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興奮状態のアルネ



「ありがとうございます」


 ヒルダさん指示のもと、皆の前に用意されるのを見ながら、準備をしてくれている人にお礼を言う。

 いつも食事を用意してくれる時は、数人のメイドさんが持って来てくれるんだけど、今回は男性の執事と思われる人たちが用意してくれた。

 多分……というか間違いなくエアラハールさん対策なんだろうけど、ちょっと警戒し過ぎじゃないかと思うけど……。

 まぁ、初対面の時、俺の目で追えないくらいの速度で動き、モニカさんとソフィーのお尻を触った事を考えれば、止める事が難しいために対策を講じるのは当然の事かなとも思う。


「えーと、それで……魔力を練る事だったっけ?」

「そう、そうだリク! 魔力を練るというのはどういう事だ? フィリーナからおおよその事は聞いたが……そのやり方がリク以外にも通用し、広まれば魔法の革命になるぞ!?」


 皆で一斉に昼食を頂きながら、アルネに話を切り出す。

 待っていましたとばかりに、瞬間沸騰したアルネが、興奮気味にまくしたてた。

 隣でフィリーナが溜め息を吐いているけど、もうこうなったら話をしないと止まりそうにないよね。

 同じテーブルで食事を始めたエアラハールさんの事は、準備を待つ間に皆へ紹介を済ましてある。


 元Aランク冒険者とあって、レナとフィリーナは興味を示しているようだ。

 出会いの痴漢騒ぎを見ていないから、というのもあるんだろうね……そっと近づいたヒルダさんが、フィリーナに耳打ちして教えてあげてるみたいだけど。

 レナには……少し早い気もするけど、多分後でメイさん辺りが教えるんだろうな。

 アルネだけはそちらに興味を示さず、魔力の話の事で頭がいっぱいになってるようだったけどね。


「……そんなに凄い事なのかな……?」

「リクはそろそろ、自分がやっている事がどれだけの事か、自覚する必要があるわね……」

「凄いなんてものじゃないぞ!? その方法が確立されれば、今まで使えないと思われていた魔法が、戦闘でも使えるようになる。生活にも役に立たせる事ができるはずだ! 平均的な魔法効果が上昇し、魔法を使える者の立場が向上するだろう!」

「……魔法を使えない私からすると、少し羨ましい話だな。いや、私は私……自分の腕を磨くのみか」


 そこまで大袈裟な事になるのかと首を傾げる俺に、溜め息を吐くような、呆れるような表情でフィリーナが呟く。

 それに続いて、アルネがさらにまくしたてた。

 魔法を使う者の向上……という部分にソフィーが反応して、少しだけ微妙な顔をしたけど、すぐに気を取り直したのて訓練への意気込みへと変えたようだ。

 魔法を使える人間と、使えない人間がいるから、そのあたりの関係は難しい問題になりそうだ……。


「それでリク……魔力を練るというのはどういう事なんだ!?」

「えっと……そうだね、自分の中の魔力を魔法に変換するでしょ?」

「……そこはまぁ、基礎中の基礎だな。いや、ほとんどがその自覚なしにやっているのか? 魔法屋で魔法を買い、呪文を刻んで唱えて発動させるという扱いやすい方法を確立している弊害とも言えるが……それで?」


 あぁそうか。

 エルフは違うのかもしれないけど、人間はほとんどがエルフの作った魔法……呪文が書かれている物を買って、それを使う事で魔法を使用する事ができるようになるんだったっけ。

 モニカさんの方を見てみると、魔法に変換という部分に首を傾げていたし、呪文を簡略化していくうえで、自動的に魔力が変換されて行くようになっているんだろうな。

 そのあたりはちょっと難しい問題になりそうな気もするけど、とにかく今は魔力を練るという事だね。

 アルネが今か今かと俺の返答を待っている……美形だけど、男に期待されて待たれるというのは、ちょっと微妙な感覚……。


「んー、変換する前に、こう……なんて言うんだろう……固めていくんだよ。圧縮って言った方がいいかな? 例えばだけど、荷物に物を詰める時適当に入れたら、すぐに一杯になるけど、整理したりたためる物はたたんで入れれば、多くはいるような……そんな感覚かな?」


