に、アルネは何か確信のようなものがあるようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

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