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ガラスへの処置開始



「集まってもらった他の方々は、実際にリク様が魔法を使う所を見られます。おそらく……見ても理解ができるとは思いませんが、これも一つの経験とするのも悪くはありませんね。では……ヤンさん?」

「冒険者ギルドの副ギルドマスターを務めております、ヤンと申します。……集まった方々の中に、ギルドに所属する冒険者が見かけられますが、目指す先を一目見ておくというのも、悪くはありません。今回の事は、金銭での報酬は何もない事ですが、リクさんの魔法が見られる貴重な経験として、冒険者にとってまたとない機会、報酬となるでしょう。皆様、これからの活躍に生かせるよう、期待しております」

「「「「おおおおお!!」」」」


 クラウスさんが話を終わり、締めくくろうとしたところで、ヤンさんも前に出て横に並んだ。

 ヤンさんは副ギルドマスターとして、集まった冒険者さん達に声をかけ、それを受けたこの場にいる冒険者さん達は、興奮したように声を上げた。

 俺の魔法を見る事で、冒険者さん達への経験になるって……そうなのかな?

 それに俺が目指す先って……冒険者になってまだまだ日が浅い俺なんかよりも、経験豊富な冒険者さん達が集まってて、むしろ俺が教えを乞いたいくらいなのなぁ。


 そういえば、集まってる冒険者さん達は、皆Cランクくらいだったように思う。

 全員のランクをはっきりと覚えているわけじゃないけど、少なくとも覚えているなかではCランクか、防衛戦を経てBランクになった人達ばかり。

 Dランクの人もいるかもしれないけど、少なくとも見た事のない顔はないようだし、Eランクの人はいなさそうだ。

 Eランクや、Dランクになったばかりの人は、ルギネさん達に絡んだような人もいたりで、自分達が一番と考えている人も多いようで、こういった場には参加しないんだろう……多分だけどね。


 Cランク以上や、Dランクでもそれなりの経験をしている人達は、全員ではないにしろ、自分を高める事に貪欲で学ぶ事を重要視している……と、結構前にマックスさんが言ってたっけな。

 だから、ここにいるのはCランク以上の人が多いんだろうと思う。

 依頼を受けてて、忙しくしてるから来れないって人もいるだろうけどね。

 実際、リリーフラワーの人達はいないようだし……ルギネさんの魔力回復のために休んでいるんだろうけど。

 まだ街に馴染んでないから、誰かから話を聞いてなくて、今日の事を知らない可能性もあるか。

 昨日一昨日と、話したりする機会は多くあったけど、今日の事を話したりしてないしなぁ……。


「では、リク様、参りましょう」

「……あぁ、はい。わかりました」


 考えに没頭していたら、皆に声をかけ終わったクラウスさんに促された。

 ヤンさんも、言いたい事は言ったようで、俺の方を見て頷いている。

 クラウスさんやヤンさん、モニカさん達と一緒に、集まった人達が左右に別れた道を歩いて、西門を出た。



「まずは、一番近い所からね。農地からすると、東側になるかしら?」

「はい。フィリーナさんの指示の通り、小屋を設置し、そこへガラスを均等に分けさせて頂きました」


 クラウスさんにフィリーナが頼んで、突貫で作ってもらった小屋は、魔力溜まりを中心として東西南北に一つずつ建ててくれたようだ。

 偶然なのか必然なのか、魔力溜まりが農地の中心になってるから、指示をする方も受ける方も、わかりやすかったらしい。

 その小屋にそれぞれガラスを配置し、使った魔法の維持をするための魔力提供をさせるようにするのが、今回のフィリーナの役目だ。


 さっきクラウスさんは魔法具にすると言ったけど、フィリーナ曰く、既にガラスは魔法具としての性質を持っているそうで、蓄積されている魔力を魔法へと向ける導線のようなものを作ればいいらしい。

 魔法具は魔力を蓄積させる性質を持たせる事と、魔法を埋め込むのが最も難しい作業らしく、量が多い事以外は苦労はほとんどないようだ。

 それでも、魔法具を作る技術が劣っている人間側からしたら、見て勉強になる事が多いし、参考になるためにクラウスさんとヤンさんは、見学をさせる事にしたそうだ。

 俺にはよくわからない事だけど、誰かの参考になって発展するのなら、大歓迎だ。

 ……実際に作業をするのはフィリーナだけども。


「……掘っ立て小屋ね」

「なにぶん、時間がなかったもので……不足ですか?」

「いえ、床を土にしてって言ったのは私だしね。ガラスを保管する場所だから、もう少し頑丈な方がいいかもしれないけれど……それは後でもできるわ」


 まずはと向かった最初の小屋。

 ヘルサルの西門から出て少し歩いた場所に、短時間で作られた小屋があった。

 6畳一部屋があるだけのような小屋で、木材を直接地面に埋め込んで建てられている。

 床は土がいいというフィリーナの意見を取り入れたから、土台の基礎とかを必要とせず、これが一番早く作れる物なんだろう。


 窓なんかは作られておらず、申し訳程度に人が一人通れる大きさの扉が付けられてるくらいだ。

 ほぼ1日で作った物だし、人が住むわけじゃないから、これくらいで十分か。

 建物自体は後で補強したりして、時間をかけて頑丈にしたらいいし、結界の内側に位置するから、風雨にさらされる事もないしね。


「それじゃ、始めるわよ?」

「……お願いします」

「「「っ」」」


 数人で小屋の中に入り、少し狭いながらもガラスに向かっているフィリーナが、他の人達に声をかけ、クラウスさんが頷き、見学に来た人が緊張した様子で息を飲む。

 中にいるのは、俺とクラウスさん、ヤンさんの他に三人だ。

 俺達以外の三人は、魔法具を取り扱っている商店主らしく、フィリーナの作業を見学に来た人達だ。

 希望者は他にもいたのだけど、まずはこの三人に見せる事になった。

 選んだのはクラウスさんだけどね。


 この場所以外にも、まだ三か所作業をする所があるから、他の人達はその時にとなったようだ。

 ちなみに、エルサやモニカさん達は、外で集まった人達と一緒にいる。

 トニさんが皆を管理をしつつ、暇潰しに雑談をしているようだ。

 元々ヘルサル出身のモニカさんは知り合いが多いので、相手をしてもらってる形だね。

 ユノをかわいがるお姉さま方もいるので、皆暇はしてないだろう……ソフィーは冒険者さんと話してたし。


「……~……~」


 小屋内部の端で固まった皆が見守る中、フィリーナが中央に積まれたガラスの周囲を移動しながら、何か呪文のような言葉を呟きながら一メートルくらいの杖……というより木の棒を使って地面に何やら模様のようなものを描き始める。

 小屋に入る前に、その棒を取り出したフィリーナは、それも魔法具なのだと言っていた。

 魔法具を作るための魔法具……という事で、規模の大きい時に使う物らしい。

 フィリーナが呟いてる言葉は、俺には理解できない言葉で、よくわからなかった。

 もしかしたら、エルフが使う特別なものなのかもしれない。

 というか、元々この世界で言葉が通じる事が不思議でもあるから、俺の理解できない言語があってもおかしくないか……。



フィリーナが唱えているのは、エルフ特有の言語なのかもしれません。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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