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結界の説明と注意



「……結界!」


 少し魔力を溜めるように集中し、ほとんど無意識で魔力を練り、変換。

 イメージを開放するように、魔法名を叫んで、結界を発動。


「……」

「ふぅ……終わりました」


 発動を確認し、一応イメージ通りに農場全体を覆う事ができたのを確認し、皆の方へ振り替える。

 ある程度見た事のあるフィリーナやモニカさん達以外は、先程と変わらない様子で、俺を真剣な眼差しで見ていた。

 ……数人ならまだしも、数十人からジッと見られるっていうのは、さすがにまだ慣れないね。


「……終わった……のですか?」

「はい。結界はしっかり発動しましたよ」

「魔力がリクさんの体から、目に見える形で放出されたのは確認しましたが……もう終わったのですか?」

「相変わらず、よくわからない魔力の密度だったわね。私の目でも、どれほどの魔力が込められているのかよくわからなかったわ。そうなのね、あれが魔力を練るという事……王都へ戻ったら、アルネとしっかり話す必要があるわね」


 キョトンとした顔で、クラウスさんがポツリと漏らす。

 それに答えていると、ヤンさんが驚いた表情をさせながら、同じ事を聞かれた。

 もっと派手な事が起こったりするのを期待していたのだろうか……?

 ヤンさんが驚いてるのは、魔力が視認できたからだろうけど……エルフでも、見える程の魔力を放出する事はほとんどないそうだし。


 結界を何度か経験して慣れているフィリーナは、俺の魔力に注目していたようだけど、エルフでも特別な目を持っていても、俺の魔力がどれだけの量なのかわからなかったみたいだね。

 魔力を練るのも魔力量も、俺自身は特別な事をした気がしないから、よくわからないけども。


「もっと、何か光を放ったりとか……そういう事は……?」

「いえ、ありませんよ。一昨日、目の前で小さな結界を実演して見せたでしょ? あれと同じで、透明な結界が張られるだけなので……特に何も」

「そうですか……」


 クラウスさんは、派手な魔法を期待していたようで、少し気落ちした様子だ。

 以前にも結界の魔法を見せたはずなんだけどなぁ……やっぱり、もっとわかりやすく演出を加えた方がいいのかな……?

 でも、イメージに手を入れるとなると、失敗する可能性もあるから、余計な事は考えないでおこう。

 結界は本来防御に使う物だと俺は考えてるから、派手な見た目とかは必要ないしね。


 その後、クラウスさんと同じように、集まった皆に結界が発動した事を伝えると、それぞれ落胆したような、本当に結界が張られているのかと首を傾げている様子がちらほらと見られた。

 皆、不可視の壁がある事を、よくわからないようだ……初めて結界を見たら、こういう反応なのかな?

 本当に結界が張られている事を証明するために、集まった人達で結界の端……ヘルサルの西門近くに開けておいた出入口付近で、皆に結界に触れてもらった。

 それぞれ、見えないのに壁があり、それに触れられる事を驚いて、本当に結界が発動している事に驚いていた。


 中には、剣や魔法を使って結界の耐久性を試そうとしてる人がいて、俺が止めようとするのを、ソフィーやフィリーナに止められた。

 普通の人間には、結界を破る事はできないだろうから、試すだけ試して実感させた方が良いだろうとの事。

 ……ユノには、結界を破られたんだけどなぁ……まぁ、普通の人間ではないんだけど。


 結局、ある程度結界の耐久性を試す人たちを残して、集まった人たちは解散。

 それぞれ、ヘルサルへと戻って行った。

 期待していた派手な演出がなかった事で、参考にならなかったと意気消沈している人も見られたけど、魔法具の商店主さん達はそれなりに収穫があったようで、喜色満面だ。

 フィリーナが実際にガラスへ施した魔法陣や、その説明を受けられて参考になる事が多かったみたいだね。


「それじゃあ、私達も帰りましょうか?」

「あー、その前に少し説明しておいた方がいいかな? 結界が破られなかったとしても、このままだと危ない……かもしれないし」

「危ないとは……何か問題があるのですか?」


 フィリーナが俺達に声をかけて、街へと歩き出そうとするのを止める。

 俺が言った危ないという言葉に、クラウスさんが首を傾げ、他の皆も同様の反応だ。

 結界は透明だから、実際にどんな形で、どこまでの範囲を覆っているのか把握してるのは、実質俺だけだからね。

 手で触れて確認して行けば、正確な大きさや形も確認できるだろうけど、手間がかかるし、俺が説明しておいた方がいいだろう。


「結界自体に危険はありません。言われた通り小屋も包んでいますし……出入口以外は結界で覆っているので、魔力溜まりの気配が外に漏れる事もないでしょうし、魔物が入って来るのも出入口以外ではないかと思います」

「それでは、何が危ないと?」


 説明を始めた俺に、ヤンさんから質問される。

 そのヤンさんは、先程までいつものガントレットを持ち出して、結界の耐久性を試してた。

 以前にセンテで買ったガントレットを装着して、結構全力で結界に打ち込んでたように見えたけど、副ギルドマスターとして試しておきたかったんだろう。

 安全性とか、大事だしね。

 ……元冒険者の血が騒いだとかではない……と思う。


 結界には傷一つ付く事はなく、その耐久性は信頼されたみたいだ。

 元々透明だから、傷が付いてるのかわからないけど……多分大丈夫。


「いえ……見てわかる通り、結界は透明なので……知らない人が近付いたら、ぶつかったりしないかなーと……」

「……言われてみれば、そうですね」

「確かに。馬で走っていて、急に結界に遮られたら……落馬してしまいます」


 そう、俺が危険と言ったのは結界が透明で、目に見えないためだ。

 よく見れば、うっすらと膜のような物があるように見えるのだけど、それは結界があると知っていて、その境目に目を凝らして見た時の事。

 何も知らない人が通りがかったら、透明な結界にぶつかる事は容易に考えられる。

 フィリーナのように、特別な目を持ってれば別だろうけど……それを期待するのはね。


「なので、できれば結界の外側に印のようなものをつけて欲しいんです。地面に線を引いたり……あ、立て看板をするのも悪くありませんね」

「……そうですな。確かに、その方が良さそうです」

「それで、結界が覆ってるのは……」


 わかりやすいように、結界の外側に印付ける事を提案し、どこまでの範囲を覆ったのかを説明。

 誰かが来た時に、見えない壁があってそこへぶつかってしまわないための措置だ。

 ……それを無視して、進んでぶつかってしまう事はあるだろうけど……そこはクラウスさんに色々と考えてもらおう。


 ちなみに、結界はドーム型にして、出入り口を除けば完全に密封されている。

 一番高い所で天井は二十メートルくらいにしたから、結界が見えない事も相俟って、閉塞感は感じないだろうと思う。

 結界はガラスのように光を通すから、中は明るいしね。

 出入口は、幅五メートル、高さ五メートルくらいにしておいた。

 余裕を持って、人や馬が行き来できる大きさにしたつもりだ。

 これなら、馬車や荷車も通れると思う。




無色透明なので、無防備に誰かが激突する危険性があるようですね。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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