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マックスさん達への説明



「あぁ、そうだ。その黒い種は、できれば捨てずにとっておいて下さい」

「種を? 何に使うんだ? ……人が吐き出した種を、何かに使うのはちょっとな……」

「まぁ、それはわかりますけど。一応、洗ってからクラウスさんに渡します。ヘルサルの農場で、スイカを作ってもらえるかもしれませんから」

「あ、リク。最初は少し反対したけど、作る事は前面賛成するわ。エヴァルトにも連絡して、必ず協力を取り付けるように言付けるわね」

「ありがとう、フィリーナ」


 種からの発芽率がどれだけかはわからないため、スイカの種は多くあった方がいいと思い、マックスさん達に捨てないようお願いする。

 確かに人が吐き出したりした後の種は、何かに使うのも躊躇うけど……洗えば問題ないし、今のところヘルサルで種を入手するには、この方法しかないのだから仕方がない。

 作ってる村に行けば、種や苗とかを保存してるかもしれないけど、分けてもらうよう交渉してたら、時間もかかるしね。


 マックスさん達に説明を始めるとすぐ、横からフィリーナに声をかけられる。

 一応、エヴァルトさんへの連絡をする事を了承してくれたフィリーナだけど、ヘルサルで作る事は賛成とは言えない様子だった。

 けど、さっき言っていたように、今では完全に賛成側へ変わったみたいだね。

 ……フィリーナの反応を見ていると、クラウスさんにも食べさせてあげた方が良かったかな?

 そのあたりは、後でマックスさん達に頼んでおこう。

 さすがに今から呼ぶわけにもいかないし、明日には王都へ帰らないといけないから、落ち着いて食べてもらう時間がないからね。


「ヘルサルでこのスイカをか……」

「はい。まぁ、上手く行くかはわかりませんが……」


 ヘルサルで作れば、獅子亭でも仕入れる数が増やせるため、興味津々なマックスさんやマリーさんに、スイカを作る事の説明をする。

 クラウスさんにお願いした時、その場にいなかったソフィーにもついでにね。

 さらに、農場に結界を張った事を知らなかった、ルギネさん達にも色々と説明した。

 魔法具の事や、結界という魔法に関して、ルギネさんよりミームさんが一番興味深々だったのは、少しだけ驚いた。

 ……焦げた肉の事だけじゃなくて、ちゃんと魔法に関する事も興味あったんだ、と考えるのは、さすがに失礼かな?

 パーティの中で、後方からの魔法支援を担当するミームさんだから、興味あるのは当然と言えば当然なのかもしれないけども


 俺達が今日やっていた事を見られなかったと、ルギネさんとミームさんが悔しがっていたけど、昨日の事もあり、夕方くらいまで魔力が回復せずに本調子じゃなかったらしく、アンリさんに言われて、渋々おとなしくなった。

 魔力が少なくなると、どれほど体に影響が出るのか、経験した事がない俺にはわからないけど、昨日の様子を見るに、結構辛そうだったので休んでおいて良かったと思う。

 どうせ、今日集まった人たちのように、結界を使う所を見ても参考にならなかったと、肩透かしになるだけのような気もするしね。


「そうそう、明日は予定通り王都へ出発するから、持って行けるような昼食をお願いね、父さん」

「おう、任せろ。しっかり食べ応えのある物を用意するからな」

「……あまり多くは……まぁ、残ってもユノやエルサが食べるからいいんですけど」

「私は食いしん坊じゃないの……」


 思い出したように、モニカさんがマックスさんへ携帯できる昼食のおねだり。

 マックスさんが用意する昼食といえば、思い出されるのは初めてセンテへ行った時の事だ。

 モニカさんに頼まれて、張り切っているマックスさんだから、きっとまたあの時のように多くの物を用意するのが予想される。

 あの時は、初めて会ったソフィーや、レッタさんとロジーナちゃん母娘に分けて、ようやく完食できたくらいだったしなぁ。


 あの時と違って、人数も多いし、もしもの時はエルサやユノが食べてくれるだろうから、残る事はないだろうけどね。

 そう思って呟くと、ユノが心外だとでも言うように抗議の声を上げた。

 ……食いしん坊とまでは言わないけど、いつも俺の倍くらいの量を食べてるから、十分大食いの部類だと思うけどな?


「スイカも持って行くのだわ!」

「……エルサ、スイカはさすがにな。切って持って行こうとすると、汁が垂れてしまうし……丸ごとだと大きすぎるだろ?」

「……むぅ……だわ」


 さすがにスイカを持って移動するのは、少し厳しい。

 無理に運ぶ事もできるだろうけど、大きくて重いスイカをわざわざ持って運ぶのは躊躇われるし、食べやすい大きさに切って運ぶとなると、汁が垂れたりして色々大変だ。


「……ちょっと待ってくれ。明日、王都へと言ったか? ヘルサルに滞在するのではないのか?」

「あぁ、俺達は用事があったからヘルサルに来ただけで、今は王都で活動してるからね」


 エルサにスイカを持って行くのは駄目だと言い聞かせていると、パーティメンバーで固まってスイカを食べていたルギネさんが反応した。

 どうやらルギネさんは、俺達がこのままヘルサルに滞在すると考えていたようだね。

 まぁ、戻って来た理由だとか、詳しい事を話してないから仕方ないか。


「冒険者が、様々な街や村に移動するのは珍しい事ではないが……依頼を遂行するため、一時的に他の場所へ行く事もあるしな。それにしたって、もっとここにいてもいいだろうに……」

「ヘルサルは居心地がいいから、もっと長くいてもいいんだけど、王都でちょっとした予定があってね。すぐに帰らないといけないんだ」

「主に、リクさんの予定だけどね。ヴェンツェルさんと、約束したんでしょ?」

「まぁね」

「……師匠との訓練だな。本気か、リク?」


 冒険者である事で、拠点を移したり、依頼のために移動する事は多々あると、ルギネさんもわかっているようだけど、いまいち納得がいっていない様子。

 でも、マギアプソプション討伐の時のように、依頼が被ったりしないから、リリフラワーにとっては悪い事じゃないと思うんだけどね。

 予定がある事を説明していると、マックスさんが眉間に皺を寄せて聞いてくる。

 本気かと言われても……ヴェンツェルさんに勧められたし、一度ちゃんとした訓練を受けておかないといけないと考えてるからなぁ。


「何か、問題でもあるんですか?」

「いや……師匠の教えは正しいものだと思う。俺やヴェンツェルは別の方向へと行ってしまったが、リクには合ってるのかもしれない。だがなぁ……」

「?」


 マックスさんとヴェンツェルさんは確か、お師匠さんの無駄なものをそぎ落とすという教えとは違い、何故か筋肉に目覚めてそちらへ進んだらしい。

 筋肉は裏切らないとか、役に立つと思う部分はあるけど、俺にはマックスさん達のように筋肉を鍛えて、マッシブな体を得るというのは合わないだろうし、考えていない。

 だから、ヴェンツェルさんも勧めたんだろうし、マックスさんも合っていると思うんだろうけど……どうしたんだろう、何か言いづらそうにしてるけど……?




お師匠さんに対して、何か思う事があるようですね。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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