 頭に思い浮かんだのは、旅行鞄に衣類を入れる時の事。

 何も考えず、そのままバサッと鞄に衣類を入れたら、多くはいらずに一杯になるけど、折りたたんで綺麗に並べれば、多く詰める事ができる。

 感覚の話だから、少し難しいけど……魔力を練って多くの魔力を魔法に変換するという感覚は、これが一番近いかもしれない。

 ヘルサルでフィリーナに聞いた、魔法は箱のようなものに魔力を詰めるという話に、引きずられてる部分は大いにあると思うけど。


「鞄に物を入れる感覚……確かに、整理して入れれば多くの物を持ち運べるが……わかりづらいな……」

「理論でというより、感覚でそうしている部分が大きいから、少し説明は難しいよね……」


 俺の説明に難しい顔をして考え込むアルネ。

 感覚によるところが大きいから、それを人に説明しろと言われても、すぐ理解できるように説明するのは難しい。

 アルネだけでなく、話を聞いていた他の皆も、あまりよく理解していないようで、食事をしながら難しい顔をしている……エルサとユノ以外。

 というか、せっかく美味しい料理を頂いてるんだから、難しい顔をしながら食べるのは失礼な気がするんだけど……。


「そうだな……わかりやすく……リク、出来れば実演して欲しいのだが? リクならば、目に見えるほどの魔力を楽に使えるだろう? 実際に見てみれば、何かわかるかもしれない」

「そうだねぇ……大丈夫だと思うけど。――エアラハールさん、昼からの訓練はどうしますか?」

「ワシか? そうじゃのう……思わず教える人数が増えたからの、訓練は明日からにした方が良いじゃろう。手合わせして、リクの事が多少わかったしの、訓練のやり方を考える日に当てる事にするかのう。一応、モニカ嬢ちゃんと、ソフィーちゃんの方は、今の実力を見せてもらうがの?」


 実際に、魔力を練るところを見せて欲しいとアルネに言われる。

 魔力は多く放出したら、人の目でも視認できるようになるはずだし、俺が魔法を使う時はよく魔力が見えてるみたいだし、大丈夫だろう。

 ただ、訓練もあるからその時間が取れるかどうか、エアラハールさんに聞いた。

 モニカさんとソフィーも訓練に加わるため、今日はどういった訓練をさせればいいかを考える日にするとの事だ。


 まだどれだけの実力なのかを見ていない、モニカさんとソフィーは手合わせなりの方法で、見ておく必要はありそうだけど、俺の方は時間に余裕があるみたいだね。

 それなら、昼食を食べた後は、アルネに実演する事にしよう。

 変に待たせて、いつ見せてくれるのかとアルネから詰め寄られるのは、ごめんだしなぁ。


「それじゃ、昼食後にでも見せる事にするよ。確認が必要かもだけど、訓練に使うように訓練場が使えると思うし、そこでね」

「……確認して参ります」

「そうか、わかった。昼食後だな。……早く食べてしまおう!」

「アルネだけが食べ終わっても、皆が食べ終わらないといけないでしょう? もっと落ち着いて食べなさい!」


 俺の言葉に、ヒルダさんが確認のため退室する。

 ……お手数をおかけして、すみません……あと、ありがとうございます。

 さっさと料理を食べて、俺に見せてもらおう料理をかきこみ始めたアルネだけど、フィリーナに注意されて怒られてた。

 フィリーナの方が妹だったと思うけど……姉のようにも見えるのは、小さい頃よく姉さんに注意されてた経験からかもしれないね。



魔力を練る事を、アルネ達の前でじっくりと実演する事になったようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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